スタパ齋藤の猫がたり Vol.192

無料の生成系AI「Clipdrop」で猫画像を作成してみた

[2024/03/13 6:01 am | スタパ齋藤]

本連載でときどき扱う「画像生成AI」。筆者は「Midjourney」と「Adobe Sensei」をよく使っています。本連載バックナンバーで、タイトルに「AI」が含まれていれば、だいたいこれら画像生成AIで猫を生成したりしている記事です。

ただこれらの画像生成AIは基本的に有料。これら有料サービスを使っているのは「商利用が可能」だからです。本連載に生成した画像を掲載しても著作権的な問題が生じにくいというわけです。

無料で使える画像生成AIの多くが(ほとんどが?)、生成物の商利用に制限がかけられているように思います。たとえば手軽に使えるマイクロソフトの「Bing Image Creator」は、その規約に「商業的な目的での生成物利用」を禁じています。また、自宅のパソコンにアプリをインストールして使うタイプの画像生成系AIでも、部分的なコンポーネントが商利用不可で、生成画像も商利用不可になったりします。

ところで最近、2024年2月ですが、生成AIアプリ大手のJasperが、AI使用の画像生成・編集サービスの「Clipdrop」を買収したというニュースが流れました。Clipdropは(Stability AIの)Webサービスで、Webブラウザー上でAI画像生成やAI編集を行えます。

買収されたClipdropは「Clipdrop by Jasper」という名前になっていました。日本語で使えるようで、インターフェースも平易です。

「Clipdrop by Jasper」にアクセスした様子。無料で(も)使える生成系AIサービスです

さっそく使ってみると……結論からいえば「Clipdropは無料で使えて生成物の商利用もできる」というものでした(買収前も商利用可能でした)。無料使用だと生成速度が遅いとか利用可能な機能に制限があるというデメリットがありますが、猫画像を生成などして遊べるのでぜひ楽しんでみてください。

このような表示があり、生成した画像の商利用は禁止されていません

筆者はClipdrop by Jasperのさまざまな機能を十分使ってみたいと思い、有料サービスに申し込みました。そこで生成AIならではの機能をひとつご紹介したいと思います。

Clipdrop by Jasperの有料サービスに申し込みましたので、すべての機能を高速で(いわゆるキューを待つ必要がなく)使えます
ご紹介するのは「UNCROP(アンクロップ)」という機能です。アップロードした画像の外側を追加してくれる生成系AIならではの機能です。アウトペインティングなどとも呼ばれます。これは無料でも使えます
処理したいのはこの写真。画質的にはよく撮れている猫写真ですが、耳も足も写っていません。この猫の全身写真になるよう、写っていない部分をAIに生成してもらいます
UNCROP(アンクロップ)機能に写真をアップロードしました。青い部分をマウスで動かして描く範囲を指定します
猫の上下と後ろを描き足してもらいましょう。「次」をクリックすると生成が始まります
生成中
十数秒後、4枚の画像が生成されました
1枚目、なかなかキレイ
2枚目、あら尻尾が切れてる。耳はイイ感じですが
3枚目、おかしな画像になってしまいました
4枚目、これもちょっとヘン
ということで追加生成。追加で4枚生成されます
追加1枚目、なかなかイイかも
追加2枚目、これも悪くない? オフィスっぽくなってますが
追加3枚目、足元が曖昧ですが、全体的に自然。手前にあるのは……ハム?
追加4枚目、これもけっこう自然ですね

といった感じで「猫写真の足りない部分を生成できる」という機能を使ってみました。もちろん猫写真ではなく人写真でも風景写真でも使えます。もとの写真はほぼ影響を受けない自然な書き足しですが、主題以外の部分を凝視すると「ここは不自然」という部分もまだまだあります。

ただ、こういった部分もアッという間に改善されていくことでしょう。いまのうちに「未完成な生成AIを経験しておく」というスタンスで使うのもアリかもしれません。

[スタパ齋藤]