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株式会社「自分」の社員である腸内細菌の担当部署とは?

[2021/12/07 6:01 am | 獣医学博士 川野浩志]

腸内細菌が大切だという話は耳にタコができるほど聞きますが、じゃあ腸管がどんな状態だとイケてる感じなのか? 答えは以下のとおり。

・いろいろな腸内細菌がたくさんいること
 ・腸内細菌の構成パターンがしっかりしていること


腸内細菌の構成パターンは食事内容に強烈に左右され、ハイカロリーのハンバーガーなど高脂肪の食事を続ければ脂肪を好む腸内細菌が増えていきますし、肉食女子の腸内にはタンパク質を消化する腸内細菌が増えていきますし、ベジタリアンやビーガンの腸内にはプレボテラという菌が多く住んでいます。

誤解を恐れず人間の体と腸内細菌の関係を会社で例えると、あなたは、株式会社「自分」の代表取締役社長で、腸内細菌は社員という関係になります。やる気のある熱血社員、平均的な普通の社員、やる気がないサボリーマンが、2:6:2の割合で在籍する会社です。

ざっくりいえば、腸内細菌には「体にとってよいものをつくる」「感染症からの防御」というふたつの役割があります。腸内細菌はこれらの役割を担当部署に配属され、会社から“お金”ではなく“食物繊維”という給料をもらう契約をしている感じです。

社長ができない商品のマーケティング部門を広告代理店出身の若手社員に一任するように、人間の体に必要だけど足りない栄養素(ビタミンKやビタミンB12など)を腸内細菌が持っている酵素によってつくり出してくれているってわけです。

会社が倒産しないように、ときには「融資(ビフィズス菌や酪酸菌、犬は乳酸桿菌、猫は腸球菌の摂取)」を受けることも必要ですが、まずは何より自社の「社員」を大切に!

[獣医学博士 川野浩志]