円山動物園でオスとして育てられていたライオンが「実はメスだった」微笑ましい話

先日、北海道札幌市にある円山動物園が、飼育中のライオン「クレイ」がオスではなくメスであることが判明したという発表をしました。

クレイは令和4年5月5日に愛媛県立とべ動物園で誕生し、令和5年10月11日に円山動物園に来園したそうですが、生後20日齢時にオスと判定されていたため、誰もがそう認識し続けていたわけです。飼育員と獣医師による観察で、頭部に今後成長すると思われるたてがみのような被毛と、陰部に陰嚢のような膨らみが見られ、立派なオスの風貌に成長していくことを大いに期待されていたそうです。

しかし、年齢が1歳6カ月を過ぎても同年齢のオスのライオンで見られるような明らかなたてがみの成長が見られないことや、排尿の様子などから、オスではなくメスではないかとの疑義が………。

そのため、北海道大学獣医学部に検査を依頼し、まずはクレイの負担が少ない糞便と被毛による遺伝子検査で性別判定ができないか試みます。しかし、判定できず、血液による遺伝子検査の実施が必要と判断。令和5年12月13日に麻酔下でクレイの血液を採取することになりました。

その際の獣医師による触診では、陰嚢のように見えていた膨らみは、被毛による膨らみ。内部に睾丸は確認できなかったそうです。採取した血液による遺伝子検査の結果、令和6年1月18日にクレイはメスと判定されました。協議の結果、クレイは再びとべ動物園へ戻ることになったそうです。

じつは、猫のブリーダーでもときどき耳にする話なのです。生後間もないころはオスかメスかの判別が難しい子猫がいますし、少し成長してから「オスだと思っていたらメスだった」「メスだと思っていたらオスだった」ということがあります。

生後間もないころに性別を判断したら、それを前提に育てるので……。完全な思い込みですね。猫はライオンと違って、成長してもオスとメスで容姿の違いはありません。ただ、オスの場合、個体差はありますが睾丸が下りてくるのは生後2~3カ月くらいなので、そのころに間違っていたと気づくことが多いのでは……と思います。

ですから、今回のライオンの性別間違いの記事を読んだとき、思わず笑ってしまいました。「性別の判断は難しいよね~」「生後間もなくは判断できない子がいるよね~」と。

あらためてメスとして生きていくクレイの今後が、幸せなものになるよう願います。いつか出産して、お母さんになれるとよいですね。