ペットと一緒にお出かけしよう!Vol.4

1日何時間も車内で過ごすクルマ旅では、犬のストレスを可能な限り小さくしてあげなくてはなりません。万が一の事故などを考えると、犬を車内で自由にしておくのではなく、クレートの中でおとなしく到着まで待っていてもらいたいですし、音楽を聴いたり会話をしたり、ストレス解消の手段がいくつもある人間と違って、犬はよりストレスが溜まりやすいとも考えられます。「ドッグトレーニングの現場から」の連載でお馴染みの藤田先生にアドバイスをいただき、クルマに乗ることを好きになってもらうコツを考えていきましょう。

まず、動いていないクルマで練習を

ブリーダーさんから犬をお迎えし、クルマで自宅まで連れてきた経験がある方ならご存じかもしれませんが、クルマに慣れていない犬は、車内で吐いたり、おしっこやうんちをガマンできなかったりします。わが家のサモエドも吐いてしまいました。犬にとって、慣れないうえに身体がつねに揺すぶられる車内は、本来は居心地がよくない場所なのかもしれません。

クルマに乗ると「気持ち悪くなる」「怖い」と学習してしまったら、旅ばかりか獣医さんやペットサロンにクルマで出かけるときも、犬にストレスを与えてしまうようになります。こんな悲劇を避けるために、「クルマに乗るのは楽しい」と喜ぶ犬になってもらいましょう。

「人間も犬も、クルマ酔いの大きな原因になるのは、走行中の身体の揺れと車内のニオイ、こもった空気です。まず、クルマのエンジンをかけずに、犬と一緒にクルマの中で遊ぶことから始めましょう」

ただし、クルマの中に犬を残したまま、人間が車外に出ることは厳禁です。エアコンをかけていないクルマの車内は、季節によってはあっという間に高温になりますから、犬は熱中症で生命を落としてしまいます。

また、激しい遊びをすると、シートの隙間に足が落ち込むなどして大ケガをしかねませんから要注意です。チューイングトイなど、走り回らなくても遊べるトイや、床に散らばっても掃除しやすいおやつを与えるのもいいでしょう。

「車内で大人しくクレートに入っていられる犬になってもらうには、自宅でのクレートトレーニングに加え、車内でもクレートで寝てもらう癖をつけましょう。クレートを嫌がって、シート上にいることが当たり前になったら、いざ旅をする際に困ることに。人間の子どもも、チャイルドシートに座らせたり座らせなかったりしていると、チャイルドシート嫌いになってしまいますよね?」

クレートは、犬が身体を支えやすい、小さめのものがいいそうです。また、クレート内に滑りにくい敷物やタオルがあると、よりよい環境となります。アイテム選びのコツについては、別の回に考えていきましょう。

「車内にいることに慣れたら、近所の公園やお散歩コースなど、楽しい場所にこまめに連れ出しましょう。クルマに乗ると日常的に楽しいところへ連れて行ってくれる、と学習してもらうとともに、クルマのエンジン音や揺れに慣れてもらうのが目的です。クルマに乗って獣医さんでの治療や検査に向かう、などだけを繰り返していると、犬はクルマに乗ると嫌なことがあると学習してしまいます。また、乱暴な運転はクルマ酔いやケガの元。雪道走行のように、やさしくていねいな運転を心がけましょう。当たり前ですが、急ハンドル、急加速、急ブレーキなど“急”がつく運転は避けましょう」

車内環境を清潔に整えましょう

クルマ酔いの原因になるニオイの消臭も、クルマに慣れてもらうための大切なケアです。日ごろからクルマに乗り慣れていると、車内のニオイには気づきにくいもの。子どもがいるご家庭では、車内の食べこぼしやお漏らしのニオイが、頑固に残りやすくなります。なかでも、薬品臭や刺激臭、タバコのニオイは徹底的に消臭しておくべきです。

プロに車内消臭を頼む、カー用品で自ら消臭するなど、方法はいくつかありますが、忘れてはならないのは「犬が内装などをなめても害を与えない消臭剤」の使用です。強力なくん蒸剤で車内を一気に消臭してすぐに犬を乗せる、などは避けましょう。犬の健康に害を与えない消臭剤は、ペットショップやネット通販などで、さまざまな製品が販売されています。また、ニオイが気にならなくても定期的に使用することで、日ごろから犬を乗せているクルマに特有のニオイも防ぐことができます。大型犬など、よだれを垂らすことが多い犬を乗せるなら、最低でも週1回は消臭しておきましょう。

次回からは、クルマでのお出かけの際に用意しておくべきアイテムを紹介していきます。