犬との暮らしで知っておきたいこと Vol.170

【犬飼いTIPS】愛犬が鼻をすりつけてきませんか? この愛らしい行動のさまざまな意味とは

[2024/04/02 6:01 am | 編集部]

愛犬が鼻をすりつけてくると、その愛らしい仕草に心が温かくなりますよね。この行動には一体どんな意味が込められているのでしょうか?

今回は、愛犬が鼻を使って物や人に触れる「ナズリング(Nuzzling)」の理由やその背後にあるさまざまな意味についてのお話です。

生後すぐに学ぶ行動

ナズリングは、子犬が生まれてすぐに学ぶコミュニケーションと情報収集の重要な手段です。生まれたばかりの子犬がこの行動を通じて、周囲の環境や親犬や兄弟たちとの関係を学び始めます。

まず、この行動は母犬から始まります。母犬は子犬を世話する際に、鼻や舌を使って子犬を動かしたり、排泄を手伝ったり、清潔を保ちます。さらに、母犬は子犬のニオイをよく嗅ぎ、それぞれのニオイで子犬を識別します。

時間が経つにつれて、子犬たちはその行動を覚え始めます。子犬は鼻と前足を使い、授乳のために乳首を探したり、他の子犬を押しのけたりします。これらは本能的な生存行動であり、成長してもコミュニケーションや情報収集における重要はレパートリーであり続けます。

ナズリングする理由

ナズリングする理由のひとつは、自分の気持ち、欲しいものや必要なものを伝えるためです。多くの犬が鼻を使って私たちの手や腕をツンツンしたり、押したりします。その行動は、愛情表現や食事、遊び、散歩などを要求しているのかもしれません。

犬が何を求めているのかを理解するためには、飼い主が試行錯誤する必要があるかもしれません。撫でても満足せず、ナズリングを続けるようなら、食事やおやつを要求しているのかもしれません。もしくは、散歩や一緒に遊ぼうと誘っているのかもしれません。

ナズリングには、何かしらの要求しているということです。そのため、彼らの行動やサインをに注意を払い、それに応じて適切な対応をすることで、より良い関係を築くことができるのです。

ナズリング以外に、よく見られる行動は次のとおりです。

・鳴いたり吠えたりする ・前足で突っついてくる ・アイコンタクトやウィンクする ・しっぽを振る ・後をついて回る

犬たちは、私たちに多くのことを語りかけてきます。私たちは目と耳と頭を使って、どうすれば彼らのニーズを満たし、幸せにしてあげられるかを考える必要があるのです。

見知らぬ人にもナズリングする理由

人間は視覚で世界を判断する傾向がありますが、犬は視覚と嗅覚の両方を駆使して情報を処理します。彼らの嗅覚司令センターには、人間の30倍もある複雑な迷路のような組織があります。また、口蓋の裏側にある鼻腔の上には鋤鼻器(ヤコブソン器官)と呼ばれる副嗅覚器があり、これが犬の驚異的なニオイ感知能力の源となっています。

犬はニオイを嗅ぐときに、鼻孔を特殊な方法で使います。鼻から空気を皮膚に吹きかけるのです。鼻孔の側面から空気を排出しながら、同時に空気を取り込んでいます。これにより、鼻腔内の空気の流れを制御し、ニオイを鼻腔の奥にある嗅覚受容体に届けることができるのです。

そのために見知らぬ人が近づいてくると、犬はその人に向かって行き、鼻を使って可能な限り多くの情報を受け取ろうとしているのかもしれません。これは、必ずしも犬が撫でられたいというニーズの行動ではありません。

この事実は、しばしば私たちを混乱させますが、それを確かめる方法があります。彼らの行動を愛情をもって受け入れ、次にどのような行動をするのかを見てみることです。もっと撫でてと催促するのか、それともただナズリングし続けるだけなのか。

フレンドリーで社交的な犬は、見知らぬ人から撫でられることを心地よく感じるかもしれませんが、愛犬のことを一番よく知っているのは飼い主です。愛犬の性格、その場の状況や愛犬の態度に応じて、適切な対応をするようにしましょう。

その他の理由

ナズリングは、何か問題があることを知らせているのかもしれません。例えば、痒みを抱えている場合、あなたの腕や足などが痒みを解消するのに都合がよいと感じることがあります。

痒みが一時的なものではなく慢性的な問題であれば、原因を調べる必要があります。特に、鼻水が垂れていたり、鼻が乾燥してひび割れていたり、炎症を起こしているようであればなおさらです。

感染症やポリープ、鼻腔腫瘍など、健康に影響を及ぼす場合もあるので、鼻に異常見られたら、獣医師の診察を受けましょう。また、過剰なナズリングは疾患ではなくストレスのサインかもしれません。動物行動学の専門家に相談するのもよいでしょう。

まとめ

ナズリングは、私たちとの絆を深める重要なコミュニケーション手段であり、犬が安心感や幸福感を感じている証拠でもあります。

しかし、ときにはナズリングが過度に行われる場合や、愛犬が不安そうな表情を見せる場合もあります。これは愛犬が何らかの問題を抱えている可能性があることを示唆します。

私たちは愛犬のナズリングを注意深く観察し、その状況や表情から何を伝えたいのかを理解することが大切です。愛犬とのコミュニケーションを通じて、愛情を深めると同時に、愛犬の健康や幸福にも配慮しましょう。

[編集部]