元歌手・佐良直美さんと考える「殺処分ゼロ」の裏側 過密な保護施設で犬同士の咬傷事故死も
このコーナーでは、注目ニュースに対する編集部や識者のコメントを紹介します。
佐良 直美さんが保護活動をされていることは、みなさんご存じかと思います。もう30年も前から動物愛護に携わり、1993年には、日本で初めての“飼い主教育もする”犬のしつけ教室「アニマルファンスィアーズクラブ(AFC)」を立ち上げています。
昨今の芸能界では動物保護がブームのようで、いろいろな芸能人が動物保護を訴えています。しかし、佐良さんの保護活動は一朝一夕で成し遂げられるものではなく、時間をかけてこつこつと取り組まれた結果で、急にブームに乗ったものとは重みが違います。
動物保護についての考え方も、一線を画すものです。動物保護の関係者は「殺処分ゼロ」を金科玉条のごとく唱えます。しかし、佐良さんはそのような風潮には懐疑的です。重篤な病気を抱えていたり、攻撃的でしつけが困難な犬は安楽死を選択する必要もあるのです。
譲渡の際の適性判断が「殺処分ゼロ」に引っ張られると、犬だけでなく飼い主も不幸になることがあります。例に上げられている山口県の例では、簡単な手続きで里親に犬猫を引き渡しているようです。もし感染症を患っていたらどうするのでしょうか。
「女優たちがSNSで拡散したためか、安易な気持ちで野犬の里親になる人が多い」という言葉は本当に重いと思います。野犬は必ずしも馴化できるものではありません。その事実を知らずに情報を拡散するのは、じつに無責任で危険な行為だと思います。
動物保護は感情論だけで考えてはいけません。それは、なにも保護動物だけの話ではありません。本当にペットを終生飼育できるのか。まずは、そのことを考えることが重要です。一度悲しい思いや経験をした犬に、また同じことをさせないためにも。
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