愛犬と一緒に幸せな時間を満喫した5泊6日の船旅レポート
みなさんは愛犬を連れてフェリーで快適な旅ができるのをご存じでしょうか? じつは、日本を航行するフェリーのいくつかは、ペットを連れて乗船することができるのです。そのなかでも注目したいフェリーが、フェリーさんふらわあの所有する「さんふらわあ ごーるど」と「さんふらわあ ぱーる」です。神戸―大分航路を結んで航行するこの2つのフェリーには、乗船中もペットと一緒に過ごせる客室「ウィズペットルーム」があるのです。
この客室の魅力は、なんといってもペットがケージ不要で自由に過ごせること。「フェリーにそんな幸せな客室があるの!?」と思わず言ってしまいそうな画期的な客室に、飼い主は感嘆の声をあげること間違いなしでしょう。今回は、そんな「ウィズペットルーム」を使用しながら10月初旬に5泊6日(船中2泊)の旅をしたラブラドールレトリーバーの「もゆ」ちゃんと、飼い主である「愛犬トラベラー」の吉田夫妻に旅のお話をお聞きしました。
乗船前には港近くのドッグランで思いっきり遊ぶ!!
私たちは、滋賀県草津市からクルマで出発。高速道路を走り、神戸六甲港のある六甲アイランドに向かいました。ランチは、最南端にある「feel dining café&sea」。ここは、カフェテラスから海が一望できる最高のロケーションなのです。しかも愛犬と一緒に食事を楽しむことができます。
その後、愛犬「もゆ」には乗船前にしっかり遊んでもらって、船内でぐっすり寝てもらう作戦を決行。同じく六甲アイランドにある「LIFEWITH DOG RUN」は、2016年8 月にオープンした広々とした天然芝のドッグラン。面積は2300 平方メートルもある大人気の場所です。利用には利用料1080円(税込)と飼い主の身分証明が必要なだけで手続きも簡単。
さっそく走り始めた「もゆ」。大型犬も思い切り走ることができるので楽しそうで、ニコニコ笑顔です。ここで思いっきり走って遊んで、排泄も済ませておけば、あとはフェリーの客室でゆっくりとくつろいで過ごせます。乗船前に立ち寄るのにぜひにとオススメのスポットです。しばらくドッグランで遊んで、フェリー乗り場である神戸六甲港に向かいました。
乗船手続き~乗船はとても簡単!!
神戸六甲港に着いたらクルマはとりあえず港の駐車場に停めて、のりば窓口に行きました。曜日により出港時間が違うのですが、今回は19:00に出港です。ペットを連れている乗客は、一般の乗客よりも早く乗船しなければならないため、17:30ごろに乗船手続きを済ませました。窓口では乗船名簿と車検証を提示し、ペット同伴の乗船に関する誓約書に署名をしました。
その後、クルマでフェリーに乗船し、ペット同伴車両の指定場所に駐車します。そして、船内案内所へ。係員に誘導してもらいながらエレベーターに乗り、「ウィズペットルーム」のある専用フロアへ向かいました。ペットは基本的にはクレートやキャリーバッグに入れての移動になりますが、「もゆ」は大型犬ということもあり、首輪とリードを装着して静かに客室へ。大きな問題もなく、楽々の乗船でした。
※フェリーに乗船したら、クルマから素早く荷物を持って移動ができるように、あらかじめ準備をしておくとよいです。大型犬の場合は、一般の乗客が来てしまうとエレベーターに一緒に乗ることができないので、途切れるまで待つことになります。
ペットと一緒に過ごせる「ウィズペットルーム」
「ウィズペットルーム」は船内の専用エリアにあり、乗船~下船までペットは客室で過ごします。そのため、「もゆ」は翌日の下船まで客室から出ることはできませんが、ケージを使用する必要がないので自由に過ごすことができました。
客室の仕様は洋室で、2段ベッドが1基の2名定員と2基の4名定員があります。今回は2名定員の部屋を利用。「ウィズペットルーム」は人気があるようで満室でした。客室は嫌なニオイもなくとても清潔で、窓があるので開放感がありました。航行中に景色が見られるのも楽しみのひとつでした。そのほか、設備や備品は下記のものが用意されていました。
【設備】
洗面台、デジタル放送受信テレビ、空気清浄機、エアコン
【備品】
ハンガー、歯ブラシ、タオル、スリッパ、大人用ナイトウエア、救命胴衣、ペット用皿(水用・フード用各1枚)、ペットシート、粘着クリーナー
今回は船内のレストランは利用せず、食べなれたフードを持参しました。防水のペットシートはありますが、トイレの用意はないので、ペットシーツ・排泄物処理用にビニール袋も持参しました。万が一「もゆ」の体が汚れたときに拭けるように、タオルやウエットティッシュなども。また、冷蔵庫がないので保冷剤を持参。とくに夏場はクーラーボックスに保冷剤を入れて持参すると重宝すると思います。「もゆ」の好きなおもちゃも必需品です。
※以前、夏に乗船場した際は客室のエアコンが効きにくかったので、長毛種の場合は注意が必要です。温度調節は船内一括管理になっているので、客室ごとの調節はできません。
客室はとくに防音にはなっていないので、ほかの客室のペットが吠えたり、鳴いたりすると多少聞こえてきました。その点は、お互いペットを連れているので理解ができますので、とくに問題とは思いませんでした。ただ、飼い主は夕食・朝食ともに船内レストラン、お風呂も船内の大浴場を利用することになるので、分離不安があり、ひとりになると鳴き続けてしまうペットの場合は、飼い主が交代で対応する必要があると思いました。
じつは今回の旅は、和歌山県在住の「もゆ」の兄弟の「だんご」くんと飼い主の山本さんも同行しました。「もゆ」と「だんご」くんはお互いの客室を行き来して、いつもとは違う環境でテンションが高め。船のエンジン音などを怖がるかなと思っていたのですが、ふたりとも気にすることなく遊んでいました。「だんご」くんが一緒で、より楽しいフェリーの旅になりました。
「さんふらわあ ごーるど」と「さんふらわあ ぱーる」は揺れないの?
船旅というと揺れるのではないかと思っていたのですが、その心配はまったくありませんでした。この神戸―大分航路は神戸六甲港を出港してから、瀬戸内海を通って大分に向かいます。(筆者注:瀬戸内海は本州と四国に囲まれているので、台風などの悪天候にならない限りは、波もほとんどなく穏やかな海なのです)
今回は天候にも恵まれ、「さんふらわあ ごーるど」と「さんふらわあ ぱーる」も揺れることなく、船酔いなどは皆無。とても快適に過ごすことができました。もちろん「もゆ」も「だんご」くんも船酔いをすることなく、ご飯もパクパク食べて、楽しく遊んで過ごしました。ただ、港に係留中はフェリーのエンジン音が大きく、気になることがありました。すぐに慣れると思いますが、初めは気にするペットもいるかもしれません。
フェリーの客室はゆっくり寝れるの?
客室内では家族全員でゆっくり寝ることができました。ベッドに横になると「フェリーは動いているなあ」と感じる揺れがあるのですが、これがとても心地よく、いつの間にか眠ってしまいました。「もゆ」もテンション上がって遊んだせいか、ぐっすり眠っていました。フェリーはとても寝心地がよかったです。
※べッドの上にペットを上がらせることはできません。
目覚めるとそこはもう九州
海上を移動しながら船内レストランで食事をし、大浴場でゆったり癒され、心地よい揺れのお部屋でぐっすり。目覚めればそこは目的地の九州でした。「もゆ」は客室で、私たちは海の景色を眺めながら船内レストランで朝食をいただき、その後は下船の準備をしました。定刻どおり6:20に大分港に着岸。ペットを連れている場合の下船は、一般の乗客が降りたあとになります。船内には下船の案内のアナウンスが流れますが、「ウィズペットルーム」は準備が整うと係員が呼びに来てくれました。さあ、いよいよ大分県に上陸です。
母と兄弟姉妹に再会し「もゆ」はテンションMAX!?
大分港を出発し、私たちは由布院に向かいました。とにかく温泉もあり人気の観光地なので、早い時間に行ったほうがよい場所なのです。ですが、到着時にはすでにたくさんの人が訪れており、散策はほどほどにして自然豊かな観光名所の金麟湖に行きました。
その後、宿泊予定の貸別荘「LAMORI club」に向かいました。ここは宿泊施設の少ない中型犬以上同伴の方を優先していて、大型犬の飼い主にはとても嬉しいお宿なのです。今回の旅の目的のひとつが、ここで「もゆ」の母犬と兄弟姉妹犬と合流することでした。離れてずいぶん経ちますし、「もゆ」は覚えていないだろうなあ……と思っていたのですが、いままで見たことがない想像以上の喜びを全身で表現していました。
「ああ、覚えているんだあ」と彼らの絆の強さに感動しました。彼らは広い庭で思い切り走り、遊び、ときには近くの川で泳いだり……。私たちはそんな彼らを見ながらおしゃべりしたり、おいしい食事をいただいたりしながら、みんなで2泊を過ごしました。後ろ髪を引かれながら、再会を約束してみんなとお別れです。
そして、私たちは大分県宇佐市に向かい、川の辺の緑に囲まれた静かなカフェ「Sora Café」に行きました。豊富なメニューとおいしさが自慢のカフェで、広いドッグランがあるのです。「だんご」くんと山本さんは、この日の夜に再びフェリーに乗って神戸に帰るので、それまでの時間をここで過ごしました。
その後、私たちは宿泊予定の本格温泉宿「御宿 小笠原」に向かいました。ここは、全室離れで天然温泉が付いており、ペットと楽しく安心して泊まることができる本格温泉の宿です。阿蘇山のふもとに位置し、この宿からは北外輪山の景観を一望できます。敷地内には犬専用の温泉やドッグラン広場などのペット施設も充実していて、「もゆ」も私たちも温泉三昧で、のんびりと癒しの時間を過ごすことができました。
再び大分港に向かいフェリーに乗船
「御宿 小笠原」をあとにして、フェリーに乗船するため、再び大分港に向かいました。乗船時間までには時間があるので、超が付くほど人気の「九重高原菓房いずみや」の黒ゴマソフトを食べに九重本店に行きました。「絶品!!」と思わず言ってしまうほどのおいしさ。立ち寄ってよかったです。
その後、大分港に向かう途中で見つけたペット同伴OKの創作手打ちそばのお店「宝処三昧」で、お蕎麦と地鶏を堪能しました。とくにお蕎麦は絶品で、阿蘇産のそば粉や自家栽培のそばの実からそば粉をつくり手打ちで仕上げているお店です。とてもおいしくいただきました。そして、大分港に向かい、「さんふらわあ」に乗船。フェリーの旅を満喫しながら帰路についたのでした。今回も思い出に残る素敵な旅になりました。
まとめ
「船内でゆっくりくつろぎながら移動し、翌日早朝に目的地に到着するフェリーは、ドライバーの心と体の負担を軽くします。また、ペットも飼い主から離れることなく、客室でも自由に過ごせるので、同じように負担を軽くします。一緒にいられることで、お互いに安心ですし、ペットを飼われる方には、ぜひオススメしたい旅ですね」と吉田ご夫妻。到着日の朝から活動できることによって、時間を有効に活用し、充実した旅行を実現することもできます。みなさんも快適なフェリーの旅を満喫してみてはいかがでしょうか。
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