同じ猫種なのになぜこんなに容姿が違うの?

太鼓判ブリーダーが猫たちとの暮らしをご紹介。ほのぼのした日常やブリーダーならではの話など、いろいろな日常をお届けします。今回はメインクーンのブリーダーCattery Amangroup/阪根美果さんです。

私はブリーダーになって18年目を迎えましたが、よく聞かれるのが「ペットショップにいるメインクーンとどうしてこんなに容姿が違うのですか?」ということです。まず、「そもそもの目的が違います」とお話ししています。ペットショップなどにいるメインクーンは、売ることを目的に繁殖された子猫たちです。繁殖業者やブリーダーから直接、またはオークション経由で来た子猫がほとんどで、親猫もその流通の中で産まれた子が多いのです。

特にその猫のタイプにはこだわりはなく、血統書が付いているメインクーンであれば親猫になっています。ですから、代を重ねるごとにメインクーンとしての容姿が失われていくことも多く、「これはメインクーン?ノルウェージャン?」というようにほかの猫種と見分けがつかないこともあるのです。

一方、CFAやTICAなどに所属するショーブリーダーのメインクーンは、スタンダードに沿ったよい猫を産出し、後世に繋いでいくことを目的に繁殖された子猫たちです。スタンダードとは「メインクーンはこうあるべきという容姿の基準を細かく定めたもの」です。各キャットクラブにおいて多少の違いはありますが、親猫たちはキャットショーでチャンピオン等のタイトルを取得し、スタンダードに近い猫であることを確認したうえで交配をします。

そして、産まれた子猫の中から後世に繋げる子を選択し、そのほかの子猫を大切に育ててくれる新しい家族に託しているのです。ですから、どの子猫もかなりスタンダードに近い容姿をしています。また、キャットショーでは性格も重視されるので、その気質を子猫も引き継いでいて、温厚で穏やかな子が多いです。子猫の販売が主の目的ではないので、価格もブームなどに影響されることはありません。

容姿の違いはこのように目的が違うからなのです。しかし、せっかくメインクーンを飼うのでしたら健全であることはもちろんですが、メインクーンらしさを兼ね備えた子猫を迎えていただきたいと思うのです。子猫のうちはみんなかわいいので衝動的に迎えてしまう方も多いと思いますが、親猫を見られるところで将来の姿を想像しながら、家族に迎えられることをオススメします。