よかれと思ってしたことが逆効果!? ワンちゃんの老化を早めてしまうかん違い

人でもそうですが、ワンちゃんも年をとると身体能力が低下してきます。足腰の筋肉がおとろえ、関節を動かしにくくなり、日常生活を送るうえで他の人の手助けが必要になります。

そうなったときに大切なのは、ワンちゃんがしあわせを感じる「お散歩」「ごはん」「飼い主さんと遊ぶ時間」を急に減らしたり、なくしたりすることなくサポートをしてあげることです。

ワンちゃんの体が心配だからといって、散歩の回数やごはんを減らしてしまっていませんか?

飼い主さんが、ワンちゃんのためによかれと思ってしたことが、ワンちゃんにとって幸福で大切な時間を減らして、老化を早める原因になっているかもしれません。

今、行っているその手助けが、本当にワンちゃんのためになっているのかどうか考えてみませんか。

よくあるかん違い ベスト5

かん違い① 歩くのが不自由なので、外出を控えるようにした

歩くのが不自由になってもお散歩や運動をやめないで!

ワンちゃんがふらついたり、つまずいたりすることが増えてくると心配になりますよね。

ですが、お散歩や運動をやめてしまうのは逆効果です。

お散歩は、ワンちゃんが1日のうちで楽しみにしている大切な時間です。それに、実はお散歩にはたくさんのメリットがあるのです。外に出て、お友達のワンちゃんに会ったり、道に生えている草花の香りをかいだりして刺激を受けることは、脳の活性化につながります。

また、強い骨を作るために必要なカルシウムの吸収を助けるビタミンDは、紫外線を浴びることによって、皮膚で作られます。骨を丈夫に保つためにも、お散歩により太陽の光を浴びることは欠かせないのです。

一方、お散歩をやめて、楽しみの時間がなくなると、ワンちゃんはがっかりしてしまいます。

それだけではなく、運動量の減少は筋力の低下につながり、ワンちゃんの活動度や自立心を損なわせて、寝たきりを加速させる原因にもなります。

そこで、ワンちゃんのためにしてあげたいのは、散歩コースを工夫することです。

ワンちゃんも飼い主さんも安心なお散歩コースの選び方 くねくねと自宅の前を何度も通るコースを選ぼう!

ワンちゃんが、1日のうちでなによりも楽しみにしているお散歩の時間や距離をなるべく減らさず、しかも、飼い主さんが安心してワンちゃんとお散歩できる方法があります。

それは、お散歩のコースを工夫することです。

たくさんの距離と時間を歩きたい場合には、家の前を何度か通るように、くねくねとしたお散歩コースを考えましょう。

家の遠くまで行って戻ってくるコースだと、家から離れた場所で万が一具合が悪くなったときに、戻るのが大変です。でも、くねくねと、家の前を何度も往復するようなコースを選んでおけば、何かあったときにすぐにお家に戻れますし、ワンちゃんの体調にあわせて、飼い主さんがお散歩の距離や時間を調整できるので安心です。

お散歩のコツ

  • 息切れがひどいようなら途中で休憩する
  • 長時間の散歩が難しいなら、時間を短くして回数を増やす
  • 足腰に負担がかからないように、なるべく平坦な道を選ぶ
  • 水分補給を欠かさない

かん違い② 年をとって代謝が落ちると太りやすくなるので、ごはんを減らした

体に負担のかかる急激なダイエットは危険! ごはんの量を減らすのではなく、質の工夫を

年をとったワンちゃんは、運動量の減少にともなって筋肉が減るので、基礎代謝が落ち、たしかに太りやすくなります。

だからといって、体力がおとろえているシニアのワンちゃんに、急激なダイエットをさせることはとても危険です。

厳しい食事制限によるやせすぎは、低栄養といってエネルギーとタンパク質が不足した状態に陥らせます。すると、ワンちゃんは体を健康に保てなくなり、病気にかかりやすくなってしまうのです。

大切なのは、脂肪を落として、筋肉を保つようにすることです。

ワンちゃんが「しあわせだな」「嬉しいな」と思うことのひとつ、“ごはん”を減らさず、食事の質に気をつけて、ごはんを準備していきましょう。

そこで、覚えておきたいごはんづくりのコツは3つ。

  • 脂質の少ないフードを選ぶ
  • 筋肉維持に欠かせないタンパク質が豊富な魚や肉をトッピングするなどの工夫をして、ごはんの質をあげる
  • 総カロリーが極端に減らないようにする

ただし、腎臓病や糖尿病などの持病があるワンちゃんには、気をつけないといけないポイントがあるので、かかりつけの獣医師に相談しながらごはん作りをしてください。

かん違い③ 最近疲れやすいみたいなので、ひとりの時間を増やしてあげた

もっとかまって!! 刺激の少ない生活は老化のもと

若い頃にくらべて寝ている時間が増えたし、散歩にいってもすぐに疲れちゃうみたい。

お散歩中にほかのワンちゃんと遊ぶのはなるべくさけて、おうちでもゆっくりさせてあげよう…。

ワンちゃんが、ゆったり穏やかなペースで過ごしているので、なるべく刺激を与えないよう、そっとしておこうと思うかもしれませんが、刺激の少ない生活はワンちゃんの脳の老化を早めます。“脳リハビリ”で脳を活性化させ、ワンちゃんの脳を若々しく保ちましょう!

成功体験をたくさんつくってあげよう!

ワンちゃんって、失敗するとしゅんとしたり、きまり悪そうな顔をしますよね。

人と同じで、失敗すると落ち込み、自尊心が傷つくのです。

年をとるにしたがって、失敗することが多くなったワンちゃんが、活き活きと元気になるとき…、それは飼い主さんにたくさんほめられたときです。

若かったときに得意だったことはなんですか?

ボール遊びですか? それとも、かくれんぼでしょうか。

ワンちゃんが得意なことを飼い主さんも一緒になって取り組み、成功したらたくさんほめてあげてください!

それだけで、ワンちゃんはとってもしあわせな気持ちになって、活き活きと目を輝かせてくれます。

もし、遊ぶのが難しい場合には、日常生活のなかでのちょっとした成功を、その都度、たくさんほめてあげてください。

飼い主さんが笑顔で、愛情たっぷりにほめてあげること…、 それが、ワンちゃんにとってなによりの元気のもとなんです!

かん違い④ つまずいたり、家具にぶつかることが多くなったので、思い切って模様替えをした

ここはどこ!? 急に部屋をガラリと模様替えしてしまうと、ワンちゃんは戸惑います。模様替えはちょっとずつ

ワンちゃんは年をとると目、耳、鼻などの感覚器がおとろえて、周りの状況が分かりづらくなります。

ですから、突然模様替えをすると、家具にぶつかって怪我をしたり、急な環境の変化に不安を感じたりします。

もし模様替えをする必要がある場合には、少しずつ行なうようにしましょう。

⑤おもらしするので、早めにオムツによるケアをはじめた

そのおもらしはたまたまかも? まだ自力でトイレができるのにオムツをすると、ワンちゃんの自尊心が傷つきます

人でもそうですが、自分でまだ身の回りのことができるうちから、周りの人が手助けをしすぎると、介護を受ける側の自尊心を傷つけることになります。

ワンちゃんの場合も同じです。特に、おしっこやうんちなどの排泄に関する習慣が、これまでと変わることは、ワンちゃんにとって大きなストレスになります。

今までお外でしていたおしっこを、急に室内でのオムツ生活に切り替えると、「お家の中でのおしっこはいやだな…」とがまんしてしまうこともあります。

とはいうものの、おしっこやうんちの失敗は、ワンちゃんのみならず、飼い主さんにとってもストレスになりますよね。

そこで、まずはワンちゃんと飼い主さんの双方にストレスがかからないよう、本当にオムツが必要な時間…たとえば、家族全員が出かけていて、面倒をみることができない時間などに、ポイントでオムツを導入するようにしてみましょう。

この記事は、山と渓谷社より発売中の単行本『犬の介護に役立つ本』の一部を特別に公開しているものです。

『犬の介護に役立つ本』
本田 英隆[監修]、高垣 育/上田 泰正[著]、山と渓谷社 刊 価格 1296円+税

介護を始めるための準備や、「薬を飲まない」「認知症による徘徊」など介護の「困った」に答えるQ&A、もっとも大変な排泄・服薬・食事の介助のコツなど、介護者である飼い主さんの気持ちに寄り添う本。

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