【犬飼いTIPS】狼爪は切除してもいい? 犬の狼爪について知っておくべきすべてのこと

犬にも私たちと同じように、爪が生えています。コンクリートなどの上を歩くとカチカチ音を立てたり、土を掘ったり、ベッドやソファに傷をつけたりすることがあります。

しかし、犬には狼爪(ろうそう)と呼ばれる「余分な」爪があります。なぜ、このような爪があるのでしょうか? 今回は狼爪のお話です。

狼爪とは

愛犬の前足を見てください。ほかの足の爪よりも少し離れた高い位置にある爪が狼爪です。私たちの手のでいうところの親指です。

後ろ足に狼爪がある犬種もいます。グレートピレニーズやブリアードには2本の狼爪がありす。つまり、指が6本あることになります。 これは多指症ということではなく、犬種のスタンダードとして望ましいとされています。

狼爪の用途

犬の祖先は、猫のように木登りをしていたとされています。そのため、狼爪は木や崖を登るために重宝したということです。

しかし、進化するにつれて、狼爪は前脚の高い位置に移動し、地面から離れるようになりました。その結果、捕食者から逃れるためのスピードが増し、大半の犬にとって狼爪は機能しなくなりました。

特定の犬種や使役犬、例えば狩猟犬、軍用犬、捜索救助犬などは、今でも掴んだり固定したりするために狼爪を使用しているものも少なくありません。

荒れた地形を走るとき、狼爪が地面を確実に捉え、より速く移動することができます。また、アラスカや南極大陸など極寒の地に暮らす犬種は、水に落ちて脱出する際に、氷を掴むために露爪を使います。

犬種による狼爪の違い

すべての犬種は、生まれながらにして前足に狼爪があります。しかし、セント・バーナードやアイスランド・シープドッグなど、後ろ足にも狼爪を持つ犬種もあります。

もし、愛犬に露爪がない場合は、退化していることもありますが、ほとんどの場合ブリーダーが生後すぐに狼爪を切除したということでしょう。

狼爪の切除は必要?

慣例として、子犬が生まれてすぐに狼爪を切除する場合があります。これは、将来的に起こりうる狼爪の怪我や損傷を防くこと。そして、スタンダードを守ることが目的です。

しかし、狼爪の怪我はペットの犬ではそれほど頻繁に起こるわけではありません。むしろ、荒れた地形を走る使役犬にはしばしば発生します。

子犬のうち狼爪を切除すべきだという獣医学的根拠はありません。狼爪は犬が前足に力を入れたときに手根関節(足首の関節)を安定させ、トラクションを高めることができるのです。

子犬の狼爪は、骨が完全に形成されていないため獣医師が比較的簡単に切除することができます。子犬にとっては痛みを伴う不必要な手術ですが、短時間で終わり治りも早いのは事実です。

大人の露爪の切除は、全身麻酔をかけた外科手術になります。獣医師は、骨、神経、筋肉、血管を慎重に見極めながら切除する必要があります。術後も抜糸までは2週間ほどかかり、その間は運動制限が必要で、エリザベスカラーを装着して、傷を舐めないようにします。

このように、成犬の狼爪切除は犬にとっても苦痛やストレスになるため、狼爪自体に重症を負ったり、腫瘍、骨折、感染症などの場合以外は行うことは稀です。

狼爪の怪我

狼爪は、ほかの爪よりも傷める可能性があります。それは、狼爪が伸びすぎてしまうことが多いからです。そのような状態だと、物などに引っかかって折れてしまうことがあります。

狼爪の損傷

狼爪が折れた場合、クイック(爪の中心にある神経や血管を含んだ組織)が露出すると出血します。これは、爪を切りすぎた場合にも起こります。止血するには、まず圧迫止血をしましょう。出血している部分を清潔なガーゼなどで血が止まるまで強く抑える方法です。

小麦粉、片栗粉、コーンスターチを止血剤の代用にすることもできます。出血している部分に粉をふりかけ血が固まるまでの数分間待ちます。

傷口から雑菌が入ると炎症を起こしたり、感染症にかかる可能性があるので、念のため動物病院を受診しましょう。

感染症

肉球やほかの指と同様に、狼爪も巻き爪や爪床の感染症になることがあります。また、アレルギーやストレスから過剰に舐めてしまうことも、感染症の原因となります。

感染症の徴候としては、皮膚の変色、腫れ、異臭があります。感染した爪の治療には、抗生物質の投与と包帯やテーピングを巻くこと、そして爪の部分を舐めないようにエリザベスカラーを装着する必要があります。

狼爪のお手入れ

怪我を防ぐために、狼爪もほかの爪と同じようにお手入れすることが大切です。よく観察し、伸びているようなら、クイックを傷つけないように切ってあげましょう。

ほかの爪は、散歩でアスファルトの上を歩いたり、ドッグランで走ったりしてすり減っていきます。しかし、狼爪は地面に触れることがないので、すぐに伸びてしまうのです。

まとめ

あなたの愛犬には狼爪はありますか?もしある場合は、適切なケアをしてあげれば、問題になることはありません。伸びてきたなと思ったら、ほかの爪同様にクイックを傷つけないように切ってあげましょう。