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【ペットの終活】第1回 ペットの終活は必要ですか?

[2016/12/15 11:00 am | 阪根美果]

ペットの終活とは?

「終活」という言葉は「終わりのための活動」の略語です。私たち人間の場合は、人生の最期を自分の理想的なものとし、後悔のないようにするための事前準備のことをいいます。それは超高齢化社会の中にある人間が、社会の変化とともに必然的につくり出した活動です。

「縁起でもない」と考えることを遠ざけてきた人生の最期。今では、背を向けることなく受け止める大切さを感じ、さまざまな準備を始める「終活」が広がっています。

こうした変化は、人間が飼うペットたちにも大きな影響を与えています。住環境の変化や獣医療の進歩、ペットフードの改良などにより寿命が延び、飼い主とともに生きる時間が長くなりました。そして、ペットに対する飼い主の考え方も「家族の一員」へと変化してきました。

癒し癒され、幸せいっぱいのペットとの生活。しかしながら、ペットは人間の4倍の速さで年を重ねていきます。そこには「別れ」という避けられない現実があります。人間よりも短い生涯であるからこそ、飼い主が「ペットの終活」をきちんと考え、できるだけ後悔のない、理想的な最期を迎えたいものです。

近年、ペットの終活についての話題が増えてきました。その多くは年をとった犬や猫に対する「最後の過ごし方」や「見送り方」に重きを置く考え方になっています。しかし、大切なのは「別れ」をきちんと受け止め、それまでのペットとの生活を有意義に過ごすために、何をするべきかを考え、行動することです。

「元気なうちにドックランで走って遊ぶ」「一緒に旅行へ行く」「おもちゃでたくさん遊ぶ」「写真を撮っておく」など、「別れ」を意識することで、今、何をしたいのか、何をするべきかが、わかってきます。ペットとともに楽しみたいことをできるだけ多くしておくのです。

そして、「病気になったら」「介護が必要になったら」「命が残り少ないとわかったら」「別れがきたら」といった現実に直面したときに狼狽するのではなく、事前に落ち着いて考えておくことで、後悔することを減らすことができるのです。

そのような前向きな終活をし、「ともに有意義に過ごせた」という納得した最期を迎えられれば、飼い主がその後に負うペットロスも軽減でき、ペットも幸せで安心した気持ちで虹の橋を渡れることでしょう。今、「ペットの終活」について、積極的に考える時期が来ているのです。

ペットの終活の取り組み内容

では、何をしておけばいいのか。第1回は、ペットの終活の取り組み内容について説明します。具体的な内容は次の4つの項目に分けられます。

医療・保険
飼い主の治療方針を決めて、ホームドクターをつくる。ペット保険やペット信託について知り、もしもの事態に備えておきます。

想い・思い出
ペットの写真やペットとのお出かけなど、これまでの思い出を振り返ることで、今、ペットと何をしたいのかが見えてきます。また、「ペトハピライフノート」を活用して、すべきことやペットの情報を整理しながら終活を進めていきます。
※ペトハピライフノートは「ペット終活のすすめ」の第4回でご案内します。

介護・ホーム
ペットが寝たきりや認知症になったときの介護の方法や方針、延命治療について考えておきます。利用できる施設やサービスなども事前に情報収集しておきます。

供養・お墓
飼い主が望む、ペットに合った供養スタイルを考えておきます。今は本当にさまざまな供養スタイルがあります。いざというときの金銭的・精神的な負担が軽減できるよう、事前に調べて、具体的に見積りを取るなど、準備をしておきます。

このような取り組む内容がわかれば、必要な準備が見えてきます。ホームドクターやペット保険はすでに決めている飼い主が多いでしょう。順番に進める必要はありませんので、興味のある項目から取り組むといいでしょう。各項目の詳しい内容は、第2回からお話していきます。

ペットが亡くなって後悔することって?

「ペットの終活」はペットが亡くなったときに後悔しないためのものです。できるだけ後悔のないペットとの別れを真剣に考えることで、これに取り組む本当の目的が見えてきます。

「ペットと納得のいく楽しい毎日を送ることができた!」と明るい気持ちで見送ることができたらと願うものですが、実際にはそうはいかないのが現実のようです。

ペットを亡くした飼い主のブログなどを見ていると、「どうしてもっと遊んであげなかったのだろう」「もっといろいろな場所に一緒に行っておけばよかった」「甘えてきたときにもっと撫でてあげればよかった」「やさしくしてあげればよかった」「健康に気を付けてあげればよかった」など悔いの残る言葉が多く見られます。その後悔の思いが強い飼い主ほど、深いペットロスに陥ってしまいます。

飼い主のあなたはどんなことで後悔しそうでしょうか? まずは、今のペットとの生活を振り返って、やっておかなければ後悔しそうなことを1枚の紙にすべて書き出してみましょう。その内容は箇条書きで構いません。そして、いつでも見える場所に貼っておき、ひとつずつ解消していきます。そうすることで、後悔することは確実に減っていくでしょう。

飼い主のあなたに後悔がない、あるいは少ないということは、そのぶんだけぺットは幸せで楽しい時間をともに過ごせたということです。今ならまだ十分に間に合います。

ペットの終活の取り組みポイント

ペットがシニア期に入ったら、始めることをオススメします。今は健康で元気いっぱいでも、「いつどうなるかわからない」というシニア期のペットの現実があります。ペットの終活を始めようという気持ちになったら、すぐに行動することが大切です。人間のようにペットは自分で終活を進めることはできません。ですから、飼い主が大切なペットのために、そして自分自身のために、積極的に取り組むことが必要です。

取り組む期間を決める
期間を決めずに取り組むと、だらだらと先延ばしにしてしまいがちです。「○○までに終わらせる」と決めて、計画的に取り組みましょう。期間は長くても半年以内で設定するのが理想的です。

同じ意識を持つ飼い主を見つける
いっしょに進める仲間がいると、たくさんの情報を得ることができます。相談しながら進めることもできるので、よりよい選択ができるかもしれません。また、同じ意識を持つ飼い主との交流は、ペットロスへの軽減にも繋がります。ペットが亡くなったときにも、その気持ちを十分に理解してもらえるはずです。同じ犬種・猫種の飼い主なら、より深い繋がりを持つことができるでしょう。出会いを楽しみながら、取り組みましょう。

ライフノートを活用しよう
ペットの終活のための専用ノートを用意して、必要なことを記入していきましょう。そのノートを見れば、家族みんながペットのことを把握することができます。そんな終活に便利な「ペトハピライフノート」は第4回でご紹介します。

専門的な知識のある人に聞く
それぞれの終活の項目において、専門的に知識を持った人がいます。医療や保険、介護、供養のことなど、わかりにくいことについては、助言を受けながら進めたほうがいいでしょう。

ご褒美を用意する
ペットの終活の取り組みが終わったら、あとは存分にペットとの時間を楽しんでください。何事にも対応できる準備が整っているので、いざというときにもあわてずに済みます。「愛犬といっしょに旅行へ行こう」「愛猫にかわいい服を買っていっしょに写真を撮ろう」など思い出に残るご褒美を用意しておくと自然とやる気も湧いてきます。同じ意識を持つ飼い主と一緒に考えるのもいいでしょう。素敵な思い出をたくさんつくりましょう。

次回は「もしもの事態の備え方」

まずは、ペットの終活における「4つの項目」と「取り組みポイント」を自分なりに整理することから始めてみましょう。第2回のテーマは、「もしもの事態の備え方」です。ホームドクターの選び方、飼い主の治療方針などについて考えていきましょう。

[阪根美果]