【猫飼いTIPS】なぜ猫は段ボール箱が好きなの?
インターネットなどで商品を購入すると、ほとんどの場合は段ポール箱に梱包されて送られてきます。商品の保護や物流の効率化、ブランドプレゼンス、環境への配慮など、さまざまな理由から段ポール箱が活用されています。
私たちにとっては、段ポール箱内の商品が目的ですが、猫の場合は商品よりも段ポール箱に興味を示すかもしれません。今回は猫と段ポール箱のお話です。
猫が大好きな箱とは
段ポール箱は、猫にとって説明しがたい魅力を持っているようです。しかし、なぜ猫は箱が好きなのでしょうか。
簡単にいえば、私たちにとって商品を保護する箱に過ぎないものは、猫にとっては単なる入れ物ではなく、居心地のよい隠れ家であり、遊び場であり、無限の楽しみの源でもあります。猫が箱を好む理由をいくつか見てみましょう。
安全な空間
猫が隠れる場所を必要とするのは、楽しさや豊かさのためだけでなく、メンタルヘルスのためでもあります。段ポール箱は家庭の喧騒から避難できる安全で閉鎖的な環境であり、安全な巣穴を見つけようとする猫の本能に合致します。
また、猫は待ち伏せ型捕食者なので、隠れた場所から突然飛び出して獲物を捕獲します。家で暮らす猫は狩りをする必要はないとはいえ、本能として残っています。
快適な寝床
一般的に、猫は暖かいところが大好きです。それは現代の家猫の祖先が、砂漠地帯に住んでいたリビヤヤマネコと考えられているからです。
段ポール箱には保温効果もありますが、狭い空間で丸まっていることで、より体温を保つのに役立ちます。
格好の遊びツール
猫は好奇心旺盛な生き物なので、猫は新しいものを調べるのが大好きです。段ポール箱は、ニオイや質感から、解き明かさなければならない新しいツールになります。
ニオイを嗅いだり、箱を覗き込んだりしながら、次の段階には箱に飛び込んだり、飛び出したりするでしょう。
段ボールのカサカサした手触りと狭い空間は、五感を刺激するようです。噛んだり、引っ掻いたり、千切ったりするのに最適です。後片付けが大変ではありますが……。
自分の王国
猫は単独で行動する生き物だと思われていますが、じつはとても社会的な生き物なのです。猫の顔にはフェロモン腺があり、フェロモンを分泌し自分のニオイを残します。これは、その箱が自分の特別な場所であることを示す行動です。
多頭の場合は、お互いのニオイを混ぜてひとつのニオイをつくり出します。これはコロニーのニオイとして、コロニー内のすべての猫に、段ポール箱が特別な場所であることを認識されるのです。
狭くても大丈夫?
ネコ科動物は待ち伏せ型捕食者なので、素早く移動して空間を制圧する能力は、彼らが生きていくうえで非常に重要でした。小さくて動きの速い獲物を狙っている猫は、隠れた場所から突然飛び出して捕獲します。
猫は独特の柔軟性を持っているため、これが可能になるのです。猫の鎖骨はほかの動物や人間のように堅く結合しているのではなく、柔軟で自由に動くことができるなど驚くほど機敏な身体構造を備えています。
また、柔軟な椎間板を持つ背骨や、比較的小さく自由度の高い肩甲骨も猫の柔軟性に寄与しています。ですので、むしろ狭い空間のほうが彼らにとっては好都合ともいえるのです。
まとめ
猫にとっては、せっかくプレゼントした猫用ベッドよりも、それを包んでいた段ボール箱のほうが好みかもしれません。実際に段ボール箱に毛布やクッションなどを入れて、自作している人も多いと思います。彼らが快適で、お金を節約できるのであれば一石二鳥です。
保護された猫は、はじめに箱を用意してあげたほうがよいという研究もあります。オランダのユトレヒト大学の研究「The effect of a hiding box on stress levels and body weight in Dutch shelter cats; a randomized controlled trial」によると、箱があった方がなかった場合よりも、新しい環境に早く適応したようです。
段ボール箱は、猫にとっても、飼い主にとってもメリットのあるツールかもしれませんね。バラバラにされたゴミの処理は大変ですが(苦笑)。
コメントを送信