無理しない愛犬・愛猫介護のススメ 第10回「身体を清潔に保つために必要なケア」後編
愛犬・愛猫に介護が必要になった場合には、より一層に体を清潔に保つことが大切です。老化や病気、怪我等で抵抗力が下がっているときに清潔にしていないと、ほかの病気を引き起こす要因になってしまうことがあるからです。今回は前回に続き、体を清潔に保つために必要なケアの後編です。
耳のお手入れをする
まず、耳のお手入れに必要な以下のものを用意します。
・ガーゼ
※綿棒は耳の内部を傷つける場合があるので、基本的には使いません
製品の準備ができたら、いよいよ耳のお掃除をしてみましょう。
①イヤークリーナーを直接入れる
耳の中をチェックします。特に問題が無ければ、イヤークリーナーを耳に直接2~3滴ほど垂らします。その後、耳の付け根を親指と人差し指で揉み、しみ込ませます。こうすることで、汚れが浮き上がります。耳の中の乾燥状態を保つために、最後は渇いたガーゼで優しく拭き取ります。耳にイヤークリーナーを入れると、違和感から頭を拭捨てしまうことがあるので、周囲に汚れが飛び散らないように、頭を手で固定しましょう。
②ガーゼにイヤークリーナーをしみ込ませる
イヤークリーナーを直接入れるのを嫌がる場合には、ガーゼにしみ込ませて使用します(市販の耳掃除用シートでもOK)。ガーゼをひたひたにならない程度に湿らせ、耳の中の表面の汚れを拭き取るように汚れを取ります。耳の奥まで指を入れてしまうと内部を傷つけてしまうことがあるので、見える範囲のところを拭き取るようにしましょう。最後は渇いた布で、しっかりと水分を拭き取ります。
※最初に耳の中をチェックした時に、ひどい耳垢、強いニオイ、赤みのある腫れ、できものなどがあった場合、また触ると痛がる場合には、外耳炎等の耳の疾患が疑われるので、耳のお手入れはせずに動物病院で受診しましょう。
歯のお手入れをする(デンタルケア)
シニア期は口内のトラブルが多くなります。唾液の分泌が少ないために、口内を清潔に保つ機能が弱まることが要因です。汚れをそのままにしておくと、様々な病気の原因になります。歯垢や歯石は雑菌の巣と言われ、特に内臓疾患の原因となるのです。歯槽膿漏で痛みがでたり、歯周病で歯が抜けてしまえば、ご飯を美味しく食べることもできなくなります。そうならないために、毎日の歯のお手入れをすることが大切です。歯のお手入れに必要な以下のものを用意します。
・歯磨き粉
・ガーゼ
製品の準備ができたら、いよいよ口腔ケアをしてみましょう。
①ガーゼで慣らす
歯ブラシに慣れてない場合には、水に濡らしたガーゼを使って慣らします(市販のデンタルケア用シートでもOK)。片方の手で頭を固定して、もう片方の手の指にガーゼを巻き付けて、歯の表面をこするように磨きます。歯磨きを無理に行うとガーゼを見るだけで嫌がるようになってしまうので、磨きやすい前歯から慣らし始め、少しずつゆっくりと範囲を広げていきましょう。猫の場合は更に嫌がることがあるので、前歯に触れるところから始めるとよいでしょう。
②歯ブラシで磨く
ガーゼで磨くことに慣れたら、歯ブラシを使ってみます。愛犬や愛猫が好む歯磨き粉を付けて、上下に細かく動かし、マッサージをするように磨いていきます。歯ブラシを横に動かすと歯茎を傷つけてしまいますので注意が必要です。猫の場合は犬に比べて歯が小さいので、歯ブラシも小さめのものを選ぶと良いでしょう。
※どうしても歯磨きを嫌がる場合には、デンタルケア用のおもちゃで代用します。ウシやウマのヒズメは固すぎて歯が欠けたり、割れたりすることがあるので、硬すぎないものを与えるようにしましょう。
犬や猫のエナメル質は、私たちの1/10程度の厚みしかなく、再生・修復しないとされています。その反面、咬合力(噛む力)は私たちお倍以上あります。ですので、歯磨きも柔らかい毛を選び力を入れすぎずに行うのがよいでしょう。
目のお手入れをする
シニア期になると涙が粘液状になり、目やにが増えて汚れが付きやすくなります。そのままの状態で不衛生にしておくと、様々な感染症や涙やけの原因になります。日々のお手入れが必要となります。目のお手入れに必要な以下のものを用意します。
・脱脂綿やガーゼ
製品の準備ができたら、いよいよ目のお掃除をしてみましょう。
①脱脂綿やガーゼにフェイスクリーナーを染み込ませる
デリケートな部分なので、脱脂綿やガーゼにフェイスクリーナーを染み込ませて拭きます(市販の涙やけケアシートでもOK)。水滴が垂れない程度の量をしみ込ませましょう。目に入らないように目のふちから5㎜程度はなします。目頭から目じりに向けて「く」の字を描くように、優しくゆっくりと拭き取ります。
②目薬を目にさして流れ出たものを拭く
目薬をさすと、目頭あるいは目じりから流れ出てきます。それを①と同じ方法で拭き取ります。
※フェイスクリーナーや目薬の代わりに水を使用すると、湿気で雑菌が繁殖することがあります。被毛を守る成分が含まれたフェイスクリーナーや目薬を使用することをおすすめします。もし、目に濁りや充血が見られる場合には、動物病院で受診しましょう。
爪のお手入れをする
爪が伸びた状態で歩くと、関節に負担がかかり、立ち上がる時にバランスを崩して転倒する危険があります。特にシニア期になると足腰が弱ってくるので、より危険度が増します。また、伸びすぎると肉球に刺さる場合もあります。ケガを防ぐためにも、日々の爪のお手入れが大切なのです。爪のお手入れに必要な以下のものを用意します。
輪の中に爪を入れて切るギロチンタイプと挟んで切るニッパータイプがあります
・やすり
爪をお手入れする専用のやすりがあります
製品の準備ができたら、いよいよ爪のお手入れをしてみましょう。
①適切な部分まで爪を切る
犬の場合は、爪の中心部にある血管や神経を傷つけないように切ります。血管に近づくと断面が白く透明になるので、それを目安に少しずつ切り進めます。猫の場合は、肉球を押して爪を出してから切ります。横から見ると血管の位置が赤くなっているので、その手前まで切るようにします。爪とぎの頻度が減ると爪が厚く長くなり、肉球に刺さる場合がありますので注意が必要です。
まとめ
愛犬や愛猫がシニア期になるにつれ、飼い主のケアが頼りになります。様々なケアをしながら、ストレスを取り除いてあげると共に、病気や怪我の早期発見に努めましょう。
次回は、「認知症について」をお伝えする予定です。
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