【犬飼いTIPS】愛犬にも年に一度の健康診断が大切な理由と検査内容を知ろう
毎年、動物病院から「そろそろ健康診断の時期ですよ」というお知らせをもらっている飼い主さんは多いのではないでしょうか。私たちも定期的に健康診断を受けるように、犬も定期的に健康診断を受けることが推奨されています。
年に一度の健康診断は、愛犬の健康維持のためです。この動物病院での診察とは一体どのようなものなのでしょうか? 今回は健康診断でチェックされることや、診察で期待されることをご紹介します。
なぜ犬の定期健診が必要なの?
私たちは、年に一度は健康診断を受けるべきだということを知っていますが、体調に顕著な問題がなかったり、面倒くさがって先延ばしにしてしまうことがあります。
しかし、犬は体調が悪くても、いつも病気のサインを見せるわけではありません。健康診断を受けると、自宅では気づかないようなことが発見されることもあるので、愛犬が本当に病気になる前に治療できたり、予防ケアについて、獣医師と話す機会にもなります。
米国動物病院協会(AAHA)と全米猫獣医協会(AAFP)による「犬の予防医療ガイドライン(Canine Preventive Healthcare Guidelines)」によると、すべての犬は少なくとも年に1回、シニア犬は半年に1回獣医師の診察を受ける必要があるとしています。
さらに、慢性的な疾患を持つ犬の場合は、診察の頻度を増やしたり追加の診察が必要な場合もありますので、ホームドクターと相談して愛犬に最適な診断計画を立てるようにしましょう。
健康診断の準備
ちょっとした準備で、愛犬の年1回の動物病院訪問はかなり簡単になります。多くの犬は、おやつをもらったり、かまってもらったりするので、待合室での時間を楽しむことでしょう。
診察室に入るまでは、リードをつけるか、キャリーやクレートに入れておくとよいでしょう。動物病院では通常、全員の安全のためにペットを制御することが求められます。待合室では、愛犬が離れることのないようにしっかりと傍にいるようにしましょう。動物病院では多くの犬や猫が待っているので、愛犬がどんな行動を取るかわかりません。
もし、愛犬がクルマ酔いや動物病院でストレスを感じたりするなら、事前に犬に安全な鎮静剤やサプリメントを処方してもらうのもよいでしょう。
あとは、最近気になっていること(犬猫の状態や行動など)、食事、うんちやおしっこの状態、最近の病気や通院記録(服用している薬やサプリメント含む)などをメモしたり、記録があれば持参すると受診をスムーズにできます。便のサンプルを持参することを指示されることもあるかもしれません。
健康診断では何を調べるの?
検査は簡単なもののように見えるかもしれませんが、獣医師は猫の頭からしっぽまでくまなく観察しています。自宅では気づかない病気の初期症状も含めて、獣医師は愛犬の健康状態について多くを把握します。
まず、獣医師は食事(食欲や飲水)やトイレの様子、行動全般について質問します。体重を測定し、体温や心拍数、呼吸数を調べることもあります。また、ホームドクター以外であれば、最近の疾患や服用している薬なども聞かれることがあります。
健康診断には、観察・触診・聴診・検査が含まれます。獣医師によって検査方法は異なりますが、多くの獣医師は頭から順番に、体の各部分を注意深くチェックします。
初期観察
獣医師はあなたの愛犬のこれまでの生活の簡単なヒアリング後、犬の外見全体を観察し、いくつかの重要な点を評価します。
【ボディコンディション】体重が適切かどうかを判断する
【認知レベル】ちゃんと認識し、反応できるかを確認する
【歩行や姿勢】足腰が弱っていないか、ふらつきがないかを確認する
【水分補給状態】皮膚の弾力性から、脱水状態を確認する
頭と首
愛犬の頭部を診察し、左右非対称、しこり、こぶ、そのほかの異常がないかを確認します。頭と首を動かして可動域を確認し、痛みがないかを観察します。また、目や耳、鼻に分泌物や異常がないかを確認します。
次に、検眼鏡を使用して眼球内を検査し、耳鏡と呼ばれる小さな円錐形の器具を使って、外耳道の状態も確認します。
獣医は愛犬の口と歯を見て、歯の問題の兆候を確認し、口内組織が正常に見えるかどうかを確認します。また、リンパ節や唾液腺、気管を触ります。
最後に口腔内のチェックです。歯の状態を確認し、唾液腺やリンパ節、気管を触診して甲状腺が肥大していないかどうかを調べます。
胴体と四肢
腫瘤や非対称性、柔軟性に可動域、および痛みがないかを調べます。背骨や骨盤、リンパ節などを触診します。四肢を曲げたり伸ばしたりして、こわばり、異音などがないかどうかを調べます。足や爪、皮膚も検査します。関節炎や皮膚疾患、外部寄生虫(ノミなど)が発見されることもあります。
心臓と肺
聴診器で心臓と肺の周辺を複数の場所で調べます。犬の心拍数と呼吸数を測定し、心雑音や不整脈(心臓のリズムの異常)、肺の音(クラックや喘鳴など)に異常がないかを確認します。
腹部
腫れやあざ、そのほかの異常がないか目視で確認後、腹部を触診します。肝臓、腎臓、胃、腸、膀胱などの触診を行います。聴診器で腹部の音を聴き、臓器の働きを評価することもあります。
陰部
肛門周辺とペニスまたは外陰部をざっと見て、腫れや分泌物、腫瘤、肛門嚢のトラブルなどをチェックします。
検査結果の説明
検査が終わると、獣医師は検査結果を説明し、異常があれば告知します。また、必要に応じてワクチン接種を提案されます。シニア犬や異常が見つかった場合は、次のような検査が推奨されることもあります。
・血液検査(全血球計算)
・糞便検査
・尿検査
・甲状腺検査
診断中に異常が見つかった場合は、X線検査や超音波検査などの追加診断をすることもあります。最後に、寄生虫予防について説明し、必要であれば処方箋を出すこともあります。
健康診断の費用はどのくらい?
健康診断の費用は5,000円程度ですが、動物病院や地域によっても異なります。料金には健康診断と獣医師によるカウンセリングが含まれますが、追加検査代やワクチン代、医薬品代などは含まれません。
費用な心配な場合は、年1回の健康診断時期になったら、事前に動物病院で料金を確認したり、見積もりを出してもらうとよいでしょう。
まとめ
年1回の健康診断で、ちょっと気が重くなったことがある人もいるでしょう。でも、それはあなただけではありません。獣医師からいろいろな検査項目を提示され、「どうしますか?」と聞かれると、迷ったりストレスを感じるものです。
どの検査が必要なのか分からず混乱するかもしれません。また、すべての検査をすると高額になる可能性もあります。まずは、愛犬の年齢や健康状態に合わせて、必要な検査を受けることができるような知識を身につけておきましょう。
日本では、「狂犬病予防法」により年1回のワクチン接種が義務付けられています。接種にあわせて健康診断を受けるのもよいでしょう。