【犬飼いTIPS】秋の味覚“ブドウ”には要注意!!

スーパーに買い物にいくと、売り場にはおいしそうな秋の味覚が並ぶようになりました。まだまだ暑い日が続いていますが、もう秋がそこまでやってきているなぁと感じます。秋といえば「食欲」です。気温が下がり、過ごしやすくなると愛犬の食欲もわいてくることでしょう。しかし、秋の味覚で犬に与えると危険なものがあります。それは「ブドウ」です。今回は、ブドウ中毒のお話です。

犬はブドウで中毒を起こす

栄養価が高く、おいしい果物である「ブドウ」。人間にとっては、どれだけ食べても害がないのですが、犬の場合には中毒症状を引き起こし、死に至るケースも報告されています。犬にとって危険とされている「ネギ」や「チョコレート」は多く知られていますが、ブドウでの中毒はあまり知られていません。レーズンもブドウを乾燥してつくるので、同じように危険な食べ物なのです。

犬がブドウを食べて中毒を起こすと、数時間のうちに腹痛や下痢、嘔吐を繰り返すようになります。その後、症状が重いと腎不全を発症する可能性があります。これが悪化すると高カリウム血症や尿毒症を起こし、最悪の場合は1日のうちに命を落とすこともあるのです。どれくらい食べてしまうと中毒になるのかということは、個体差があり一概には言えません。1粒でも中毒になる犬もいますし、4粒食べても中毒にならない犬もいます。ですから、愛犬が中毒にならないように、ブドウは絶対に食べさせないようにすることが大切です。

中毒になる理由

犬にとって、ブドウがなぜ中毒を引き起こすのか、その原因はまだわかっていません。ブドウの実よりも皮に注意が必要といわれています。生産過程で使用される農薬(殺菌剤・殺虫剤)、ビタミンDやビタミンDアナログ(類似物質)、カビなどが要因ではないかと疑われていますが、そのメカニズムもわかっていません。

「犬にブドウは危険」ということは、2001年にアメリカの研究者たちのブドウ中毒の報告が始まりです。犬43匹がブドウの接種後に腎機能障害を引き起こし、その半数の犬が急性腎不全で亡くなったのです。その後、日本でも2010年に「ブドウ接種後に急性腎不全を発症して死亡した犬の1例」が日本小動物獣医学誌に掲載されるなど、摂取したことで亡くなったという症例が報告されています。

ブドウによる中毒症状とは

犬がブドウの実や皮、レーズンを接種した場合の共通している症状は、接種後、数時間以内に嘔吐が見られることです。そのほか、下痢、震え、食欲がなくなる、呼吸が速くなる、意識が朦朧とするなどの症状が出ることもあります。動物病院での血液検査では、腎機能の指標である尿素窒素(BUN)、クレアチニン(CRE)の急激な上昇、カルシウム(Ca)や無機リン(P)の上昇などで、中毒による急性腎不全であるかどうかの判断がされます。カルシウムや無機リンの数値が高いほど、予後の経過がよくないなど、より重篤であるということになります。

ブドウを食べたことにより腎臓の機能が低下すれば、最悪の場合は死に至ります。腎臓は体内に溜まった老廃物や余分な水分を体外に出して、血液をきれいにする働きがあります。血液を造るホルモンを分泌したり、血圧を調節したりと生きていくのに欠かせない臓器です。原因が判明していないだけに、治療も対症療法をするしかありません。

もし、愛犬がブドウを食べたのを確認した場合には、できるだけ早く動物病院へ連れていき、処置してもらうようにしましょう。

どれくらいの量を摂取したら危険なのか

中毒症状には個体差があるとされており、その数値には幅があります。体重1㎏あたり、ブドウで3~32g、レーズンで11~30gといわれています。例えば、体重3㎏の犬の場合は、ブドウ2~3粒、レーズン50粒になります。ただし、これはあくまでも目安に過ぎず、原因やメカニズムが解明されていない以上、食べさせないことが重要です。「1粒でも危険」と認識しておいたほうがよいでしょう。

まとめ

人間にとって「ブドウ」は、甘くて美味しい秋の味覚です。害がないのだからと愛犬に与えてしまいがちです。しかしながら、「1粒でも危険」と認識し、絶対に食べないようにしなければいけません。特に留守中など、うっかり愛犬の届くところに置かないように、十分注意が必要です。