【犬飼いTIPS】なぜ犬は自分の足を舐めるの?
犬は、心地よい敷物のリビングルームからアスファルトの歩道、険しいハイキングコースまで、あらゆる種類の路面を歩くのに、自分の足を頼りにしています。そのため、愛犬が足を舐めたり、噛んだりしていたら、すぐにその原因を探る必要があります。この行動は、必ずしも良い習慣とは限りません。今回は、犬が足を舐めるお話です。
肉球を舐める理由
犬が足をなめるのは、病気によるものから退屈しのぎまで、さまざまな理由があります。痒いのか、痛いのか、ストレスなのかを見極めるのは大変ですが、診断と治療には欠かせない要素です。
過剰に足を舐めたり爪を噛んだりするのは、犬が痒みを感じていることを示す行動です。肉球の色の変化も手がかりになります。普段は黒っぽい肉球が、ピンクやオレンジ色に変色している場合は、治療を受けてください。唾液にはポルフィリンという物質が含まれていて、これが赤血球を分解して色の変化を引き起こします。
足を舐める原因としてもっとも一般的なものは、接触性アレルギーと環境アレルギーです。接触性アレルギーは、犬の寝具の洗濯に使用された洗剤や、床やカーペットに使用された清掃薬剤が原因である場合があります。環境アレルギーの原因としては、花粉やカビ、植物などが挙げられます。
肉球をなめる原因
犬が肉球を舐める理由はたくさんあります。どのようなことを調べればよいのか、気をつければよいのかをまとめました。
接触または環境アレルギー
かゆみ、脱毛、発赤、発疹は、これらのタイプのアレルギーの徴候のひとつです。愛犬の足は、床や寝具、草などに触れることが多いため、そのような場所に症状が現れることがあります。ベッドやラグ、床の掃除にはペットに害のない天然由来成分の掃除用品にするなど工夫します。また、屋外に出たあとは、足を拭いたり洗ったりしてあげましょう。
食物アレルギー
ドッグフードを変更した場合、新しいフードに含まれるひとつまたは複数の原材料に対するアレルギーが原因で、足を舐め始めることがあります。このような症状が出たときには、動物病院で検査するとアレルギー物質の特定ができます。
寄生虫
ノミやダニが足の指の間に寄生し、かゆみ、腫れ、脱毛、病気などを引き起こすことがあります。年間を通して寄生虫予防薬を投与し、これらの厄介な寄生虫を愛犬に寄せつけないようにしましょう。マダニは、下唇、足の指の間、首輪の下、脇の下、尻尾などに潜むことが多いので、頭から尻尾まで点検してあげましょう。年間をとおして駆除薬を使用しましょう。
感染症
二次細菌感染症・カンジタ(酵母菌感染症)の兆候としては、分泌物や足からの悪臭があります。また、舐性皮膚炎は、痒みのために過剰に舐めることによって引き起こされます。繰り返すことで終わりのないサイクルになります。炎症や痛みを抑えるために、抗生物質やステロイドが必要になることがあります。
虫刺されや刺し傷
愛犬が特定の場所を必死に舐めている場合、蜂や他の昆虫に刺された可能性があります。クレジットカードや運転免許証をヘラのように使って毒針をはじき出します。ピンセットで抜くと、毒嚢が破裂して犬の体内に広がる危険があるので使わないでください。散歩のときに虫除けスプレーを使うのもいいでしょう。
嚢胞や増殖物
シニア犬やある種の皮膚がんを患っている犬は、前足などに進行した部分が見られることがあります。肉球にできものがある場合は、動物病院で診察を受けましょう。
異物混入
犬は、肉球や指に挟まった小石や突起物などを取り除こうとして過剰に舐めることがあります。舐めているのに気づいたら、脚や肉球に異物がないか注意深く調べてください。深く刺さっている場合は、獣医師による除去が必要な場合もあります。
怪我
岩や割れたガラスで肉球が切れたり裂けたりして出血し、犬が痛みを和らげようとして肉球を舐めることがあります。また、裏庭で走っているときに、判断を誤ってフェンスに足をぶつけてしまい、足や肉球が腫れて痛むこともあります。犬を動物病院へ運ぶときは、幅の広い紐や大きめのタオルなどをスリングの代わりにして、痛めた前を保護してください。
天気
異常気象は、犬の足に負担をかけることがあります。低温にさらされると、前足が乾燥してひび割れた状態になることがあります。氷や凍結防止剤が足に付着することがあります。除去するには、前足をぬるま湯に浸し、清潔な布で軽く叩いて乾かします(こすらないでください)。気温が高くなると、犬の足は熱い歩道やアスファルトの上を歩いたり立ったりすることで火傷をすることがあります。気温30℃のとき、アスファルトの表面温度は60℃を超え、犬が同じ場所に立ち続けると、わずか数分で肉球に火傷を負うこともあります。犬を涼しいところに移動し、肉球を冷たい水につけてあげましょう。
巻き爪
犬が肉球をなめるのは、爪が長すぎて、肉球の下に巻き込んで伸びているからかもしれません。定期的に爪の状態を確認し、切ってあげるか、ペットサロンでケアしてもらいましょう。酷くなると動物病院での処置が必要な場合もあります。
ストレスからくる不安
雷や花火、工事など大きな音が怖い犬は、自分を落ち着かせようとして足を舐めることがあります。安全で落ち着ける場所をつくったり、毛布などでくるんで落ち着かせることが大切です。動物行動学の専門医に相談し、最適な治療計画を立てることもできます。
強迫行為
過剰に足を舐めたり、尻尾を追いかけたり同じところをグルグル歩き続ける行動は、強迫性障害の兆候である可能性があります。抗不安薬や行動修正が必要になることもありますので、専門医に相談しましょう。
退屈
学ぶことや活動することが大好きな犬のなかには、家にひとりで留守番することが多かったり、身体的・精神的刺激が十分でない場合に、退屈しのぎとして舐め始める子がいます。おもちゃやフードパズルなどを用意して、体や頭を動かしてあげないと、舐めることが習慣になってしまうこともあります。
まとめ
ときどき犬が短時間、前足をなめることがあっても、それは通常のグルーミングの一部であり、心配する必要はありません。
少なくとも週に一度は、愛犬の足と爪を点検し、手入れをしてあげましょう。足を舐めたり噛んだりするのを防ぐには、汚れた足をすぐにキレイにすることです。ぬるま湯に浸したタオルや、除菌消臭クリーナーなどで足を拭いてください。肉球クリームを塗ることで、乾燥した肉球を柔らかくすることができます。
過剰に舐めるのを軽視してはいけません。犬が不快に感じているか、あるいは痛みを感じているサインです。このような行動が治らない場合、あるいは皮膚に異常(赤み、鱗屑、脱毛、痂皮)がある場合は、獣医師に相談することが重要です。
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