【犬飼いTIPS】犬には時間の感覚があるのでしょうか?
毎朝、決まった時間に愛犬に起こされたり、何か別のことをしていて散歩や食事の時間を忘れていると、催促されることがありませんか?
彼らには、私たちと同じように時間の感覚があるのでしょうか。今回は、犬と時間のお話です。
犬は人間のように時間を理解できる?
犬は私たちと同じような時間の感覚はあります。ただし、時間の感じ方は私たちとは異なります。彼らは、時計を見て時間を理解するのでははく、体の変化や観察力、嗅覚によって時間を一連の出来事として認識するのです。
実際に時計を見て時間を確認することはできませんが、朝を暗さから明るさへの変化として認識することができます。また、朝はお腹が空いたり、飼い主が起き出したりすることでも関連づけられます。
一日の終わりには、ホルモンレベルの変化を感じ、眠たい衝動から伸びをしたりあくびをしたりします。このときには、明るさから暗さへの変化として夜を認識することができます。
さらに、犬には感情やニオイを記憶する能力があることもわかっています。つまり、犬は模倣プロトコルによって教えられた行動を記憶することができ、その学習エピソードを思い出して行動するのです。
犬はどうやって時間を知る?
動物の概日リズムは、体内時計によって制御されています。概日リズムは、約24時間の周期で起こる精神的・身体的状態の規則的な変化のことで、犬と時間の関係において重要な鍵を握っています。
生理学的(機能的)な体の変化は、犬が起きる時間や眠る時間、食事にトイレへ行く時間、運動する時間を教えてくれます。
犬の嗅覚が優れていることはよく知られています。動物行動学者であり認知科学者でもあるアレクサンドラ・ホロウィッツ博士は、著書『Being A Dog』のなかでニオイのレベルによって時間の経過を嗅ぎ分ける犬の能力について説明しています。
例えば、あなたが家にいるとき、あなたのニオイはもっとも強くなります。しかし、外出すると徐々にニオイは弱くなっていきます。その後、あなたが帰宅すると再びニオイが強くなります。犬はニオイの強弱から、あなたの帰宅を予測することができるのです。
また、ホロウィッツ博士によると、犬は香りの動き(移動)によって過去と未来といった時間の経過を認識できるとしています。
つまり、地面すれすれまで下がった弱いニオイは、犬に時間が経過したことを理解させます。逆に、ニオイが空気中に漂う(ニオイが強くなる)ようになると、もうすぐ誰かがやってくることを予測できるとうことです。
犬と人間の時間認識
人間と犬の時間の感じ方には、共通点もあれば相違点もあります。犬は時間の経過を感じる自然な感覚(生物学的なリズム)を持っていますが、現代の私たちはそれを時計に置き換えて認識しています。
犬は私たちの活動と強く同調しているため、私たちがスケジュールを変更することで、犬の時間的感覚に影響を与える可能性があります。
例えば、朝食や散歩時間を変更したりすると、時間の感覚がずれるかもしれません。また、ほとんどの犬は、私たちの活動が落ち着くまで眠ることができないので、私たちが夜更かしすると彼らは夜を認識できない可能性もあります。
たいていの場合、犬は変化に適応しますが、不安を抱えている犬の場合は、スケジュールやルーチンがつねに変化することに対応できず、問題行動を引き起こす可能性があります。
犬は時間の経過を理解できる?
犬も時間の経過を感じることができます。ただし、具体的に何時間、何日、何週間が経過したかはわかりません。犬は、ニオイの強弱によって短い時間を認識し、嗅覚記憶によって長期的な時間を認識すると考えられています。
例えば、あなたが仕事に出かけると、犬はあなたのニオイいが再び強くなる(帰宅が予測できる)までモニターし続けるでしょう。
もっと長い期間、たとえば1週間の出張の場合、あなたとあなたのニオイが家に到着したとき、嗅覚記憶が呼び起こされるのです。
まとめ
犬に時間の感覚がありますが、厳密に何時間、何日、何週間を理解することはできません。ただし、あなたが留守にしている間、犬はさまざまなメカニズムによって時間の経過を認識します。
犬は瞬間に集中する傾向があるので、あなたが「いる」か「いない」かを端的に判断します。ある調査では、留守の時間が2時間を超えると、ほとんどの犬が飼い主との再会をより喜ぶ傾向にあることがわかりました。
動物が時間を認識する速度は、代謝によって異なるという研究結果もあります。犬は人間よりも代謝が高いため、時間をゆっくりと感じるようです。私たちの60分は、彼らにとっては約75分に相当するのだそうです。
ちょっと食事の時間が遅れただけなのに鬼のように催促するのは、彼らにとっては「待たせすぎ!」ということになるのかもしれませんね。