【犬飼いTIPS】犬は1日にどのくらいの水を飲むべき？

私たちだけでなく、犬も健康で生きていくために水は欠かせません。カラダの60〜70％が水分からできていて、水が不足すると脱水症状となり、カラダが正常に機能しなくなります。では、犬にはどのくらい水が必要なのでしょうか？　今回は犬の飲水についてのお話です。

1日に必要な水分量は？

犬が1日に必要とする水の量にはいくつかの目安があり、個体差もあります。一般的には、体重1kgあたり50～60㎖程度の水を飲むとよいとされています。小型犬（体重10㎏未満）の場合は500～600㎖で、ペットボトル1本分と考えればわかりやすいでしょう。

ただし、犬が水を飲む量はさまざまな要因で変化するので、水の摂取量を制限するべきではありません。また、健康な状態であれば、犬が飲む水の量を正確に測定する必要もありません。新鮮でキレイな水を毎日たくさん飲ませてあげましょう。

水を飲む量が減る理由

犬が水を飲む量が少なくなる原因には、次のようなものが考えられます。

水や設置の問題

新鮮な水を清潔なボウルで24時間いつでも飲めるようにしておく必要があります。水（水源）が変わったり、水が汚れていたりすると嫌がることがあります。また、ウォーターボウルの置き場所も、静かで落ちついて飲める場所に配置する必要があります。多頭飼育の場合は複数用意することもお忘れなく。

ウェットフードや手づくり食を与えている場合

缶詰や手づくり食を与えている場合、ドライフードに比べると、水を飲む量が減ったように感じるでしょう。ウェットフードの約65～80％が水分なので、フードからある程度の水分を摂取していることになります。

病気や痛みを抱えている場合

口腔内の疾患や顎の骨折や脱臼など、物理的な理由で飲水が妨げられている可能性があります。また、消化管に炎症が起こることで吐き気を催し、喉の渇きが減ることもあります。まれに神経系の病気もあります。よく知られているのが狂犬病です。
※日本では、狂犬病ワクチン接種が法律で義務付けられています

十分な水を飲まないとどうなるの？

カラダの重要な機能の多くが水を必要とするため、十分な量の水分がないと、犬は脱水状態になります。水分の欠乏が続くと臓器がダメージを受け、その状態が長く続くと腎臓や肝臓などの臓器が停止し始めます。そして間もなく死に至ります。

健康な犬は毎日十分な量の水を飲んで水分補給をしていますが、脱水症状を起こす場合も少なからずあります。腎臓病、代謝性疾患（糖尿病など）、癌などはよく知られていますが、妊娠中や授乳中も脱水症状を起こしやすくなります。

脱水症状のチェック方法

愛犬が脱水症状を起こしていないかどうか、以下の手順で確認してみましょう。

①肩甲骨の間の皮膚を軽くつまむ
②皮膚を軽く引っ張り上げ、そして離す
③皮膚が元の位置に戻るか確認する

健康な状態であれば皮膚はすぐに元の位置に戻るはずです。脱水症状の場合、皮膚はゆっくりと戻るか、しばらく引っ張られたままの状態で徐々に元の位置に戻ります。そのほか、犬の脱水のサインをいくつか挙げましょう。

水を飲みすぎと感じたら？

水をたくさん飲むことは、「多飲症」や「水中毒」と呼ばれ、獣医学で一般的な問題のひとつです。多飲症にはさまざまな原因がありますが、夏や季節の変わり目に多飲症になることがあります。また、下痢や過度のパンティング、出血によって体内の水分が失われている場合にも、犬はより多くの水を飲むようになります。これは、水分を補給し、正常な血液量に戻そうとする体の働きなのです。

ただし、いつもよりたくさん水を飲んだり、おしっこの回数が多いと感じたら、かかりつけの獣医師に相談しましょう。多くの病気は、進行過程でこのような症状が見られます。多飲多尿は、特に以下のような原因によって引き起こされる可能性があります。

そのほかにも、副腎皮質ホルモン剤（ステロイド剤）や利尿剤などを使った治療をしていると多飲症になることもあります。また、ストレスや不安・緊張などから必要以上に水分を飲む「心因性多飲症」も考えられます。

まとめ

水はすべての生物にとって必須なものです。愛犬がいつでも新鮮な水を飲めるように、毎日ウォーターボウルを掃除し、新しい水に交換してください。また、置き場所にも気を使ってあげましょう。彼らは音やニオイに敏感なので、人の出入りが多い場所や、大きな音がする場所、ニオイがきつい場所は避けましょう。

つねに飲水量を計測する必要はありませんが、過少飲水、過剰飲水はどちらも疾患の可能性があります。飲水やおしっこに異常な変化が見られる場合は、獣医師の診察を受けましょう。