シニア期を迎える犬のために知っておきたいこと
Q:犬のシニアと呼ばれる年齢は何歳くらいからでしょうか?
犬の年齢は2歳くらいまでに人間の成人と同じくらいに急成長したあと、1年ごとに4歳の年を重ねていきます。
小・中型犬の成長は早く、生後1歳で身体が、2歳には心が成熟します。そして、10歳を過ぎたころから衰えが見られるようになります。平均寿命は15歳くらいです。
大型犬は骨格の成長に時間がかかるため、2歳くらいまでに体と心が成熟します。ゆっくりと成長していきますが、衰えは早く、7歳くらいから見られるようになります。平均寿命は10歳くらいです。
近年は医療の発達やフードの良質化により、小・中型犬は20歳、大型犬は12歳を超える長寿犬も少なくありません。長寿犬になるためには、シニア期をいかに過ごすかで変わってきます。飼い主は犬の老いを受け入れ、犬に合わせてさまざまな工夫をしながらサポートしていくことが大切です。
Q:シニア期の犬にはどんな体の変化がみられるのですか?
犬は外見の衰えに加えて、五感も衰え、動作も鈍くなります。被毛は鼻や口周りなどから白髪が目立つようになり、乾燥による被毛のトラブルや脱毛など皮膚のトラブルも増えてきます。
聴覚は音への反応が少しずつ鈍くなります。また、耳垢などが増えることもあります。目の衰えは犬の場合は顕著で、加齢とともに視力が衰え、物にぶつかりやすくなります。ほかにも、白内障や核硬化症になることもあります。口内は歯石が溜まっていると、口臭が強くなったり、歯が抜けるなどの症状が出てきます。歯石が付いているようなら早めに対処しましょう。
動作は筋力が衰えバランスが悪くなり、よろけるようになります。関節の痛みから、足を引きずることもあります。特に大型犬には顕著にあらわれる症状なので、注意が必要です。足回りは肉球が乾燥し割れやすくなるので、クリームなどでのケアが必要です。また、歩行に変化があると散歩時に爪が削れにくくなるため、巻爪などにならないようにチェックが必要です。
シニア期はさまざまな不調が現れる時期です。飼い主は小さな変化も見逃さないよう、つねに観察を心がけましょう。日々、気が付いたことをノートに書き留めておくことをオススメします。
Q:シニア期は身体以外にも変化がありますか?
おもちゃなどで興奮して遊んでいた犬も、年を重ねるごとに関心がなくなります。新しいおもちゃにもなかなか反応を示さず、少しずつ無気力になっていきます。身体のだるさを感じれば、飼い主に呼ばれても来なくなり、頑固になったと感じることもあるでしょう。
耳が遠くなり、人の声が聞こえない場合もあります。また、不安を感じれば甘えん坊になったり、日々違う行動をとったりすることも。飼い主はおおらかな気持ちで接することが大切です。また、認知症の初期症状は「無気力」の場合もありますので、気になる場合は早めに獣医へ相談しましょう。
Q:シニア期が近くなったら、飼い主が準備しておくことはありますか?
人間も年齢を重ねてから新しいことにチャレンジするのはとても大変です。ストレスを感じることで、犬の大きな負担にならないように、シニア期に入る前から下記のことを取り組んでおくといいでしょう。
1.犬の今を知る(口・毛・目・皮膚・耳・行動など)
現在の状態を把握することで、日々の変化がわかります。小さなことでも見逃さないようにすることが大切です。
2.かかりつけの動物病院を持つ
シニア期に入ると徐々に身体に変調をきたし、病院へ行く機会も増えてきます。あちこちの病院を転々とするよりも、いつもと違うことに気付いてもらえるかかりつけの動物病院を持っておくといいでしょう。
3.フードの内容や量を検討する
シニア期には加齢による新陳代謝の低下で肥満になったり、消化機能の低下で下痢や便秘をしやすくなります。さらに、歯の痛みや口内炎などによる食欲低下も考えられるので、年齢や状態によって、フードの内容や量を検討することが必要です。小・中型犬は7~10歳ごろ、大型犬は5歳ごろを目安にフードを見直すことをオススメします。
4.食器の高さを調整する
頭を下にして食事をするのは、シニア犬にとってはしんどい姿勢になります。台の上に乗せるなどして、飲み込みやすい姿勢の高さに調整してあげましょう。
5.安全な環境をつくってあげましょう
シニア期に入ると筋肉量の低下などから足腰が弱ってきます。床や段差で滑ったりしないように、安全な環境であるかどうか見直しておきましょう。
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