腸内細菌だけじゃなく腸管免疫に必要なこと(後編)
前編に続き、免疫力をアップするには腸内環境を整えることが必要ということで、後編では腸壁を強化することが重要だという話をしましょう。
腸壁を育て、強化するのもグルタミンです。つまり、体内で合成できるアミノ酸。グルタミンのほとんどが筋肉内で合成され短時間で小腸の燃料となることから、アスリートがサプリメントでグルタミンを摂取するのも理解できるでしょう。
また、1週間以上絶食すると腸管粘膜が弱く(絨毛の萎縮)なり、バリア機能が破壊され免疫力が低下します。ところが、消化管すべての粘膜に必要な燃料となるグルタミン・ファイバー・オリゴ糖を組み合わせた「GFO療法」を行うと、消化管粘膜がダメ(萎縮)になるのを防ぐことができます。栄養医学的に、「When the gut works use it !”(腸が働いているなら、腸を使おう)」という原理原則があるほどです。
抗がん剤投与や放射線治療の場合、またはピロリ退治などの抗生物質投与の場合に消化管細胞(特に小腸粘膜細胞)がダメージをくらって下痢するので、グルタミンを処方されることがあります。ちなみに医薬品の「マーズレン」は90%グルタミンです。
では、グルタミンは何に含まれているか? というと、生魚、生肉、大豆、海藻類など身近な食品に多く含まれています。
第1位 マグロ赤身(100g):約1180㎎
第2位 牛もも肉(100g):約900㎎
第3位 牛乳(200㎖):約620㎎
第4位 豆腐(100g):約600㎎
第5位 鶏むね肉(100g):約400㎎
グルタミンの役割は、「小腸粘膜細胞の最大の燃料」「大腸粘膜細胞の2番目に重要な燃料(1番は酪酸)」「免疫細胞(特にリンパ球)の燃料」ということになります。
ただし、グルタミンは40℃以上の加熱により壊れてしまうため、サラダや刺身など生で食べる必要があります。何だよ、わんちゃんや猫ちゃんにあげにくいじゃん! と思うでしょう。
グルタミンを摂取するのに食品からはなかなか難しいかもしれませんが、グルタミンはグルタミン酸から作られます。つまり、グルタミンの“材料”であるグルタミン酸を摂取することで、効率的にグルタミンを腸管に緊急配備することができそう。じゃあ、グルタミン酸は何に多く含まれているか?
グルタミン酸選抜総選挙があるとするなら、不動のセンターは昆布。昆布は、チームグルタミンの前田敦子ってわけです。
AKB選抜総選挙ファン投票で1位に返り咲いた前田敦子のスピーチに例えるなら、「ひとつだけお願いがあります。昆布のことは嫌いでも、グルタミンのことは嫌いにならないでください!」ということ。
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