今年はどんな1年でしたか? ペット業界の2023年を振り返る
今年も気づけば明日の大晦日を残すのみ。読者のみなさんにとって2022年はどのような年でしたか? 振り返ると、新型コロナウイルス感染症が収束し日常生活が戻ってきた1年だったように思います。しかし、いろいろな意味で閉塞感から抜け出せなかったとも感じます。
世間を揺るがす事件もありました。ジャニーズ事務所の性加害問題、宝塚劇団員の転落死事件、ビッグモーター保険金不正請求、日大アメフト違法薬物問題、さらには年末に自民党の政治資金パーティー問題などが明らかになりました。まさに「秘匿されていたものが明るみに出た年」だったように思います。
同じことがペット業界にもありました。一昨年前くらいから、ペットショップチェーンが「保護犬・保護猫」活動をはじめその活動を大々的にアピールしていました。さらに、繁殖を引退した犬や猫を「保護犬・保護猫」などと謳って譲渡していた自称保護団体まで現れました。
しかし、その実態は保護された犬や猫ではなく、売れ残った犬や猫だったり、繁殖引退犬や猫だったのです。ペットショップチェーンでは、譲渡する代わりに保険やフードの定期購入を必須とするなど、まさに保護ビジネスであり、慈善活動ならぬ “偽善活動”だったのです。
当然、真摯に活動している保護団体や個人を蔑ろにするような活動は許されるはずもなく、世論の盛り上がりによって修正を余儀なくされ、「引退犬・引退猫」を謳うようになりました。
さらに、ペットの仲介サイトにおける問題点も明らかになりました。コロナ禍の影響もあり、昨今はこうした仲介サイトが雨後の筍のように出現しています。大手ペット保険会社の子会社もあったり、その多くは「優良ブリーダー」を紹介していると謳っています。
しかし、彼らの「優良」とは、私たちの認識とは異なるようです。優良は「ほかのものより、すぐれていること」という意味です。仲介サイトに掲載されているブリーダーは、とても有料とは思えないブリーダーが多々見受けられます。
見学を不可としていたり、一頭でで何十頭も掲載していたりと改正動物愛護管理法に照らしても問題と思われるブリーダーが掲載されているのには驚きです。さらに逮捕者が出るに至っては、とても優良とはいえないのではないでしょうか。しかし、「優良」についてはなにも是正されていないのが現実です。
「子猫の便に多数の回虫」増える犬猫購入トラブル~紹介サイトに潜む「悪徳ブリーダー」の見極め方
さらに、年末には環境省の要請で子犬・子猫を扱うペットオークション会場や繁殖業者への立ち入り検査が実施されました。生後56日(8週)が経過していない子犬・子猫の出生日を偽った取引が行われている可能性があるとみられています。
子犬・子猫の出生日偽装疑い オークション会場や繁殖業者を一斉検査
このように、業界や組織では常識とされていたものが世間では非常識であったことが明らかになり、それが問題となりました。
改正動物愛護法(いわゆる数値規制)が施行され段階的に厳格化されてきました。そして、来年の2024年6月に完全施行されます。しかし、法は万能ではありません。今年もいろいろな問題や事件が明るみになりました。抜け道はいくらでもあるのです。
改正動物愛護法の目的は適正飼養であって、悪質なブリーダーやペットショップの抑制にとどまりません。ペットとの共生社会は、不幸なペットがいない社会と言い換えられます。現在、日本だけでなく世界中で保護活動が行われていますが、いずれ飽和状態に達してしまいます。
大切なのは、今いる不幸なペットたちを救うことに並行して、不幸なペットを生み出さないことです。そのためには、法律だけでなく飼い主である私たちが、何が正しいのかを見極めることだと思います。情報に流されるのではなく、自分で考えることが真のペットとの共生社会を実現する一歩につながるのです。
ペトハピは来年も、真のペットとの共生社会を実現するために寄与していきます。また、愛犬・愛猫との暮らしが豊かになって、飼い主のみなさんがちょっと楽しくなるような情報をお届けしたいと思います。今年もご愛読ありがとうございました。
良いお年をお迎えください!
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