売れ残りなんてない!

太鼓判ブリーダーが犬たちとの暮らしをご紹介。ほのぼのした日常やブリーダーならではの話など、いろいろな日常をお届けします。今回はイタグレのブリーダーIG Ippuku Kennel/萩原京子さんです。

「ペットショップで売れ残っていたんです」

このようにパピーを“売れ残り”と表現することに違和感を感じます。

私はいつも、こう説明しております。

「日々教育を施し、日々賢くなっていっているのだから、日々値上げをしたいくらいなのに、もともとの価格でご紹介しています。おうちに行ったその日から何の苦労もなく家族になれるワンちゃんに育ててございます」

そう申し上げますと、ほとんどの方が驚き、そしてご理解くださいます。ペットショップでは日にちが経つにつれどんどん値を下げるので、それが当然で疑わないのでしょうね。

また、こんなこともございます。

「きれいなイタグレさんですね、どちらからですか?」

「ペットショップで……赤札で売れ残っていたんです……」(小声)

こんなよい犬がペットショップにいて、それを何カ月も気づかず大勢の人が前を通り過ぎ、迎えた飼い主さんもそのよさに気づいていらっしゃらないとはっ!

「おかあさん、こんなによいワンちゃんがお手ごろでお迎えできてよかったですね♪」と申し上げると、一転、誇らしげにキラッキラになられます。その日を境に売れ残りとはおっしゃらなくなるでしょう。

今日かもしれない、数カ月先かもしれない。

そのときがそのときで、それが出会いです。

そして、店頭にいる長さと犬の善し悪しも無関係です。売れ残りは存在しないと私は思っています。