草木が青々と生い茂るこの時期。散歩に出かけると、急に愛犬が立ち止まりその辺に生えている草をパクパク食べ始めるなんてことはありませんか? よく見るとどの草でもよいのではなく、細長い特定の草を選んで食べています。
しかし、やめさせたほうがよいのかどうか、悩む飼い主さんも多いことでしょう。今回は犬が草を食べる理由や注意点などのお話です。
なぜ犬は草を食べるの?
犬が草を食べる理由はまだ解明されていませんが、以下のようないくつかの仮説があるようです。
ビタミン・ミネラル・繊維質などの栄養を補給するため
普段から総合栄養食と明記されたドッグフードを規定の量だけ食べている犬の場合には、栄養は足りているはずですが、必要としている栄養素の量は個体差があります。そのため不足分を補給したり、もっと食べたいという欲求から草を食べているのではないかといわれています。
また、犬が好んで食べる細長いツンツンした草はイネ科の植物が多く、これは祖先から受け継いだ生理現象なのではともいわれています。繊維質などを多く摂取し、腸内環境を整えているのではないかという説、食べ物から摂取しきれない葉酸というビタミンやミネラルを補給しているのではないかという説もあります。
草を食べて嘔吐することで胃をスッキリさせるため
猫が猫草を食べて、胃のなかに溜まった毛などを吐き出すことはよく知られていますが、犬も同様によく嘔吐する生き物です。嘔吐の原因は、食べ過ぎ、空腹、車酔い、消化不良、病気などさまざまですが、犬は本能的にお腹の調子が悪いときに、草を食べて嘔吐することが多いようです。
おいしいから、楽しいから
単純にその草の味が好きであったり、葉がプチプチと切れるのが楽しいから食べているということもあるようです。
叱られたり、嫌なことがあったりしたのをごまかそうとしている
飼い主さんから叱られたり、自分のしたくないことを要求されたり、何かの音に驚いたりと、気持ちを落ち着かせるために食べている犬もいるようです。
散歩から帰りたくないという時間稼ぎ
楽しい散歩はいつまでもしていたい。帰りたくないという気持ちから、わざと草を食べている犬もいるようです。
愛犬が草を食べたがるときに注意することは?
草を食べること自体には問題はありませんが、注意しなければならないことがあります。以下の点を注意してあげましょう。
【除草剤が撒かれているかも】
愛犬が草を食べようとしている場所には、もしかしたら除草剤が撒かれているかもしれません。「除草剤散布」と書かれているところもありますが、地域によって掲示が無いこともあります。不自然に草が生えていない場所、枯れている草がある場所には注意が必要です。
【犬が食べると危険な草もある】
犬にとって毒性のある植物は、じつはたくさんあります。どこにでも生えている、または咲いている植物も多く、これを知ると「うちの子にむやみに草を食べさせないほうがよいのでは?」と思うことでしょう。
万が一、犬が毒性のある植物を食べてしまった場合には、嘔吐、下痢、血便、多量のよだれ、神経症状などが見られることが多々あります。そのような場合には、まずは多量の水を飲ませ、可能な限り吐かせて、すぐに動物病院で診察を受けましょう。毒性のある植物には、下記のようなものがあります。
アサガオ アジサイ アマリリス アロエ スイセン マリーゴールド キク パンジー ハイビスカス ヒヤシンス フジ キキョウ チューリップ ユリ イチョウ スズラン ベゴニア ツツジ イチジク
まとめ
除草剤や毒性のことを考えると、散歩中に自然に生えている草をむやみに与えないほうがよいのかもしれません。しかし、胃腸の調子を整えることや愛犬の楽しみという理由で食べさせたい場合には、猫草のように自家栽培するのがオススメです。ペット用の自家栽培キットなどが販売されていますので、手軽に育てることができます。
また、家のなかで植物を育てている場合には、それが愛犬にとって危険なものであるかどうかをチェックすることが大切です。観葉植物や鉢植え、生け花など、飼い主の責任で愛犬を危険にさらさないように、十分に注意しましょう。