【犬飼いTIPS】愛犬には霊が見える? 不可解なテーマについて考えてみる

寝ていた愛犬が急に起き上がって何もない空間を凝視したり、壁や天井に向かって吠えたりすることはありませんか?

もしかして霊が見えるのでしょうか。それとも何か別の理由があるのでしょうか。今回は、この不可解なテーマについてのお話です。

愛犬の不可解な行動

真夜中に愛犬が何かを察知したかのように起きだしたり、一見何もない空間に向かって唸り声をあげるなどして、驚いて目覚めた経験はありませんか? たいがいは何の問題もなく、何もなかったかのように再び眠りにつく……。

目に見えない何かと一緒に暮らしている可能性を考えると不安になるものです。夜中にトイレへ行くのも怖くなります。

愛犬には、私たちが見れれないものを感じたり、見たりすることはできるのでしょうか。このテーマは古くから話題になりますが、実際の研究データはほとんど見当たりません。しかし、動物行動学などから読み解くことができるかもしれません。

犬の感覚と人間の感覚は違う

人間と犬は、視覚(見る)、聴覚(聴く)、味覚(味わう)、嗅覚(嗅ぐ)、触覚(皮膚で感じる)という同じ五感によって外部からの情報を感じとっています。しかし、犬は私たち人間にはできないことができ、だからこそ犬はより魅力的で愛すべき存在なのです。

犬は暗い場所でも人間よりもよく見ることができます。それだけでなく、私たち人間よりも高い周波数を聞くことができ、とても小さい音まで聞き取れます。一般的に犬の聴覚は犬の聴覚は人間4倍程度とされています。

また、嗅覚においても人間の数千倍から10万倍優れているとされています。特定のニオイ(脂肪酸等)においては、100万倍以上ともいわれています。このように多くの犬は非常に鋭い感覚を持っていて、訓練により。麻薬を探知したり、癌のニオイを嗅ぎ分けたりすることさえできるのです。

犬には本当に霊が見える?

犬が目に見えないもの(霊であれ何であれ)に反応するのは、数時間または数日前に残されたニオイに反応していることが多いのです。ニオイを感じる嗅覚受容体は、人間には約400種類500万個程度しかないのに対して、犬には約900種類2億程度の嗅覚受容体があるとされています。

また、愛する人の感情の変化に敏感な犬もいて、恐怖や興奮、その他の感情を察知して反応することもあります。犬は人間の特定の感情を区別することができるので、単に周りの人の感情に反応しているだけかもしれません。

そのほかにも、屋外のほかの生き物の音に反応することもあります。犬の聴覚はとても敏感で、人間が感じ取れないような物音を察知するのに役立ちます。犬も人間も低い音はほぼ同じように聞こえますが、高い周波数では犬の方が人間よりはるかによく聞こえます。特定の音を聞いたときに頭を傾けたり首をかしげるような仕草をするのは、その音がどこから聞こえてくるのかを判断しているのです。

身体的変化や病気の可能性

犬がいつもと違う行動をとる理由は、周囲の外的環境だけが原因ではないかもしれません。それは身体的変化が原因かもしれません。年齢を重ねて感覚が衰えると、行動が変化することがあります。また、認知的な問題も、ペットに予期せぬ不可解な行動や反応をさせることがあります。

不安症が原因かもしれません。不安症の犬の多くは、頻繁にあるいは常に過覚醒状態にあります。犬は人間よりも聴覚や嗅覚が優れているため、さまざまなことが犬の反応に影響を及ぼします。屋根裏にいる小動物、家の周りにいるほかの動物の気配やニオイは、警戒心の強い犬の反応を裏付けるトリガーなのです。

老犬にみられる認知機能不全症候群(CDS)かもしれません。この病態は人間のアルツハイマー病に似た脳の不可逆的な退行変性で、これが犬の行動を変化させます。犬の認知症の兆候には次のようなものがあります。

無気力
関心・反応・活動の低下
空間をぼうっと見つめる
睡眠パターンの変化
落ち着きがない(そわそわしている)
同じところを歩き回る(ペーシング)
トイレの問題


このような行動が夕方や夜以降に顕著になったり、悪化がみられる場合は、サンダウナー症候群である可能性があります。こういった症状がみられるようになったら動物病院で診察を受けましょう。

まとめ

犬に霊が見えるかどうかは、犬の超感覚というよりも、飼い主の考え方が大きく左右されるようです。実際に、博報堂生活総研の定点調査「生活定点」によると、「霊魂を信じる」と答えた人の割合は地域差に関係なく31.4%で、女性のほうが約12ポイント高い結果のようです。こうした自身の信念が、愛犬には霊が見えるのではないかという思い込みに繋がっているとも考えられます。

通常は、犬の特性による行動である場合がほとんどで心配はいりません。ただし何らかの要因で異常行動がみられる場合は、原因を特定して行動のトリガーを取り除いてあげましょう。また、認知機能不全症候群である可能性が高い場合は、すみやかに獣医師に相談しましょう。