無理しない愛犬・愛猫介護のススメ 第8回「床ずれの介護」

愛犬・愛猫が寝たきりになった場合に、長時間同じ姿勢を続けていたりすると、皮膚や関節など圧迫された部分の血流が悪くなります。その部分の皮がめくれたり、炎症を起こしたりするのが床ずれです。そのほか、皮膚の表面にできた擦り傷や不衛生になった皮膚などにも起こりやすく、その進行もあっという間です。悪化するとその部分が壊死を起こすので、早めの対策が必要です。寝たきりになったら、その対策を動物病院などに相談してみましょう。

早めの予防と対策で床ずれを防ぐ

床ずれは、特に大型犬や痩せている犬や猫に起こりやすく、肩・腰・かかと・頬・足首など骨が出っ張っている場所にできやすくなります。皮膚が赤くなっていたり、毛が薄くなっているなどが床ずれの初期症状です。寝床(ベッド)の素材等を工夫して、早めの対処をし、床ずれにならないようにすることが大切です。

【圧力を分散する】
体重を分散させて、血管を圧迫しないようにする必要があります。高弾圧・低反発マットなどを使用したマットをしようすると良いでしょう。

【擦れを軽減する】
摩擦が起こりにくい滑りの良い素材を選びましょう。

【ムレないようにする】
季節に関わらず熱がこもらない素材を選びましょう。

【清潔な状態を保つ】
抜け毛が付きにくく掃除がしやすいもの、家で洗濯ができる素材などを選んで、常に清潔な状態を保てるようにしましょう。

【身体の大きさにあったサイズにする】
身体より少し大きめのサイズのものを選ぶと、体位を変えたり、熱がこもった部分から涼しい部分へ移動させることがスムーズにできます。

寝返りの補助など体位変換をする

同じ姿勢ばかりをしていると、床ずればかりでなく「動きたい」という衝動からぐずる、夜鳴きなどをすることもあります。それらを防ぐためには、飼い主が寝返りの補助をして、体位変換をしてあげる必要があります。快適な寝床(ベッド)を使用していても、2時間に1回を目安に寝返りをさせてあげましょう。

愛犬や愛猫によって好きな向き、苦手な向きがあり、多少動ける子は自分で体位を変えてしまう子もいます。飼い主が様子を見ながら、同じ姿勢を続けることがないように、観察をすることも大切です。また、寝たきりの場合には伏せの姿勢が大切です。伏せの姿勢は、全身の筋肉を刺激し、関節の固まりや痛みを緩和するといわれています。体重を支えるための胴枕などを利用すると、ラクにその姿勢を保つことができます。五感を刺激して、欲求を満たし、愛犬・愛猫の活力アップをしてあげましょう。

もし床ずれになってしまったら

床ずれの進行は早く、飼い主が気づいたときには皮膚の奥にまでダメージを受けていることがあります。傷口の深さにより治療方法は変わります。軽度なら外用薬を塗るだけで回復をすることも多いのですが、重度になり壊死をしている場合には、その組織を手術で取り除く場合もあります。

一般的なケアの方法は、ぬるま湯で傷口を洗浄する、傷口がじゅくじゅくしていたらドレナージ(液吸収性ガーゼなどで体液を取り除く)して排出させる、また傷口を乾燥させないようにドレッシングするなどです。見た目だけでは判断が難しいこともあるので、床ずれを見つけたら、必ず動物病院で診てもらい、どのようなケアをすべきか指導を受けるようにしましょう。

まとめ

床ずれの介助は、排泄の介助と同じように、大型犬種・猫種になるほどたいへんです。また、2時間に1回は寝返りの補助をして、体位変換する必要があるため、飼い主の負担はとても大きいものになります。

しかし、最近は人間の介護ベッドの業者がペット用の寝床(ベッド)を製品として発売するなど、品質の良いものが沢山あります。無理をせず、市販の快適な寝床(ベッド)を大いに利用して、飼い主も愛犬・愛猫も心身ともに快適に過ごせるように工夫をしていきましょう。

次回は「身体を清潔に保つために必要なケアとは」についてお伝えする予定です。