猫との暮らしで知っておきたいこと Vol.175

【猫飼いTIPS】どの猫種が長生き? 英国の臨床データ統計から猫種ごとの寿命が判明

[2024/05/24 6:01 am | 編集部]

猫は私たちの生活に喜びと癒しをもたらす愛すべき存在です。飼い主としては、愛猫ができるだけ長く健康で幸せに過ごしてほしいと願うものです。

猫の寿命はさまざまで、遺伝や生活環境、健康管理によって大きく影響されます。寿命は猫種によって異なることが示唆されていたにもかかわらず、この分野では明確な研究が行われてきませんでした。

しかし、新しい研究によると、バーミーズとバーマンは長生きで、スフィンクスは平均寿命がもっとも短いことが明らかになりました。

どんな研究だったの?

この研究は、2019年1月から2021年3月までに死亡した英国内のペット猫約8,000匹のデータを調査したもので、Journal of Feline Medicine and Surgeryに掲載されました。

研究チームは、数千匹の飼い猫の平均寿命を示すグラフを作成することで、飼い猫の平均寿命をより具体的に分類しようとしました。

調査データは、「VetCompass™」の死亡証明書データが使われました。VetCompassプロジェクトは、ロンドン大学 王立獣医科大学(RVC)が進めるもので、健康問題の範囲と頻度を調査し、もっとも一般的な障害の重要なリスク要因を特定することを目的としています。

英国でも一般の動物病院の診療情報は個別に管理されています。これらの記録はペットの健康に関する重要な情報を生成する可能性があるにもかかわらず、ほとんど活用されていませんでした。

このプロジェクトは非識別化された形式で臨床データを収集し整理することで、動物の長期的な健康と福祉に役立つ研究のために活かされています。

猫種による寿命が判明

研究の共著者であるRVCの獣医疫学准教授ダン・オニール博士は、猫の健康管理について十分な情報を得たうえで意思決定できるようにするため「データを活用することが主な目的だった」と述べています。

猫種の平均寿命は有用な指標ではありますが、それだけではすべてを語ることはできません。研究者たちは、猫の予測寿命をより正確に把握するため「生命表」を開発しました。これは、特定の年齢に達する前に死亡した猫のデータを除外して、任意の年齢における猫の平均余命を推定するものです。

研究によると、飼い猫の平均寿命は11.7歳でした。全体的に、交雑種の猫は純血種の猫よりも約1.5年長生きという結果が導き出されました。出生時平均寿命がもっとも長かったのはバーミーズとバーマンで、それぞれ14.4歳でした。

逆に出生時平均寿命がもっとも短かったのはスフィンクスで、平均寿命はバーミーズやバーマンの半分以下、わずか6.7年でした。これはおそらく、心臓疾患やそのほかの病気にかかりやすい遺伝的素因によるものであると考えられます。

雑種を含む12種の平均寿命ランキングは以下のとおりです。

 ・バーミーズ:14.42歳
 ・バーマン:14.39歳
 ・交雑種:11.89歳
 ・サイアミーズ::11.69歳
 ・ペルシャ:10.93歳
 ・ラグドール:10.31歳
 ・ノルウェージャンフォレストキャット:9.95歳
 ・メインクーン:9.71歳
 ・ロシアブルー:9.65歳
 ・ブリティッシュショートヘア/ロングヘア:9.58歳
 ・ベンガル:8.51歳
 ・スフィンクス:6.68歳


猫種以外の要因

猫種以外の要因も猫の寿命に関係しています。メス猫はオス猫より平均1.3年長生きし、去勢・避妊手術を受けた猫は、受けてない猫より1.1年長生きしました。

人間と同様に、ライフスタイルが寿命に影響を与えることも判明しました。たとえば、肥満の猫は長生きできない傾向がありました。また、新しい猫種を生み出すための、異なる血統の交配も寿命に影響を与えていることもわかりました。

このような繁殖は、心臓や目の疾患、正常よりも弱い筋肉など、猫によく見られる先天異常に関連していると研究者らは指摘しています。彼らは、スフィンクスは、不健康なペットを生み出した繁殖の典型例であると指摘しました。

また、完全室内飼育か、自由に屋外に出られるといった文化的要因も、推定寿命に影響を与える可能性があると研究者らは指摘しています。

VetCompassのデータは、猫が室内飼育なのか、あるいは外に出るかどうかやその頻度までを記録していないからです。日本では、環境省の「宣誓!無責任飼い主0(ゼロ)宣言!!」において、「猫は室内で飼いましょう」と明記しています。

これは、「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」にも、疾病の感染防止、不慮の事故防止等猫の健康及び安全の保持並びに周辺環境の保全の観点から屋内飼養に努めることと明記されています。

研究共著者で台湾国立中興大学の獣医疫学助教授、ケンディ・ツーユン・テン博士は、この生命表は猫の飼い主や獣医が養子縁組や医療、安楽死に関する重要な決定を下す際に考慮すべき多くの情報を提供すると述べています。

まとめ

この研究結果には、SNSでさまざまな反応があったようです。その多くは、認識していた以上に寿命が短いというものだったといいます。

ペットは私たちの4倍のスピードで年を重ねていきます。その生涯は人間よりもずっと短く、時の流れのまま過ごしているとあっという間に旅立ってしまいます。

亡くなってから後悔するのではなく、愛するペットとともに「今をどう生きるのか」を真剣に考えることが大切です。ペトハピでは、ペットの一生を大切にすべく「ペットの終活」をオススメしています。あわせてご覧ください。

[編集部]