「ペットフードはなぜ低温製法がよいですか?」と聞かれたら

「ペットフードはなぜ低温製法がよいですか?」と聞かれたら、高温調理すると以下のような現象が起こるとザックリ答えます。

 ❶タンパクが変性する
 ❷油が酸化する
 ❸食物繊維が破壊される

❸の詳細は、2006年に報告された「さつまいもの加熱調理及び保存による食物繊維の性状変化」という論文で確認できます。この研究では、加熱による食物繊維の変化を観察するためにサツマイモを以下のように調製しました。

 ①生で食べる
 ②蒸し加熱(71.2度)
 ③電子レンジ加熱(99.8度)

その結果が以下のとおりです。

・不溶性食物繊維は加熱による影響を受けなかった
・水溶性食物繊維は蒸し加熱(71.2度の低温加熱)では発酵性に影響を与えないが、電子レンジ加熱(99.8度の高温加熱)では発酵性が低下することが明らかになった。


水溶性食物繊維を電子レンジで加熱すると、蒸し加熱した場合よりも腸内細菌に分解されにくくなり発酵性が下がります。つまり、調理法の違いが水溶性食物繊維の発酵性に影響を与えるのです。

急激な温度変化を伴う高温調理では、ペクチンなどの粘性多糖類や水分含有量の変化に加え、水溶性食物繊維の物理的性状変化が起こり、腸内細菌たちが食べにくい形へと変化して発酵性が下がると推測できます。

さらに、栄養素やビタミンの破壊などの影響もあるため、高温高圧より低温調理の方が腸内細菌的にはベターでしょう。