ペット生活ファーストステップ Vol.1

衝動買いはダメ! ペットを飼う前にこれだけは考えよう

[2015/10/19 6:00 am | 辻村多佳志]

ペットを飼いたい! かわいくて癒されて、家中が笑顔に包まれて、遊んだり旅したり一緒に眠ったりの幸せな日々。そんな天国のような暮らしを夢見ている人もいらっしゃるでしょう。しかし、ペットを初めて飼うとなると、わが家でも本当に飼えるのか、不安や疑問が次々に生まれてくるでしょう。この連載では、ペット飼育の入門中の入門、基本中の基本を一緒に考えていきましょう。

ペットショップをのぞいてみると、さまざまな種類の子犬や子猫が、ショーケースのなかで愛らしい姿を見せてくれています。犬好き、猫好きなら、すべての子を家に連れ帰ってかわいがりたくなるかもしれません。実際、ペットを飼い始めたきっかけが、ペットショップでひと目ぼれをしたから、という人の話はよく耳にするところです。

しかし、ペットはただ単にお金を払って買ってくれば自分の家族になる、などという生易しい物ではありません。そこに存在するのは、あまりにも小さくか弱いひとつの命です。常に体調や環境に気を配り、ごはんや排泄などの世話を一日たりとも欠かさず、犬なら雨の日も風の日も散歩に連れて行き、周囲に迷惑をかけないよう正しいしつけを行わなくてはならないのです。手間も時間も、もちろんお金だってかかります。人間の子どもを育てるのと同じような毎日が、10年も15年も続くわけです。

そういった覚悟もなく、飼育に反対する家族がいるような環境で、ただかわいいからと衝動買いしても、不幸を生むだけの結果になってしまうかもしれません。以前、犬関連のレスキュー活動をしている人から聞いたところによると、保健所に収容される犬や猫のなかには、歳をとったから、病気になったからなどの身勝手な理由で飼育放棄された個体もいるのだそうです。子犬でしたら引き取り手もあるかもしれません。しかし、老犬を引き取ろうという人はそう多くはないようで、新しい飼い主が見つからなければ、待っているのは殺処分です。

とはいえ、私の知人には、ペットはあまり好きではなかったのに、飼い始めたら情が移って大の愛犬家、愛猫家になった人もいます。多くの人がペットと幸せに暮らしていることを考えれば、ペット飼育の敷居そのものは心配するほど高くはないのですが、飼う前には自分や家族の環境を考えて、ペットの一生に責任を持てるかどうか深く考えるべきではないでしょうか。

ちなみに、東京都福祉保健局では、犬を飼うことについて、飼育の心構えの大切さを教えてくれる動物愛護読本「犬を飼うってステキですーか?」を公開しており、のちにアニメ動画も制作されました。東京都福祉保健局の公式サイトや動画閲覧サイトで見ることができますので、一度見てみることをオススメします

ペット別・向き不向きを考える

ペットの一生に責任を持ち、正しい飼育を行い、愛情を注ぐことができるなら、どのような種類のペットも飼えるはずです。とはいえ、それぞれのペットには、飼育に向く環境と向かない環境があるのも事実です。動物の種類が異なれば、生態や飼育の難易度は変わります。ペットと人間のどちらも幸せになれるよう、まず、飼うペットについての情報をしっかり集めておきましょう。事前に勉強をしておけば、こんなはずじゃなかった、の失敗が未然に防げます。

私は、愛犬のサモエドを飼う前に、さまざまな本を読んだり、愛犬のコミュニティで先輩に教えを請うたりして、それなりに勉強を重ねました。捨て犬を拾ってきて飼った経験や、友達の家で生まれた犬をもらって飼った経験はあったのですが、もしかしたらその子はもっと幸せになれたのではないか、自分の育て方が悪かったために辛い思いをしてたのではないか、と不安になったからです。

愛犬のサモエドです

いろいろと勉強していくと、犬は群れで生活する動物で、グループ内には明確な上下関係が構築されること、群れ生活なので孤独に強いとは言えないこと、そのため、ひとり暮らしで仕事が忙しく、家の中に誰もいなくなる時間や帰宅できない日が多い飼い主のもとでは、犬は大きなストレスを抱えることになりかねないことなど、飼う前に心しておかなければならない基本をたくさん知ることができたのです。

ほとんどの犬は、毎日必ず散歩に連れて行く時間が必要になるため、生活のリズムがどうしても犬中心になりがちですので、常に誰かが家にいて、しっかり世話ができる家庭環境が向いているでしょう。それに対して猫は、ひとりでいる時間が長くても、比較的ストレスをためにくいと言われていますし、毎日の散歩の必要もありません。もちろん、これはまず愛情あっての話で、放置や無関心があっては猫にとってよい飼育環境とはとても言えませんが、犬より飼いやすいという意見はよく聞くところです。

犬にストレスをためないためにも毎日の散歩は欠かせません

また、同じ犬でも、犬種によって飼いやすさや特徴が異なります。たとえば大型犬は、集合住宅では飼えないことが多いですし、私が師事したドッグトレーナーの先生によると、散歩の量も質も充実していないとムダ吠えなどの問題行動を起こしやすくなるそうです。ブリーダーさんからは、ダックスフンドのようにヘルニアになりやすい犬種は、段差が少ないマンション飼いに向いていること、パグやフレンチブルドッグのような鼻ペチャ犬は、室内の空調に気を使う必要があることなどをうかがいました。最近では、室内飼いが主流となりつつありますが、こうした環境では、トイプードルのように抜け毛も体臭も少ない犬種が向いているでしょう。こういった、犬種の特徴を事前に調べてから買うことが、失敗しないペットライフのコツです。

抜け毛も体臭も少なく、その愛らしい姿も人気のトイプードル

次回は、大切なうちの子をどうお迎えすればいいのか、ミックス犬の話題などを考えていきましょう。

[辻村多佳志]