【猫飼いTIPS】うちの猫にしこりがある…どうしたらいいの?

「愛猫の体を撫でていたら、なにやらしこりのようなものがあって……」という経験をされた飼い主さんもいることと思います。しこりがある場合には、それは腫瘍(しゅよう)をさします。腫瘍とえばどうしても癌をイメージしてしまうので、見つけたときには一気に不安な気持ちになることでしょう。

しかし、良性の腫瘍もあるので、しこりがあったからといって「悪性の腫瘍(がん)」とは限らないのです。まずは早期に正しい検査を受けて、適切な治療を行うことが大切なのです。今回は猫の腫瘍のお話です。

猫のしこりの原因となる病気は?

猫の皮膚にしこりがあった場合、必ず何かの病気が原因となっています。猫のしこりの原因となる病気には以下のようなものがあります。

【乳腺腫瘍(にゅうせんしゅよう)】
乳腺腫瘍は、乳腺にできる腫瘍です。早期に避妊手術をしていない雌猫によく見られる腫瘍のひとつです。多くは高齢(平均10~12歳)で見られますが、若いうちに発症することもあり、まれに雄猫にも発症することがあります。猫の乳腺腫瘍は約90%が悪性で、犬と比べて非常に予後が悪いとされています。診断時にはすでにリンパ節や肺に転移していることも少なくなく、根治が難しい悪性腫瘍です。発見から死亡するまでの期間は平均で10~12カ月といわれます。

【皮膚の腫瘍】
皮膚にしこりが見られる腫瘍は数多く存在します。皮膚にできる腫瘍には以下のようなものがあります。

扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)

扁平上皮癌は皮膚や粘膜を構成する扁平上皮細胞が腫瘍化したもので、猫によく見られます。猫の場合、耳介や外耳道などの耳周りや顔(鼻・目・口)に多く見られる悪性の腫瘍です。白い被毛の猫によく見られることで知られています。

黒色腫(メラノーマ)

メラノーマは黒い色素をつくる働きをするメラニン細胞が腫瘍化する病気です。日光照射や外傷などの環境要因と、遺伝的要因などによっても誘発されると考えられていますが、はっきりとした原因はわかっていないようです。メラニン細胞がある鼻・目・口のほか、耳や指にできる場合もあります。体表にできるものは悪性と良性の場合があり、見分けるのは困難です。猫での発症はまれですが、高齢の猫の発症が多いとされています。

皮膚型リンパ腫

リンパ腫は、血液中にある白血球のひとつであるリンパ球が癌化する血液の癌です。発症する場所によって「多中心型リンパ腫」「消化器型リンパ腫」「縦隔型リンパ腫」「皮膚型リンパ腫」などに分けられています。皮膚型リンパ腫は猫での発症は稀ですが、主に中~高齢の猫で発症する悪性腫瘍です。

肥満細胞腫(ひまんさいぼうしゅ)

肥満細胞腫は肥満細胞と呼ばれる細胞由来の悪性腫瘍です。悪性度の低いものから高いものまでさまざまです。猫の場合は皮膚に発症する腫瘍として2番目に多いとされています。内臓では脾臓と消化管に生じることが多いようです。内臓の肥満細胞腫が原発で、皮膚にできたものが転移する場合もあります。皮膚にできるものを皮膚型肥満細胞腫と呼びますが、経過が良いものが多いとされています。また、内臓にできたものは内蔵型穂満細胞腫と呼びますが、経過が悪いものが多いとされています。

乳腺腫(にゅうとうしゅ)

乳腺は左右の乳頭に沿って存在する乳汁の分泌組織です。乳腺腫はこの分泌組織が腫瘍化することで起こる病気です。扁平上皮由来の良性腫瘍で、パピローマウイルス感染が原因と考えられています。乳頭腫は若い年齢で発症することが多い病気です。

脂肪腫(しぼうしゅ)

脂肪腫は脂肪組織の良性腫瘍で、中~高齢で多く発症します。雌での発症率が雄の2倍といわれています。全身のあらゆる部位で発症する可能性がありますが、胸部、腹部、四肢などによく見られます。同時に複数個の発症が見られる場合もあります。

【そのほかのしこり】
感染などによる皮膚疾患、炎症、外傷などでも、病変部にしこりと思われるようなものが見られる場合もあります。

しこりがあったらどうすればいいの?

もし愛猫の体にしこりを発見したら、まずは動物病院へ行き検査をしましょう。腫瘍の疑いがありますが、見た目だけでは良性か悪性か判断することはできません。

しこりが小さくても、必ず受診して検査をしてもらいましょう。確定診断をするためには腫瘍を切除して病理検査を行う必要がありますが、病院によりそれ以前にできる検査もあります。まずはかかりつけの動物病院に相談することをオススメします。

「少し様子を見てから」と考える飼い主さんも多いと思いますが、時間の経過とともに腫瘍が大きくなり、受診した際には完全切除できないこともあります。特に悪性の場合には、手遅れになるなど命に関わります。早めの受診と検査が何より大切です。

まとめ

一般的に皮膚にしこりがある場合、腫瘍の疑いがあります。良性か悪性かを早期に確定診断する必要があります。それが悪性の癌の場合には、様子を見ている間に手遅れになることもあるのです。愛猫の体にしこりを見つけたら、迷わず早期に動物病院を受診しましょう。