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【ペットの終活】第3回 ペット保険とペット信託で万が一に備えよう

[2017/1/5 06:00 | 阪根美果]

ペット保険の選び方のポイント

ペットには公的な保険制度がありません。そのため、ペットが病気になったとき、治療費は飼い主が100%自己負担することになります。病気の種類や進行具合にもよりますが、手術も含め高額な治療費がかかるケースも出てきます。特に、シニア期を迎えたペットは病気やケガなどのリスクが高くなるので、その備えをしておくことが大切です。安心してシニア期を過ごすためにも、ペット保険の加入は大切な選択肢のひとつだと言えます。

近年、急激に数が増えてきたペット保険ですが、会社により掛け金や保障内容はさまざまです。補償内容に対して定率(50%・70%・90%)で規定の限度額内で補償するのが定率補償タイプ、補償内容に対して補償限度額まで実際にかかった治療費を補償するのが定額補償タイプです。

また掛け金の形態は、加入時から掛け金が変わらない完全定額制と加入時の年齢によって掛け金が変わり、その後も年齢に応じて掛け金が上がってく変動制があります。どの保険に加入したらいいのか、選び方がわからない飼い主が多いことでしょう。ここでは、ペット保険の賢い選び方のポイントについてご紹介します。

加入したい年齢から考える

保険に加入したい年齢により、選ぶ保険が変わってきます。ペットが1歳未満の幼齢期に加入したいのか、病気やケガの心配が増えてきたシニア期なのか、それとも生涯を通して加入したいのか、加入したい年齢や期間によって、適したプランは異なります。

幼齢期は体調を崩しやすく、ちょっとしたことで悪化してしまいます。そのため、通院などが多くなり、場合によっては手術の可能性もあります。その場合には、通院と手術の補償回数が多いプランが望ましいです。限度額は保険会社により違いがありますので、比較しながらチェックする必要があります。

シニア期からの加入であれば、掛け金と補償内容、加入年齢との兼ね合いで加入するかどうかを判断するとよいでしょう。加入年齢によっては、掛け金が高額になるプランもあります。保険料を抑えたいのなら、年齢に左右されない完全定額制のプランを選ぶとよいでしょう。

ただ、年齢制限があり加入できない場合もありますので、思い立ったら早めに検討する必要があります。生涯を通して加入したい場合には、終身プランを選択するとよいでしょう。ただし、完全定額制プランなら安心ですが、終身も高齢になると掛け金が高額になる変動制プランも多いので、契約前に掛け金と補償内容についてしっかりと確認することが大切です。

通院・入院の年間限度日数と限度額をチェックする

定率補償タイプの保険は通院・入院の年間限度日数が決められています。それを超えると補償が受けられなくなってしまいます。

一般的には通院は20日、入院は30日あれば十分と言われていますが、ペットが病気やケガをしやすいと思うようなら、限度額まで回数制限なしという定額補償タイプの保険もありますので、そちらを選択するとよいでしょう。いずれにしても限度額が決められていますので、年間の限度日数とともに限度額をチェックすることが必要です。

保険料を抑えたいなら特化型を選択する

手術に特化した保険プランであれば、保険料をかなり抑えることができます。手術の治療費は高額になりますので、その備えがあるだけでも安心です。

第3者に対する損害補償のある保険を選択する

ペットが他人に噛み付いてケガをさせたり、他人の物を壊したり場合などに必要な保険です。飼い主は「うちの犬はおとなしいから噛み付かない」「うちの猫は引っ掻いたりしない」と主張しますが、それは絶対はありません。そのときの状況、ケガや破損の状態によっては裁判になることもあります。賠償金額が高額になることも想定し、「もしも」の事態に備え、損害補償のある保険を選ぶことをオススメします。

専門家に相談する

自分での検討に不安があるようなら、専門家に相談してみるとよいでしょう。無料で相談ができるサイトも増えています。検索で「ペットの保険 無料相談」と入力すると、さまざまな会社の無料相談サイトが表示されます。ぜひ活用してみましょう。

ペット信託って何?

ペット信託とは、飼い主が自分の死後に備えて、自分の代わりにペットを飼育してくれる人を決めて、その人にペットの飼育費として残す財産を管理するためのしくみのことです。信託財産は相続財産とは別の扱いになりますので、相続に巻き込まれることはありません。大切なペットのために、確実に財産を残せる方法として注目されています。ペット信託は日本ではまだ新しい考え方で、主に行政書士事務所などが多く推進をしています。

2015年4月に日本初の「ペットあんしんケア制度」が本格的に開始されました。日本ペットオーナーズクラブが、飼い主とペットの生涯の安心を考えて設立した制度で、東京都獣医師会の推薦事業となっています。ペットが行き場を失うことのないように、しっかりと考えられています。

特に、すでに子どもが独立したシニア層にとって、ペットの存在する意義は大きなものでしょう。もし、自分たちが先立ったとき、残されたペットはどうなるのだろうと心配をするのは当然のことです。「ペットあんしんケア制度」はペットとの共生を考えた上で、飼い主の重要な選択肢のひとつとなるものでしょう。

ペットあんしんケア制度のしくみとは?

この制度を利用するためには、日本ペットオーナーズクラブの会員になる必要があります。入会審査を経て、入会金と登録金を支払い「プレミア会員」に登録します。飼い主に「もしも」の事態が起こったり、認知症になったり、入院などでペットの飼育が困難になった場合、事前に登録されている動物病院等で、生涯にわたり大切なペットを預かります。

飼い主が望めば、その動物病院等が仲介し、新しい家族を探すことも可能です。飼い主は契約と同時に「予定総生活費」となる費用を用意します。現金や生命保険での用意、もしくは契約時に生命保険に加入することなどで担保することもできますので、安心して利用できます。

ペットのサイズ・年齢・予定支払年数などにより費用が算出され、その資金の管理は日本ペットオーナーズクラブと委託契約を結んでいる信託会社が行います。万が一のときには登録動物病院に対して、信託会社が終身にわたって毎年の予定生活費を支払うしくみになっています。

もし、終身預かり中にペットが亡くなったり、里親が決定した場合には、未経過の「予定総生活費」は返戻金として加入時の契約書に従って、法定相続人(または受贈者)に返金されることになります。

ペットあんしんケア制度の特徴

1.かかりつけの動物病院に預けるので安心
ペットを預けるのは、原則として飼い主が信頼しているかかりつけの動物病院になります。これまでの診察記録などもあり、健康管理や病気への対応も万全です。かかりつけの動物病院が登録病院になっていない場合は、飼い主からの推薦に応じてもらうことで利用が可能となります。また、事前に登録されている動物病院から選択することも可能です。

2.一時預かりもできる
飼い主が元気な間は、短期間の一時預かりが可能です。海外旅行(7泊以上)や突然の病気やケガでペットの世話が十分に行えない場合など、事前に登録されている動物病院に預けることができます。

3.プレミア会員の特典が利用できる
長期に預かるペットの生活記録は、毎月1回飼い主に報告されます。また、制度スタート後は会員に準ずる人からの希望により、登録病院の了承のもとに月2回までの帰宅が可能です(1回につき最長3日間)。さらに、登録病院での健康診断を割引料金で受けることができるなど、いろいろな特典も用意されています。

ペット預かりの施設管理基準

ペットを預ける際にもっとも飼い主が気になるのは、どんな施設で生活することになるのかということです。登録動物病院により管理内容は若干変わってくるのですが、安心して大切な家族の一員であるペットを預けてもらえるように管理基準を定めています。

基本は「第一種動物取扱業者が遵守すべき動物の管理の方法等の細目(動物愛護法)」を遵守していることになります。施設管理基準の項目は次の内容です。ペットが健康かつ快適に生活していけるように、必要な項目が網羅されています。

  • 獣医師、看護師による毎日の健康チェック
  • 毎日の清掃、消毒により清潔に保ち、感染を予防
  • 食事は1日1回が原則
  • 冷暖房の温度管理
  • 散歩は1日2回が原則
  • 個室のゲージで管理(小型犬・猫の場合は最低畳半畳分確保、中・大型犬はそれ以上)
  • 毎年の健康診断とワクチン接種等の予防
  • 定期的なシャンプー(カット含む)・爪切り・肛門しぼり・耳掃除など
  • 生活記録を報告

契約前に何度も相談することが大切

「ペットあんしんケア制度」の契約前には何度も相談を繰り返し、飼い主やその家族は十分に納得した上で契約を結ぶことが大切です。何よりもペットの幸せを考え、安心してその後の世話を任せられるように、飼い主として責任を持って契約しましょう。

次回は「ペトハピライフノートを作成」

みなさんはペット保険に加入されていますか? 人間と同じで大きな病気をするまで保険のありがたみは感じにくいですが、ペットにも必要なときはやってくるはずです。ぜひ、この機会に検討してみてください。第4回は「ペトハピライフノートを作成する」です。ペトハピライフノートの内容と書き方について紹介していきます。

[阪根美果]