犬との暮らしで知っておきたいこと Vol.20

【犬飼いTIPS】犬のいびきには病気が潜んでいる?

[2020/05/01 6:01 am | 編集部]

みなさんの愛犬は、睡眠時に「いびき」をかきますか? 人間も「いびき」をかくように、犬もかくことがあるのです。鼻が短いパグ、フレンチブルドック、ボストンテリア、シーズーなどは「いびき」をかきやすく、それらの犬種の飼い主は聞いたことがあるかもしれません。じつは、この「いびき」には稀に病気が潜んでいる場合があります。早期に発見するためにも、犬の「いびき」について知っておきましょう。

鼻の短い犬種がいびきをかきやすい理由

鼻が短く、潰れている短頭種の犬は、上気道が狭くなっています。そのため、睡眠中に空気が通りにくく、いびきをかきやすい構造なのです。また、喉の奥にある口と鼻を塞ぐ組織である軟口蓋(なんこうがい)が長く、それが呼吸をするたびに振動するため、いびきをかきやすくなります。

軟口蓋の長さが原因で気道が塞がれ、呼吸が妨げられる軟口蓋過長症(なんこうがいかちょうしょう)になることもあり、先天性と診断されることも多いようです。いびきをかきやすいとはいえ、その回数や大きさが気になるようなら、獣医師の診断を受けることをオススメします。

犬がいびきをかく原因は

いびきの原因は、上記のような犬種の特徴以外にも、鼻づまりや肥満によるものがあります。鼻づまりがあると必然的に口呼吸になりますが、その場合は気道が細くなりがちです。そのため、うまく鼻呼吸ができない場合には、就寝時のいびきが増えることがあります。鼻づまりは一時的なものなので、症状が治まれば解消されるでしょう。

また、肥満などで首周りに脂肪がたくさんついてしまった犬は、気道が塞がれることがあり、いびきをかきやすくなります。食事の量をチェックし、計画的なダイエットをすることで、解消することができるでしょう。

病気でいびきが生じることはある?

いくつかの病気の症状として、いびきが生じることがあります。下記のような病気が潜んでいることもあるので、注意が必要です。

■鼻炎

鼻の粘膜が炎症を起こしている状態で、粘膜が刺激を受けることで、くしゃみや鼻水の症状が出ます。原因は、真菌、腫瘍、異物、口腔内疾患などですが、原因不明のものも多く、慢性化や再発することも少なくありません。この鼻炎での鼻づまりでいびきが生じていることがあります。

■鼻腔内腫瘍(びくうないしゅよう)

鼻のなかの腫瘍(できもの)で、犬の場合はほとんどが悪性です。中年齢から高年齢に多く、また雌よりも雄のほうが多い疾患です。初期での内蔵への転移は低いといわれていますが、進行とともに肺やリンパに転移することがわかっています。この疾患でよく見られる症状は、腫瘍部からの出血による鼻出血、鼻汁です。鼻腔内で腫瘍が増殖すると、空気の通りを邪魔したり、塞いだりするので、いびきが生じることがあります。

■軟口蓋過長症(なんこうがいかちょうしょう)

喉の奥にある口と鼻を塞ぐ組織である軟口蓋(なんこうがい)が長く、気道が塞がれ、呼吸が妨げられる疾患です。その長い軟口蓋が呼吸をするたびに振動するために、いびきが生じやすくなります。

■気管虚脱(きかんきょだつ)

肺に空気を出し入れするための気管が押しつぶされ、正常な呼吸ができなくなる疾患です。先天性のものから、肥満や加齢が原因になることもあります。「ゼーゼー」する呼吸音がした場合、この疾患の可能性があります。いびきが生じることも。症状が悪化すると呼吸困難を引き起こし、酸素吸入や外科手術が必要になることもあります。

■鼻腔狭窄(びくうきょうさく)

鼻の穴が狭いことにより、呼吸がしづらくなる疾患です。先天性の要因が多く、短頭種の犬に良く見られます。いびきが生じることもあり、重篤な場合には鼻腔内を広げる手術が必要になります。

まとめ

鼻づまりや肥満でのいびきは、大きな問題ではありません。しかし、「いびきの回数が増える」「音が大きくなる」「活動中の呼吸が荒くなる」などした場合は、「たかがいびき」と安易に考えないほうがよいでしょう。愛犬の様子を観察し、早めに病院へ行くことをオススメします。

[編集部]