コロナイゼーション・レジスタンス 〜他県のヤンキーが地元のヤンキーに潰される理由 〜

前回、体と腸内細菌の関係を株式会社を例にご紹介しました。株式会社「自分」の代表取締役社長が「あなた」で、あなたの腸内細菌が「社員」という関係ですね。社員である腸内細菌が所属する部署には「体にとって良いものをつくる部」と「敵が入ってこないようにバリアする部」があります。

腸内細菌の職場である腸の表面はベットリとした粘液で覆われていて、この粘液層は「内側」と「外側」というふたつの層に分かれています。それぞれ、腸内細菌がビッシリ住んでおり「良いものをつくる」こと、「敵が入ってこないようにバリアになる」という仕事をしています。

一般的に腸内細菌の数の種類が減ったりバランスが崩れたとしても、通常の状態に戻る復元力(レジリエンス)を持っています。さらに、悪い菌が腸管内に侵入してきたとしても、腸内細菌がしっかりとディフェンスしてくれるのです。

しかし、免疫不全状態の生まれたての赤ちゃんや、ある種の腸疾患の場合はディフェンスラインを突破して病原体が侵入し、腸管内に定着するリスクが上がります。このように病原体の侵入をブロックすることを専門的にカッコつけると「コロナイゼーション・レジスタンス」といいます。ざっくり説明すると、腸内に侵入するさまざまな菌が、むやみに「腸内に定着するのを防ぐ」というシステムであり、このシステムのおかげで腸内バランスが保たれているのです。

人気ドラマ「今日から俺は!!」を例にして説明すると、他県のヤンキーたちが自分たちの縄張りに入ってきたら、地元のヤンキーが「なめてんじゃね~よ」とばかりに、ケンカでボッコボコにしちゃうようなもの。腸内細菌は病原体の侵入をそう簡単には許さないのです。

つまり、もともと腸管内にいた腸内細菌が、体内に侵入してきた病原菌をボッコボコにしちゃうシステムのことをコロナイゼーション・レジスタンスと呼びます。さらに、病原菌が必要な栄養素を与えないようにもともといる腸内細菌がエサを独り占めして、住む場所も与えないようにすることで病原体を徹底排除する。また、腸内細菌(ヤンキー)は、B細胞やT細胞といった免疫細胞(地元の警察)にチクって(連携)、病原体(他県のヤンキー)の流入を防いでいます。

腸内細菌、最高!