【犬飼いTIPS】犬の低体温症 ~原因と予防、治療のために知っておくべきこと
低体温症は、犬の体温が平熱よりかなり低くなったときに起こる症状です。人間の平熱は36度程度ですが、犬はもっと暖かく38度~39度くらいです。
少しの低下なら心配ありませんが、37度を下回ると低体温症が始まります。小型犬や子犬、高齢犬に短毛種の犬、痩せた犬、甲状腺機能低下症などの持病のある犬などは、低体温症のリスクが高くなります。今回は犬の低体温症についてのお話です。
犬の低体温症の原因
犬は寒くなると、体温を上げるために体を震わせます。この震えによる体温上昇が追いつかない環境では、低体温症になる可能性があります。気温が低く寒い日、外にいるだけで体が冷えてしまう犬もいます。風や雨、雪は、さらに体温を下げます。
体が濡れていると、さらに犬の体温が下がりやすくなります。気温がそこまで低くないときに庭で楽しく遊んでいた子犬が、雨に降られると、すぐに体が冷えてしまいます。屋外で暮らす、もしくは長時間を過ごす犬には、風や雨を防ぐ小屋が必要です。
また、犬の体格や健康状態によっても、体温を奪われずにいられる温度帯が決まってきます。
低体温症は寒冷な気候で起こるものと思われがちですが、温暖な気候でも起こり得ます。例えば川遊び。水温は気温よりもかなり低い場合あります。水遊びや泳ぎが好きな犬は、体温が下がってもなかなか水からあがらないものです。
犬の低体温症の兆候と症状
最初に、犬の体は低体温に反応して表面近くの血管を狭め、皮膚や耳、脚などから脳や心臓などの重要な臓器に血液を送ります。
軽度の低体温症では、耳や脚がやや青白く見え、触ると冷たく感じられかもしれません。このような症状は、犬の生存本能の作用ですが、時間が経つにつれて凍傷になる危険性が高くなります。
軽度から中等度の低体温症の犬は、熱を発生させるために体を震わせ、筋肉を緊張させます。この時点で、動きが鈍くなり、混乱しているように見えるかもしれません。
特に子犬の場合、寒くなると鳴いたり騒いだりすることがあります。さらに体温がもう少し下がり中等度の低体温症になると、おとなしくなり体を丸めて熱が逃げないようにします。また、歯茎が青白くなったり、青みがかったり、灰色になったりします。
体温が35度くらいまで下がると、重度の低体温症になります。犬の筋肉細胞がエネルギーを使い果たし震えが止まります。震えが止まると、さらに犬の体温は下がり始めるかもしれません。
犬の正常な身体機能が働くなり、呼びかけに無反応になります。心拍数が低下したり不規則になり、呼吸も遅くなります。血液中の酸素濃度が低下すると、犬はますます無反応状態になります。
最終的には、臓器不全や昏睡状態になり死に至ることもあります。これは明らかに重度の低体温症の症状です。すぐに毛布にくるんで動物病院に連れて行くことが大切です。
犬の低体温症の治療方法
低体温症の治療には、すぐに暖かい場所に移動させることが必要です。体が濡れている場合はタオルで水分を拭き取り、毛布にくるんであげましょう。毛布は、乾燥機で数分まわしたり、暖房器具のそばに置くなどして暖めます。旅行中ならクルマの暖房の吹き出し口のそばに置いておくと、暖かくなります。熱すぎて愛犬が火傷しないように、まずは自分で触って確認しましょう。タオルに包んだ湯たんぽやアンカなどを使うこともできます。また、低ナトリウムのチキンスープなど、温かい飲み物を与えのもよいでしょう。
軽度の低体温症は自宅で治療できますが、中等度や重度の場合は動物病院へ行く必要があります。動物病院では、温熱パッドや温かいタオルを使って体を温めます。
また、加温した点滴で体を温めたり、湯浣腸したりすることもあります。心拍数は注意深くモニターされ、必要であれば酸素が供給されます。
低体温症の後遺症
軽度の低体温症では、一般的に後遺症はありません。しかし、中等度から重度の低体温症の場合、犬が必要な臓器に血液を集中させるために、内臓に何らかの損傷を与える可能性があります。獣医師は、肝臓と腎臓の機能が正常に戻っているかどうかを確認するために、血液検査を勧めることがあります。また、数日から1週間ほどは凍傷の症状が現れないかを、注意する必要があります。
まとめ
低体温症を防ぐには、まず低体温症にならないようにすることが大切です。寒い日や雨の日は外出を控えましょう。子犬や小型犬、高齢犬、痩せた犬は、特に気温が低く風の強い日は、家のなかで排泄させるのがよいでしょう。
防風性のある暖かいジャケットやコートを用意してあげましょう。複数のジャケットを用意し、つねに暖かく乾いたものを着せてあげましょう。悪天候のなか、犬が屋外に出る必要がある場合は、雨風をしのげる場所を見つけておきましょう。
寒い気候が好きな犬、寒さに強い犬もいることも覚えておきましょう。アラスカン・マラミュート、サモエド、シベリアンハスキーなどの北方系の犬種は、寒いところや雪のなかにいるのが大好きです。これらの犬種は、寒さよりも熱中症になる可能性が高いです。しかし、犬にはそれぞれ個性がありますから、寒さにさらされたときに低体温症の兆候がないかどうか、どの程度の寒さまでなら大丈夫なのかを調べたりモニターしておくようにしましょう。