【猫飼いTIPS】猫は取っ組み合いから生きていく術を学ぶ!?

子猫たちを眺めていると、よく取っ組み合いをしています。エキサイトすると、まるで喧嘩をしているかのような鳴き声や唸り声をあげることがあります。

しかし、それは喧嘩をしているのではありません。猫の成長に欠かせない、大切な遊びなのです。今回は子猫の遊びについてのお話です。

産まれた瞬間からお乳の取り合いが始まる

母猫は1匹ずつ子猫を出産します。母猫がへその緒を噛み切り、子猫を舐めてキレイにすると、子猫は母猫のお乳を自分で探して吸い付きます。

1匹目は競争相手がいないので機嫌よくお乳を飲んでいますが、2匹目以降が産まれるとお乳の争奪戦が始まります。

まだ目も開いていないのに、お乳を飲んでいる傍にほかの子猫が近づくとお乳を咥えたまま両手で押しのけようとします。お乳を取られまいと、ものすごい速さで手を動かして阻止します。頭でぐいぐい押して、お乳を飲んでいる子猫を押しのけようとすることもあります。

大きな子猫や生命力の強い子がその争奪戦に勝利します。産まれたときには同じような体重でも、少しずつ差が出てくるのはそのためです。

野良猫の場合は、その争奪戦に負けてお乳が十分に飲めない子は、命を落としてしまうこともあります。しかし、健全なブリーダーのもとで産まれた子猫は毎日体重を測りながらサポートされるので、争奪戦に負けても育つことがほとんどです。

成長とともに遊びが多様化、複雑化する

子猫は生後3週間くらいから、足腰がしっかりとしてヨチヨチと歩けるようになります。このころから一緒に産まれた兄弟姉妹と噛みあったり、キックしたりして遊ぶようになります。

最初はじゃれあう程度ですが、次第に多様化、複雑化して激しさも増していきます。実際に遊びに使われる基本動作は8種類あるといわれています。

子猫の成長に従って、できる動作が増えていきます。すべての動作ができるようになるのは、生後7週間ごろ。遊んでいたと思ったら、本気の喧嘩になることもしばしばあります。

・仰向けにひっくり返りほかの子猫を遊びに誘う
・立ち上がりひっくり返っている子猫の上に覆いかぶさる
・横歩きしながらほかの子猫に近づいたり、周囲を回ったりする
・追いかけっこをする
・座った状態から直立姿勢になりほかの子猫の様子を伺う
・体勢を低くしてほかの子猫の様子を伺い、突然飛び出す
・水平飛び(背中を反らし尻尾をたてて跳ね上がる)をして驚かす
・2匹で立ち上がって、互いに猫パンチを繰り出す


狩りの仕方やコミュニケーションの取り方を学ぶ

子猫は前述したように追いかける、飛びつく、忍び寄る、じゃれあうなどをしながら、狩りに必要な能力を身につけていきます。

動物の急所である首筋を噛むという狩りで重要な動作も学んでいきます。ときには本気の喧嘩になりながら、互いの痛みの程度を知ることで力加減を学びます。

1匹で産まれた子猫は兄弟姉妹とのそのような経験がないので、強く噛んだり、加減のない猫パンチを繰り出したりして、ほかの猫ともめることが多々あります。

コミュニケーションの取り方を学ばせるため、生後2~3カ月くらいまでは母猫や兄弟姉妹とは離さずに、一緒に遊ばせることが大切です。

健全なブリーダーは産まれた子猫が社会化期を1匹で過ごすことがないように、同時期にほかの母猫も出産するように配慮しています。

兄弟姉妹がいなくても、ほかの母猫が生んだ子猫たちと過ごせるようにと考えています。子猫が生涯に渡って幸せに過ごしていけるように、大切な社会化期を逃さないことが大切なのです。

とはいえ、産まれた子猫が1匹だけ、また保護した子猫が1匹だけということもあるでしょう。そのような場合には猫のおもちゃなどをうまく利用して、狩の仕方やコミュニケーションの取り方を学ばせることが大切です。

猫は飽きっぽい性格の動物なので、つねに新しいおもちゃを用意する必要があります。いくつか違うタイプの物を用意して、ローテーションすることをオススメします。

ただし、人間の手を動かして遊ばせることは避けたほうがよいでしょう。「人間の手=獲物」と勘違いして噛み癖がついてしまいます。人間の手を見たら噛みつくようになってしまうためです。

まとめ

子猫同士がよく取っ組み合いをするのは、そこから猫の社会で生きていく術を学んでいます。その大切な時期を1匹で過ごした子猫は、ほかの猫とのコミュニケーションが下手でもめることが多いようです。兄弟姉妹が多い猫のほうが上手に生きていけるのかもしれませんね。