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「ゲーム・オブ・スローンズ」人気で波紋 安易に飼わないで

[2017/10/20 6:00 am | 編集部]

「ゲーム・オブ・スローンズ」人気で波紋 安易に飼わないで 日刊スポーツ

日刊スポーツ| 2017/10/03

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このコーナーでは、注目ニュースに対する編集部や識者のコメントを紹介します。

この元記事は、少し前に「thedodo.com」が伝えたものでした。

「ゲーム・オブ・スローンズ」はアメリカのテレビドラマシリーズで、見ている人も多いのではないでしょうか。シーズン1が2011年から始まっているので、それからシベリアン・ハスキーのブームが始まったようです。そして、飼えなくなってシェルターに持ち込んだり、捨てたりしているようです。

これは、アメリカの記事ではありますが、日本でも同様のことが起こっていました。「動物のお医者さん」というマンガを覚えていますか? 2003年にはテレビドラマにもなりました。このマンガによって、シベリアン・ハスキーブームが起こりました。しかし、アメリカと同様に飼い主が飼育放棄するケースが多発しました。保健所や動物愛護センターに託することなく捨てられた結果、野犬化するシベリアン・ハスキーもいたくらいです。

シベリアン・ハスキーは大型犬なので、ペット可のマンションなどであっても飼うのは簡単ではありません。名前のとおり、原産国はシベリアのツンドラ地帯です。極寒に耐えうる皮下脂肪と被毛を持っています。しかし、暑さに対しては脆弱なので、夏場は室内冷房を行う必要があります。

また、犬ぞりや荷物の牽引などの使役目的を持つ犬種なので、長距離疾走可能な強靭な体力があります。なので、日々、相当な運動量が必要となります。朝夕各1時間以上の早足散歩、ジョギング、自転車での同伴が目安にもなります。そして、豊富な運動量に比例してドッグフードの量も多く、高タンパク・低脂肪などバランスのとれた食事が必要となります。

このようなブームは、映画や漫画、テレビ番組やCMなどをなどをきっかけに起こります。そうすると、繁殖業者がブームに乗るべく過剰繁殖をします。そこには遺伝的疾患や母体に配慮することなく、とにかく数を追求します。その結果、ペットショップには人気になった犬種が並び、さらにブームを拡大させます。

もちろん、飼い主である私たちにも責任はあります。「かわいいから」ということで、安易に迎えてしまうことが要因になります。シベリアン・ハスキーの例でもわかるように、事前にどのような犬種なのか、自分に飼えるのかを考えれば、おのずと飼えるのか否かを判断できると思います。

そして、それは昨今の「猫ブーム」でも同じようになる危険をはらんでいます。メディアでは、猫がもてはやされ、芸能人もただ「かわいい!」を連発するだけ。犬でも猫でも小さいうちは、かわいいものです。しかし、当然、子猫も成長します。その成猫になった姿に言及することもありません。

テレビ番組では、できるだけ小さい子猫を出そうとして、ワクチン摂取前の子猫をスタジオに連れてこさせることもあります。これは、子猫の健康を考えると、絶対にしてはいけないことなのです。よく、動物愛護団体などが問題にする「8週齢」問題。

これは、動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護法)によって、欧米並みにしようと導入が模索されたにも関わらず、業界団体の反対によって「生後45日」とう附則がつき実効性のないものになってしまったという問題です。しかし、これよりももっと危険なことが番組で行われているのです。こういった動物愛護を謳った視聴率ビジネスもブームを冗長させているということに注意が必要ではないでしょうか。

このように、不幸なペットを増やさないためには、私たち消費者が考え、行動することが大切なのです。衝動買いするまえに、自分が飼えるかどうか考えること。

そして、しっかりと「健全」な繁殖をしている優良ブリーダーから迎える。その際には以下のことを確認しましょう。

・親犬・親猫の健康を確認する(予防接種、健康診断の受診歴など)
・繁殖場所を見学し、その際に親犬・親猫を確認する
・飼育環境が清潔で整っているか確認する
・繁殖の頻度を確認する(健全な繁殖をしているか)
・犬種・猫種の血統を考えた繁殖をしているか確認する
・犬種・猫種のスタンダードを理解してるか確認する
・親犬・親猫・兄弟姉妹から離す時期は法律を遵守しているか確認する
・犬種・猫種について歴史や特徴、疾患についての知識があるか確認する
・遺伝的疾患に対する予防や定期的な検査をしているか確認する
・譲渡時の契約書内容を確認する
・世界基準の血統書を発行できるか確認する(犬:JKC、KCJ 猫:CFA、TICA)
・譲渡後も相談やアドバイスをしてもらえるか確認

[編集部]