死んだペットは「ゴミ」?尼崎市の騒動から考える ~自治体で異なる対応、専用の動物火葬炉は高額
このコーナーでは、注目ニュースに対する編集部や識者のコメントを紹介します。
ペットはいまや家族の一員であり、日常生活に喜びや幸福感をもたらしてくれます。彼らとのつながりは時間を経るにつれて深まっていきます。
しかし、ペットも人間と同様に寿命があります。多くの場合、私たちの寿命よりもはるかに短いものです。虹の橋に旅立った家族を、丁寧に供養してあげたいと思う人も多いとでしょう。
自治体によっては、ペットの火葬が行える施設を持つところもありますが、ほとんどはゴミとして家庭ゴミなどと一緒に焼却炉で焼かれることになります。当然、遺骨はかえってきません。
しかし、尼崎市の対応には少し配慮が足りなかったようです。尼崎市のゴミ処理券には、大型ごみ・臨時し尿に加えて「犬、猫等の死体等兼用」と明記されていました。
市議会での質疑を経て、市サイトにおけるペットの遺体引き取り情報を「ごみ・リサイクル」のコーナーから「衛生・ペット」のコーナーに変更し、あわせて支払い方法も変更されました。
このようなことが起こるのは、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」よって、動物の死骸が「一般廃棄物」とされているからです。ちなみに、畜産業から出る死骸は「産業廃棄物」と定められています。
しかし、「動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)」では、命ある動物を大切にする気持ちを抱き社会において命を尊ぶことや、適正に飼育管理することをもって、人と動物が共生する社会を実現することを目的としています。
法令が違えば解釈も異なる典型でしょう。羽田空港で発生した航空機衝突事故に端を発した、ペットの「荷物」扱いも同様です。飼い主の感情や社会の価値観と、法律との間に生じるギャップともいえます。
ある判事が、裁判官に任命された際に「法令の解釈が異なれば人々の行動が変わり、人々の行動が変われば社会のありようも変わる。司法にはこのような働きがあることを心に刻み、豊かで公正で寛容な社会の形成に資する判決・決定の作成に傾注する」と語っています。
裁判所の判決や法的な解釈の変化は、法律の発展に影響を与えます。特定の法律の解釈が変わることで、それに基づく法改正や新たな法の制定が行われる場合があります。
また、人々の行動や社会のニーズや要求の変化によって、法律も変化します。社会が変化するにつれて、新たな問題や課題が生じます。法律や規制はこれらの問題に対応するために改正されることがあります。
2022年6月に施行された「改正動物愛護法」がよい例です。動物の福祉に焦点を当て、虐待や遺棄の罰則強化、適正飼養のための規制の強化などが盛り込まれました。このように、時間はかかりますが、法律は社会の要請で変わることがあります。
ただし、丁寧に供養してあげたいと思うのであれば、民間の信頼できる業者や施設を利用するのが最善です。この記事の「ペットの供養の方法と火葬のしきたり」を参考にして、悔いのない供養をしてあげましょう。それこそが、飼い主の責任と感謝の気持ちではないでしょうか。
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