人も犬も猫も快適に暮らせる省エネエアコン

[2017/06/09 6:00 am | 藤山哲人]

もうあと1カ月もすると夏本番。その前にチェックしたいのが、リビングなどのエアコンだ。まずやっておきたいのが、暖房運転から冷房運転への切り替えチェック。じつはこの切り替えに際して、室外機のバルブが動き、中を通るガス(冷媒)の経路が変わるため、切り替えたときに壊れる可能性がある。

エアコンを本格稼働する前に、事前にチェックを!

そこで、夏本番を迎える前のこの時期に、暖房運転から冷房運転に切り替え、設定温度を最低にして、冷房運転を15分ほどフル回転させてみてほしい。もし、これで部屋がキンキンに冷えれば冷房機能に問題はない。しかし、部屋の温度がさっぱり下がらないという場合は、すでに壊れている可能性がある。購入から10年近く経っている場合は、そろそろ買い替え時なので、新機種に買い替えるといいだろう。

また、エアコンは壊れていなくても、東日本大震災のあった2011年、2012年よりも前のエアコンを使っている場合は、現在のほうが省エネ性能が格段に向上しているので、電気代を節約するためにも買い替えがオススメだろう。

古いエアコンは電気代の面でも、ペットと一緒に暮らすにも、新しい機種に乗り換えるほうがいいだろう

とくにペットと一緒に暮らしている場合は、エアコンが必須。汗をかいて体温を下げられないペットたちは、舌や口呼吸から体内の温度を吐き出すか、日の当たらない冷たい床などで体を冷やすことしかできない。つまり人間のように、扇風機の風に当たってもワンちゃんやニャンコは、さっぱり涼しくないのだ。

それゆえエアコンをつけて猛暑をやり過ごすことになるが、利用時間がどうしても長くなる。だから、新機種に乗り換えると電気代も大きく変わってくるというわけだ。

ここでは、マルチーズの定吉くんと暮らす、筆者オススメのエアコンを紹介しよう。

エアコンに革命! ツインファンの独立した2つの気流で快適空間

通常のエアコンは、吹き出し口から見える細長い筒状の「ラインフローファン」というファンを使って送風する。しかし、三菱電機の「霧ヶ峰」FZシリーズは、なんとエアコン上部についている扇風機のようなファンを2つ備えて送風している。

運転していないときはかっちりスクエアデザインの三菱電機「霧ヶ峰」FZシリーズ
一般的なエアコンと違って、上部に換気扇みたいなファンがついている
エアコンを上から見たところ。換気扇が2個付いている(笑)

一般的なエアコンが使っているラインフローファンは、1つのファンなので、エアコンから出てくる気流は1つ。当たり前と言ったら、当たり前なのだが、それを三菱電機は2つのファンを搭載することで、同時に2つの気流を送れるようになった。簡単に言えば、エアコンを半分に切った2台のエアコンをつけているようなものなのだ。

上段が一般的なエアコンに搭載されているラインフローファン。下段はFZシリーズが内蔵する2つのファン「パーソナルツインフロー」

すると、これまでのエアコンにはできなかった、暑がりさんの男性に向けては冷たい風を送り、寒がりさんの女性には弱冷房するということが可能になったのだ。つまり、1台のエアコンから温度の違う風が出てくるというわけ。これは昨年からのエアコンのトレンドになりつつある。

これは暖房運転のイラストだが、冷房時も同様に吹き分けができる

とはいえ、これは人間にとって都合がいいが、ペットにとってはあまり意味がない。ワンちゃんやニャンコにとって気持ちがいいのは、三菱電機独自の「ムーブアイ機能」で、部屋をムラなく冷房する機能だ。ムーブアイ機能とは、簡単なサーモグラフィーのようなもの。画像として部屋や床、壁や家具の温度分布を調べて、どこに何℃の冷気を送ると、部屋が均一に冷えるかを計算しながら送風してくれるというものだ。

三菱電機の「霧ヶ峰」と言えば、やはり「ムーブアイ」と呼ばれる温度センサーだ。360度回転して、人のいる場所、壁や床の温度などを調べる
センサーが捉えた温度分布サンプル(左側)。右側は従来機のセンサーで解像度が低かった

日差しが差し込み暑くなっている床、外壁が熱せられて暑くなっている壁などを見極めて、そこを集中的に冷やしてくれる。しかも、省エネ性能もトップクラスで、電気代が安くなるのは必須。

おそらく夏になると、日が当たらない廊下や階段の床で寝そべっているワンちゃんやニャンコも多いことだろう。でも、三菱電機の「霧ヶ峰」FZシリーズをリビングに導入したら、いつも快適なリビングの床で寝そべって、触れ合う時間も増えるだろう。

高い省エネ性と賢いセンサー! 年中つけっぱなしならコレ!

三菱電機と省エネ性を競い合っているのが、パナソニックのエオリアだ。

30年ぶりにブランド名を復活したパナソニック「エオリア」

他社のエアコンは「霧ヶ峰」「大清快」「白くまくん」など、ブランドに慣れ親しんだ愛称をつけてきたが、なぜかパナソニックにはソレがなかった。いや過去にはあったが、長く利用した試しがなかった。しかし今回、30年前に使っていたブランド「エオリア」を復活! 昭和生まれの人なら「だから~♪エオリア♪」という徳永英明さんの歌声がよみがえる人も多いのではないだろうか?

これが30年前の昭和エオリア(笑)。リモコンにカードを差し込むと運転の切り替えができた

ちなみにエオリアとは、ギリシャ神話の風の神様アイオロスに由来する名前。日本で言えば、伊勢神宮の風宮に祭られている、古事記の志那都比古神(しなつひこのかみ)といったところだ(笑)。

こちらもトレンドである暑がりさんと寒がりさんの共存を目指した開発方針となっており、「温冷感センサー」で着ている服や体感温度を計算し、それぞれに心地よい温度の風を送る。三菱電機との違いは、エアコンの左右から出る風の温度は違う(実際には熱交換器の上部と下部で温度を変えている)ものの、風の強さはラインフローファンなので同じという点だ。

サーモグラフィーや温度センサーに加え、ひと・ものセンサーや日照センサーなどを組み入れ、人が不在になったときや、家具や間取りを把握し、日ごろあまり人がいない場所には送風しないなどの節電機能を持っている。また、同じ気温でも外からの日照が強く、これから暑くなるのか、涼しくなるのか? を判断して運転の強さをコントロールするなど、賢い省エネ運転が得意だ。

サーモグラフィーセンサーで部屋全体の把握をする

ひとセンサーでは小型のペットは感知できないので、お留守番のペットに快適な空間をつくるのは難しいが、いつも家族とペットが一緒にいる家庭は、家族みんなの快適空間をつくり出してくれるだろう。

部屋全体を快適空間に! 自然派志向の優しいエアコン

2社とまったく対照的なのは、テレビCMの影響もあってか売り上げを伸ばしている富士通ゼネラルの「ノクリア」だ。トレンドになりつつある、気流が人を追いかけたり、暑がりさんと寒がりさんを共存させるために、あえて部屋に温度ムラをつくるというアプローチにアンチテーゼを唱えている。

富士通ゼネラル「ノクリア」Xシリーズ。デュアルブラスターの効果が世の中に知れ渡り人気急上昇中!

春や秋など、暑がりさんも寒がりさんも気持ちのいい日がある。にも関わらず部屋に温度ムラをあえてつくったり、気流が人を追いかけるのは不自然。ノクリアは部屋全体を快適空間にして、冷気を直接人に当てることなく、よりナチュラルな空間をつくり出すという。

左右に2つあるデュアルブラスター。ここからは冷暖気は出ず、常温の風が出るのみ。つまりサーキュレーターの一種と考えてほしい

それを可能にしているのが、同社独自のデュアルブラスターという送風機。冷気を出す送風口とは別に、左右に強力な送風機(扇風機;常温の風)を設けることで、一般的なエアコンでは不可能な自然の気流がつくれるという。

たとえば、エアコンの冷気。冷気は重いので、吹き出し口のルーバー(羽)を上向きにしたところで、数メートルもするとシャワーのように冷気が降り注いできてしまう。しかしノクリアのデュアルブラスターを使うと、吹き出し口から出た冷気は、左右の強い気流に挟み(巻き)込まれ、より天井を這うように、より部屋の遠くまで冷気が届くようになる。

一般的なエアコンの冷気の流れを可視化した写真。いくら風向を上に向けても、冷たく重い冷気は数メートル進むと落ちてきてしまう
デュアルブラスターを使うことで、吹き出し口から出た冷気を天井に誘導しつつ、より遠くまで届けられる
冷気が直接当たらないので、自然な涼しさを得られる。肌が露出している服でも気流が当たらないので、寒さを感じない
運転開始時やお風呂上がりに涼みたい場合は、デュアルブラスターの気流のみを人に当てるので、不自然に冷たい風でなく、川岸から流れる涼しい風のような気持ちよさも選べる

やがて反対側の壁に当たると、気流は左右に分かれ肌ではほとんど感じられないような、やわらかい気流となり、部屋の空気をかき混ぜるのだ。また、デュアルブラスターを左右に応用して、一般的なエアコンではどうしても温度ムラができてしまうL字型の間取りを快適に冷房したりといったことも可能。

L字の間取りでも、デュアルブラスター機能で「より」冷気を曲げ、遠くまで届けられるので、広く複雑な空間でも自然に均一の涼しい空間をつくる

ペットや子ども、お年寄りに便利なのは、部屋が暑く(寒く)なりすぎると強制的に冷暖房を開始して、熱中症予防をする機能だ。これならペットにお留守番をさせて、急に暑くなったとしてもエアコン任せにできるので心配無用になる。エアコンの冷風に弱い女性や子ども、ペットには超自然な快適空間をつくるノクリアがオススメだ。

[藤山哲人]