大切なうちの子には、どうやったら出会えるの?

ペットを飼うにあたっての心構えや資金計画をクリアしたら、いよいよ「宇宙にたったひとつの大切な存在、運命が結んだうちの子」探しです。ペットはペットショップで購入するものと考えている方が多いことでしょう。しかし、実は出会いはさまざまな場面に存在します。それぞれの方法のメリットやデメリットを踏まえ、大切なうちの子をお迎えしましょう。

ペットを購入する際に気をつけたいこととは

健康で長生きしてくれて、性格がよくてかわいいペットに出会いたい。私はこう考えていましたが、みなさんも多分そうではないでしょうか。でも、どの子が健康で性格がいいかを素人が判断するのは困難なので、信頼が置けるところからお迎えするかどうかが大切になってきます。

ここで注意したいのは、目の前にいるペットが気に入るかどうか以上に、その子がどういう親からどのように産まれ、どう育ってきたかです。本サイトのアドバイザーで、ご自身も猫のブリーダーとして活動中の阪根 美果さんにお話をうかがったところ、ペットショップからの購入は理想的とはいえないということがわかりました。

「ペットショップにいる多くの子は、どのような両親から産まれ、どのような飼育環境で育てられたのか正確に把握することができません。また、たとえ繁殖業者から直接仕入れているとしても、その業者が信頼できるブリーダーなのかまで購入者が知ることは難しいでしょう」だと阪根さんは語ります。

動物愛護管理法では、生後56日を経過していない(平成28年8月31日までは生後45日)犬や猫の販売や販売のための引き渡し、展示は禁止されているものの、親兄弟から引き離す時期が守られているかどうかは、素人には判断ができません。たとえば犬は、ドッグトレーナーの藤田 真志先生の記事で解説されているとおり、親や兄弟姉妹と一緒に暮らして社会性を身につけたかがたいへん重要になります。社会性が育まれていない場合もありますし、親から遺伝性の疾患を受け継いでいることもあるでしょう。多くのショップでは、生命や健康についての保証を設けていますが、一度お迎えしたペットを、何か問題があるからと気軽に返却することなど、なかなかできるものではありません。

もちろん、ペットショップにいるペットは全部ダメだ、などと言っているわけではありません。健康で性格のいい子が多いでしょうし、いざ購入となればフードやグッズ類の相談にも乗ってくれます。店舗によってはトリミングサロンやペットホテルが併設されている場合もあり、飼い始めてからも長い付き合いができるはずです。

大切なのは、ペットを購入することにきちんと責任を持つのかを考えることではないでしょうか。価格が安いから、見た目が気に入ったからというだけで衝動買いをしてしまったら、健康や性格、母親の身体への負担などを無視して乱繁殖を行う業者を間接的に助けることになりかねません。ペットと私たちとが幸せな共生社会を創り上げていくためには、私たち一人ひとりの心構えが大切になります。購入前にいろいろなペットショップを巡り、ペットの飼育に詳しい方から情報を収集し、可能ならブリーダーさんを直接訪問するなど最善の手段を尽くしてじっくり決めるのがいいでしょう。

悪質なペットショップを避けるには

環境省自然環境局 総務課 動物愛護管理室では、これからペットを飼う人に向け、動物取扱業者(ペットショップだけとは限りません)を選ぶときのポイントを提言しています。どこに注意して探したらいいのかをチェックしてみましょう

●広告は適切に行われているか
新聞や投げ込みチラシをはじめ、動物取扱業者として登録を受けている業者の広告には、登録番号や動物取扱責任者、動物取扱業の種別などが記載されています。これらの記載がない広告は、動物を適切に販売している業者ではない可能性があります。

●店内に登録番号が記入された標識を提示しているか
登録を受けている業者は、登録番号や営業の種類、登録期限などを記した標識を店内に提示しているそうです。

●スタッフは名札(識別票)をつけているか
正規に登録を受けたペットショップなどのスタッフは、登録番号や営業の登録期限などを記した名札(識別票)を身につけているのだそうです。

●購入する前に、飼い方や健康状態などの説明はあったか
動物の健康状態やワクチン接種の有無、飼い方、標準体重・体長などの説明が不十分で、大丈夫飼えますよ、と購入を急がせるショップは避けるべきでしょう。

●生後45日以内の犬猫が販売されていないか
出生後56日を経過しない犬猫の販売のための引渡し(販売業者等に対するものを含む)や展示を禁止するという規定です。施行後3年間は45日、その後別に法律で定める日までの間は49日と読み替える、との附則はありますが、産まれてからまだ日も浅い子犬や子猫が展示されている店は信用できない店です。

●ケージが狭すぎたり明るすぎたりしていないか
立ったり寝たりするのにも苦労するような狭いスペースで、休む時間もなく光や音に晒されながらの展示は、子犬や子猫にとってよい環境とはいえないでしょう。一部のペットショップでは、一般家庭の部屋のような広い空間で、たくさんの子犬や子猫が走り回って遊びながら育っている姿を見学できるスペースを設けていることもあります。店舗スペースの関係で、そうした対応は無理な場合もあるとは思いますが、このあたりにペットショップの考え方が表れているといえそうです。

●排泄物などで施設が汚れたり悪臭がしていないか
どんな業界でも、掃除が行き届いていない店はよくない店だといえます。健康に直接関わることですからよく確認しましょう。

次回は、ペットショップ以外からペットを買う際のメリットとデメリットを解説していきます。