猫との別れは自分で決める。「責任ある決断」に感謝します
わが家の猫たちがブリードを引退するのは5~6歳です。何らかの事情で1歳、2歳など若くして引退をする子もいますが、通常はその年齢に達したら引退します。
以前にもブリーダー日記に書いていますが、引退後の余生はわが家のオーナーさんのご家庭で過ごす子が多く、引退前から新しい家族が決まっていることがほとんどです。大抵がその子の兄弟姉妹や子猫を持っている方が「引退後はわが家で」と希望してくださるので、安心してお任せしています。
先日、わが家の引退した子を持つオーナーのAさんが、認知症を発症したために施設に入ったとの連絡を受けました。Aさんが住む地域には、わが家の猫を持つオーナーさんが数人いて、高齢のAさんの様子を気にかけてくれていました。そのうちのお一人からご連絡をいただきました。
最近のAさんは少しずつ物忘れも進行し、外出すると自宅に戻れなくなったり、気が付くとわが家から行った子がドアの前で待っていたりしたようでした。そのためAさんはこれ以上ひどくなる前にと、自らの生活環境を変える決断されたそうです。わが家の子は娘さんに引き継がれ、Aさん自身は施設に入ることにしたのです。
高齢のAさんにわが家の猫をお任せする際のお約束は、「もしAさんが飼うことができない状況になった場合には、娘さんに託す」というものでした。わが家の子が不幸にならないようにと、ご自身で別れを決められたそうです。その行動は飼い主としての責任をしっかりと果たしていて、また、私との約束をより良い形で守ってくださり、その決断に心より感謝しました。
高齢になってもペットとともに過ごしていくことができれば、本当に幸せだと感じます。ですから、わが家では後継人がいる場合には、高齢であっても成猫に限りお譲りすることにしています。しっかり双方と会ってお話して、お約束いただきます。
一般的に後継人のところにペットが行くときには、飼い主本人が亡くなられたり、認知症が進み判断ができないなど、本人のそのときの意思とは関係ない場合が多いのですが、Aさんのように自ら決断されるのは理想的なことだと思いました。
Aさんにとっては辛い決断ですが、後継人である娘さんから愛猫の様子を知ることができますし、娘さんもわからないことがあればAさんに聞くことができます。Aさんにとっても、娘さんにとっても、そして何より愛猫にとっても最良の選択であったと思うのです。
今まで大切に育ててくださったAさんに感謝いたします。そして娘さん、わが家の子をどうか末永くよろしくお願いいたします。心からみんなが幸せに過ごしていくことを願っています。
※高齢者とペットの関係については、後日「賢者の目」で掘り下げて考えたいと思います。
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