本当に「保護犬・猫」?ペット業界の知られざる裏側

本当に「保護犬・猫」?ペット業界の知られざる裏側

これから飼う予定なら知っておくべき重要事項

東洋経済オンライン | 2022/04/05

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このコーナーでは、注目ニュースに対する編集部や識者のコメントを紹介します。

一昨年くらいからでしょうか、ペットショップの「保護犬・保護猫」活動を目にするようになりました。ある大手ペットショップチェーンなどは、大々的にその活動をニュースリリースとして配信していました。その内容を見る限り、とても素晴らしい活動のように見えます。

ただし、その内幕は、この記事が指摘しているように、本来の「保護活動」とはまったく別物であることがわかります。まさに、慈善活動ならぬ “偽善活動” です。真摯に活動している保護団体や個人を蔑ろにするような、この “保護ビジネス” は許されるべきではないと思います。

ペットショップからすれば、「ニーズがあるからやっている。それのどこが悪い」と開き直ります。それは社会問題ともいえる、ペットオークションをはじめとする生体流通の悪しき慣習であることは明らかです。しかし、業界の自浄作用は期待できません。なぜなら、生体が売れればフードや用品が売れるからです。一蓮托生ともいえる業界が健全さを追求することは、どだい無理なことなのです。

一部のペットショップチェーンを除き、すでに販売する子犬・子猫の遺伝子検査の結果を明示するようになりました。これは、販売責任として正しいものだと思います。遺伝的な疾患がなければ、健康で長生きできる可能性が高いからです。

ただ、遺伝的な疾患がある(可能性がある)子犬・子猫の未来は決して明るくありません。あるペットショップチェーンでは、問題のある子犬・子猫はブリーダーに戻すとしていますが、その先どうなるのかは知るよしもないのです。

そういった子犬・子猫たちを、ペットショップが責任をもって販売するという姿勢はよいと思います。ただ、それは「保護犬・保護猫」ではないのです。行き場のない子犬・子猫を救うという大義があるのであれば、正直に「訳あって販売することが難しい子犬・子猫」とことわって募集すればいいのです。

そのうえで、そうした子犬・子猫にとってメリットのあるフードや用品、保険などをすすめる。さらに、何か予期せぬ出来事が起こった場合には、真摯に相談にのって一緒に解決策を考える。そんな活動であれば、安心して迎えられるのではないでしょうか。そうして迎えられた子犬・子猫は、きっと愛情に溢れた生活を送ることができるでしょう。

一部のペットショップチェーンがはじめた「保護犬・保護猫」活動は、動物愛護精神の高まりに水を差すような危険もあります。それでなくてもペットショップの健全化が叫ばれる現在、便乗商法はすぐにでも軌道修正すべきでしょう。また、彼らが所属する業界団体である全国ペット協会も、こういったビジネスに対する指針を示すべきでしょう。

結局のところ、ペット業界の慣習を変えられるのは、飼い主である私たち一人ひとりの声と行動しかないのです。何か正しく、何が間違っているのか。それを継続することで、ペットに関わる社会問題を解決することができると思います。ペトハピでは、そういった課題の解決策を引き続き提示して参ります。ぜひ読者のみなさんも一緒に考えていただけますと幸いです。