犬との暮らしで知っておきたいこと Vol.175

【犬飼いTIPS】ミックス犬はマダニに寄生されやすい!? 王立獣医科大学(RVC)の研究で判明

[2024/05/21 6:01 am | 編集部]

愛犬の被毛にしばしばマダニが付着しているとしたら、あなたの愛犬にはほかの犬よりもマダニを寄せ付けやすい「なにか」があるのではないかと不安になるかもしれません。

その一端を明らかにする研究「Cavapoo and Cockapoo designer dog breeds at high risk of tick infestation, study finds」が、イギリスでもっとも歴史があり、世界最高峰の獣医大学でもあるロンドン大学 王立獣医科大学(RVC)で行われました。

どんな研究だったの?

RVCの行った研究では、イギリス国内の犬の獣医健康記録から90万頭を無作為に抽出し、そのサンプルを分析しました。

その結果、マダニは犬によく見られる寄生虫であり、50頭中1頭の犬が5年間に少なくとも1回はマダニに寄生されたと診断されていることがわかりました。

研究者たちは、マダニが寄ってきやすい犬種とそうでない犬種があることを解明するために、血統、頭蓋骨の形、被毛、体重など考えられる危険因子についても調べました。

ミックス犬はマダニに寄生されやすいことが判明

研究の結果、マダニに寄生されやすい犬種があることを発見しました。キャバプー(キャバリア×トイプードル)、コッカープー(アメリカンコッカースパニエル×プードル)、キャバション(キャバリア×ビションフリーゼ)、ゴールデンドゥードル(ゴールデンレトリーバー×プードル)、のようなミックス犬は、プードルの血統を受け継いでいるため、マダニに感染するリスクが高いことが明らかになりました。

さらに、スタンダードプードルがダニに寄生される可能性が2番目に高い犬種であることを特定し、ダニがプードルの巻き毛を特に魅力的に感じていることを示唆しています。

日本では、近年ミックス犬の人気が高まっています。アイペット損害保険の「人気飼育犬種・猫種ランキング」では、ミックス犬が4年連続で1位となっています。そして2位はトイ・プードルです。

プードルはしばしばほかの純犬種と交配され、ミックス犬が作出されています。しかし、この新しい研究では、プードルの硬い巻き毛が密集する特徴が、ミックス犬に引き継がれ、ダニに感染するリスクが高まることが示唆されています。

純血種にもリスクが高い犬種がある

この研究では、ミックス犬がマダニに感染するリスクが高いことが判明しましたが、純血種にもリスクが高いものがあることもわかりました。ケアーンテリア、パーソンラッセルテリア、ミニチュアシュナウザー、スタンダード・プードル、ゴールデンレトリーバーなどです。

興味深いことに、チワワ、スタッフォードシャーブルテリア、ブルドッグ、ロットワイラーは、マダニの寄生リスクがもっとも低いことが立証されました。

この研究では、オスはメスよりもダニを寄せ付けるリスクが1.24倍高いことも判明しました。また、ミディアムヘア(3~4センチ程度)の被毛の犬や、垂れ耳の犬も、マダニの寄生リスクが高いことが示されました。

RVCの獣医疫学の准教授であり、この研究の筆頭著者であるダン・オニール博士は次のように述べています。 「完璧な純血種は存在しないので、家族に迎える犬種の長所と短所を十分に理解することが重要です。プードルの血統を受け継ぐ犬の飼い主は、日常的にマダニがついていないかをチェックし、被毛を短く保つように注意する必要があります」。

マダニは血を吸うだけでなく病気も媒介する

マダニは吸血性の寄生虫で、犬の皮膚に寄生し、1週間ほど吸血したあと剥がれ落ちます。しかし、マダニは犬の血を吸うだけでなく、病気も媒介します。

犬が罹患するダニ媒介疾患は、バベシア症、ライム病、エールリヒア症、ロッキー山紅斑熱(日本では日本紅斑熱)、Q熱、アナプラズマ症、犬ヘパトゾーン症、バルトネラ症などがあります。これらの疾患は、適切に治療しなければ犬の健康に深刻な悪影響を与える可能性があります。

イギリスにある世界最古のケネルクラブ「ザ・ケネルクラブ(KC)」のビル・ランバート氏は、次のように加えました。「マダニは単に犬の血を吸って痒みを引き起こす害虫ではなく、深刻な病気を媒介する可能性があります。マダニはどの犬種や年齢にとっても危険ですが、特に被毛の特徴がマダニを寄せ付けやすいこともあり、飼い主がマダニを見つけた場合の対処法を知っておくことが重要です」。

まとめ

通常、マダニは野山や草むら、ヤブなどに生息していますが、最近では、市街地の公園やドッグランでも見つかることがあります。発生時期は春から秋で、草木の成長にあわせて増えます。

この時期はヤブなどに入らないようにすることですが、散歩のあとはブラッシングしてあげることで、吸血まえのマダニを払い落とすことができます。

愛犬を守る最善の方法は、予防・駆除薬を使うことです。体に液体を垂らすスポットタイプが一般的ですが、ジャーキータイプや錠剤などの経口タイプもあります。

[編集部]