犬との暮らしで知っておきたいこと Vol.99

【犬飼いTIPS】山だけじゃなく都市部でもヤマビルの吸血被害に注意しよう!

[2022/09/09 6:01 am | 編集部]

近年、「ヤマビル」の吸血被害が増加しています。野生の鹿やイノシシなどに付着。それらの生息域が広がっていることで、人里にヤマビルが落ち繁殖しているといいます。「これまでいなかったからといって油断しないで」と注意喚起がなされています。

ヤマビルの生息域は岩手・秋田県以南の本州から四国、九州までと広域です。愛犬の散歩エリアの近くに山がある、畑があるなど、野生動物が出没するような自然豊かな土地に住んでいる飼い主は特に注意が必要です。今回は人や動物の血を吸うヤマビルのお話です。

そもそもヤマビルってどんな生き物?

ヤマビルは陸上に住むヒルで、体に3本の縦縞があります。体長は2~5cmの円筒形で、伸びると5~7cmになります。体の前後腹面に吸盤があり、尺とり虫のようにほふく運動で動き回ります。動物や人が吐く息に含まれる炭酸ガスや体温などを敏感に察知し、1分間に1m程度の移動速度で人や動物に接近し付着しています。

体は弾力性に富んでいるので、踏んづけられてもつぶれない強い筋肉を持っています。寿命は3~5年程度といわれています。活動期は4月~11月ですが、気温・湿度・降水量などヤマビルの生息や活動に最も適した6月~9月に生息数も増え、気温20℃以上の雨が降っているときや雨上がりには活動が活発化します。

活動域の拡大は山に訪れた人や野生動物が媒介していることが要因とされています。登山道、林道、獣道、遊歩道、広場など、人や野生動物が頻繁に行き来する道の脇(ほとんど1m以内にいる)、日陰などの湿った落ち葉の下などに潜んで付着する機会をうかがっているので注意が必要です。

ヤマビルに吸血されたら?

ヤマビルの付着は、人も動物も気が付かないことがほとんどです。ヤマビルは吸血の際に「ヒルジン」という麻酔効果のある血液抗凝固物質を出し、吸血時の痛みをなくすので、吸血されていることに気付かないのです。さらに、血液の凝固も妨げるため、吸血後の傷跡からタラタラと出血が続きます。

やがてその出血は止まるので、それが原因で命に関わる事態になることはありません。現時点では吸血による寄生虫や病原体の伝播などは確認されていませんが、ごく稀に傷口が細菌類に感染し、じんましんや発疹、発熱を引き起こすことがあります。

吸血しているヤマビルに気づいたら、すぐに除去します。無理に剥がすと皮膚を損傷したり、ヤマビルがちぎれて噛まれたところがそのまま残ってしまう場合もあるので、できるだけ塩あるいは塩水、消毒用エタノール等をかけて除去するようにします。タバコの火やライターの火を近づける方法もありますが、被毛のある愛犬に対しては適切ではありません。

除去後は治癒を早めるために、傷口から血を押し出し体内に入った「ヒルジン」の成分を流し出します。ポイズンリムーバー(虫に刺された際に毒を吸い出す器具)を使うと便利です。除去後の傷口は、水で洗い流します。そして、虫刺され用の軟膏などを塗って絆創膏で抑えて出血を止めます。犬の場合には剥がしたり、舐めたりしてしまうことが多いので、薄くガーゼなどを当ててテーピングをしておくとよいでしょう。

吸血されないようにするには?

飼い主の場合は、ヤマビルを避ける効果の高いスプレーなどを使用します。水にも流れにくいものが販売されているので、衣類や靴などに予め吹きかけておくとヤマビルが足元から登ってくるのを防ぐことができます。また、前述したようにヤマビルはナメクジと同じように塩に弱いので、濃度20%以上に希釈したものを衣類や靴にかけると効果的です。足元が吸血被害に遭うことが多いので、塩水に浸して乾かした靴下を履くのもオススメです。また、ストッキングは目が細かくヤマビルが皮膚に噛みつけないので、これもまたオススメです。

愛犬の場合には靴を履いていないので、一番ヤマビルに狙われるのが足の裏と指の間です。特に指の間は被毛もなく柔らかいため、噛まれやすい場所です。予防としては靴を履かせることです。かなり湿った場所を歩く際にはシリコン製の靴がオススメです。

ただ、靴を履くのを嫌がる犬もいます。もし、愛犬が嫌がるようなら、ハッカ水を足に吹きかけておくのもひとつの方法です。夏場の散歩の虫よけになるほかヤマビルにも効果があります。ハッカ水は犬にも問題なく使用できるので、足を中心に体に全体にスプレーしておくとよいでしょう。

まとめ

近年は登山やハイキングに出かけたときだけでなく、草の多い散歩道でもヤマビルの吸血被害が確認されています。また、都心でもタヌキやハクビシンなどの野生動物が生息しているので、それらがヤマビルを媒介している可能性もあります。

思わぬところでヤマビルの吸血被害に遭うかもしれません。愛犬と一緒の川遊びやキャンプ、ハイキングなどはとても楽しい時間です。また、毎日の散歩も楽しい時間です。飼い主よりも被害に遭いやすい愛犬を守るためには、飼い主がしっかりと対策をする必要があるでしょう。

[編集部]