【編集興記】人間のサンプルを犬と誤って識別したペットの遺伝子検査会社が非難されている

ちょっと気になったペット関連のトピックスを、編集スタッフが持ち回りで紹介する“不定期”コーナーです。

ペットの遺伝子検査会社が驚くべき誤りを犯し、大きな波紋を広げています。この会社は、人間のサンプルを犬と誤って識別してしまったことが判明したのです。

WBZ Newsの記事「Pet DNA company sends back dog breed results from human sample a second time」によると、調査チームが、自身の頬から採取したサンプルをペットの遺伝子検査会社「DNA My Dog」に送ったことで明らかになりました。

カナダにある同社の結果によれば、WBZ Newsの記者クリスティーナ・ヘーガーさんは、アラスカンマラミュートが40%、シャーペイが35%、ラブラドールが25%の遺伝子を持っているとされたのです。

ヘーガーさんは同じサンプルをほかに2つのペットの遺伝子検査会社にも送りました。オーストラリアとアメリカを拠点とするOrivet社は、サンプルが「犬種識別分析を行うのに必要なデータを提供できなかった」と報告しています。もうひとつのWisdom Panel社は、サンプルが「信頼できる結果を出すのに十分なDNAを提供しなかった」と回答したようです。

この報道は、昨年ニューハンプシャー州のミシェル・ライニンガーさんが、自身の頬から採取したサンプルを「DNA My Dog」にサンプルを送った顛末の記事の続報です。

そのときの検査結果では、レイニンガーさんはボーダーコリー40%、カネ・コルソ32%、ブルドッグ28%の遺伝子を持っているとされました。彼女は、冗談を交えて「その結果に同意する人もいるかもしれませんけどね」と語りました。

当時、DNA My DogはWBZニュースの取材に、提出された2つのサンプルのうち1本からは確かに犬のDNAが検出され、得られた結果は人間のサンプルでは起こりえないものだったと回答したようです。

Zion Market Researchの市場調査調査によると、犬の遺伝子検査の市場規模は2022年に約2億3,500万ドルで、年平均成長率(CAGR)約15%で推移し、2030年には7億2,300万ドルに成長すると予測されています。業界の主要企業には、DNA My Dog、Orivet、Wisdom Panelも含まれます。

しかし、ペットの遺伝子検査の精度を疑問視する声もあります。

ハーバード大学医学部生命倫理センターの獣医師で生命倫理学者のリサ・モーゼス博士は、この結果を「危険信号」だと指摘しています。犬のDNAを解析するうえで基本的なプロセスを踏んでいるなら、それが犬でないことをわかるはずだと。

また、犬種については明確な基準がないことも示唆しています。つまり、犬種は見た目や特徴に基づいて区別されるもので、遺伝子レベルでは必ずしも同じとは限らないということです。

この報道はSNSでも大きな話題となりました。「自分の家系図に犬がいないかチェックしたほうがいい」「犬のサンプルを人間用の遺伝子検査会社に送ったらどんな結果がでるのか興味深い」などなど。

これは、解析プログラムだけでなく人為的なミスともいえます。少し前に日本でも、ペットの遺伝子検査を行う会社が、犬の検査結果を取り違えて送ってしまったという事故がありました。

ペットの遺伝子検査は、飼い主がペットの健康や遺伝的な特性を理解するのに役立つ重要なツールです。しかし、このような誤った結果が生じると、その信頼性が大きく揺らぎます。

この事件は、ペットの遺伝子検査業界における信頼性とプライバシーの重要性を再確認する機会となりました。信頼を回復するために、業界全体が透明性と品質管理の向上に取り組むことが求められます。