猫の初産は何度経験してもドキドキ──26年目のブリーダーが見守る命の誕生
私はメインクーンのブリーダーになって、今年で26年目になります。これまで数えきれないほどの猫の出産を見守り、サポートしてきましたが、何度経験しても慣れることはありません。特に初産は母猫もナーバスになりやすく、出産が近づくたびに私もいつも以上に緊張します。
基本的には母猫の本能を信じて静かに見守るのが一番ですが、いざというときに備えて、さまざまな事態を想定しながら入念に準備をしておきます。猫は一般的に犬より難産は少ないといわれていますが、初産では体力を消耗しやすく、子猫が産道で詰まってしまうこともあります。また、無事に生まれても母猫が羊膜を破らない、へその緒をかみ切らない、授乳を促さないといったケースもあるため、万が一に備えた準備は欠かせません。
最近では、2026年7月9日に若いママ猫が6頭の子猫を出産しました。予定日より2日遅れての出産でした。初産だったので、どんなお産になるのかドキドキしながらその時を待っていましたが、拍子抜けするほど順調なお産でした。
朝、猫たちの部屋へ行くと、出産予定のママ猫が鳴きながら私を産箱のあるケージへ案内しました。そして産箱に入ると、1分もしないうちに1頭目を出産したのです。まるで私が来るのを待っていてくれたかのようでした。その後も15〜20分ほどの間隔で次々と出産し、6頭を無事に産み終えました。すべての子猫が元気に生まれたことに、心からほっとしました。
一見すると何の問題もない出産のようでしたが、このお産で大切なことが一つわかりました。このママ猫は子猫を産んでも自分で羊膜を破らず、へその緒もかみ切らないタイプだったのです。
私のこれまでの経験では、人懐っこい性格のママ猫ほど、そのような傾向が見られることがあります。子猫を産むたびに私の顔を見て「にゃあ」と鳴き、「あとはよろしくね」と言っているような表情をするのです。
こうした場合は、すぐに私が羊膜を破り、へその緒を適切に処置しなければなりません。そのため、あらかじめハサミや結紮用の糸、消毒液、ペーパータオル、子猫の体を拭くタオルなどを準備していました。事前に想定して備えていたおかげで、慌てることなく落ち着いてサポートすることができました。
このママ猫は、次回の出産でも同じような経過になる可能性があります。そのため、お産の時期には必ずそばにいられるよう、自分の仕事も調整する必要があります。これもブリーダーとして大切な準備の一つです。
もちろん、2回目以降の出産では自分で羊膜を破り、へその緒をかみ切るようになる母猫もいます。経験を重ねることで、母猫自身が落ち着いて出産できるようになるのかもしれません。
それでも、初産かどうかに関係なく、お産は何が起こるかわかりません。その都度、母猫の様子をよく観察し、状況に応じて適切に判断することがブリーダーには求められます。
猫は言葉で体調や不安を伝えることができません。その分、小さな変化を見逃さず、命を預かる責任の重さをいつも感じています。念には念を入れた準備が、母猫と子猫の命を守ることにつながるのだと、私は考えています。
猫の出産は本当に尊く、毎回さまざまなことを私に教えてくれます。健全な繁殖を続けることが、猫たちへの恩返しになると信じています。
これからも初心を忘れることなく、一つひとつの命と真摯に向き合いながら歩んでいきたいと思っています。



