犬との暮らしで知っておきたいこと Vol.17

【犬飼いTIPS】混合ワクチン接種も欠かさずに

[2020/02/14 6:01 am | 編集部]

近年はペットの生活環境も格段によくなり、犬も15歳を超えるご長寿も珍しくなくなりました。そこには動物医療やペットフードの進歩、そして飼い主による予防医療の実践も背景にあります。それに伴ってウイルス性疾患の発生率も低下しているため、「ワクチン接種は必要ないのでは?」という予防の必要性を疑問視する情報が出ることがあります。しかし、ワクチン接種をしなかったためにウイルス性疾患に感染して命を落とす犬も確実に存在しています。今回は「ワクチン接種も欠かさずに」という、その理由についてのお話です。

ワクチンとは?

犬が持つ「病原体に対する抵抗力(免疫力)」のしくみを利用して、感染病に対する免疫をあらかじめつくっておく製剤のことをワクチンといいます。病原体や細菌毒系の毒性を弱めたものをあらかじめ摂取し、その抗体をつくり、免疫反応の記憶を残します。そうすることで、本当の病原体が侵入してきた時に「この病原体は防がないといけない」という防御反応が働き、発症予防や症状軽減が期待できるというものです。

発症すると救命することは難しいの?

ワクチン接種の対象となる感染症は、致死率の高いものが多く、発症すると救命することが難しいといわれています。そのため、ワクチン接種をしておくことを推奨しているのです。狂犬病予防接種とは異なり、接種しないことによる法律上の問題はありませんが、上記の理由から予防医療としては接種が有効的とされています。発症すれば命に関わるかもしれないことであり、飼い主の責任で接種をされることをオススメします。

どんな病気に効果があるの?

犬の場合は、下記の感染症を予防できる5~11種の混合ワクチンがあります。上位5種の混合ワクチンから順番に6種、7種、8種、9種、10種、11種の混合ワクチンの中から選択接種できます。

・ジステンバーウイルス感染症
・アデノウイルスI型感染症(犬伝染性肝炎)
・アデノウイルスⅡ型感染症(犬伝染性咽頭気管炎)
・パラインフルエンザ感染症
・パルボウイルス感染症
・コロナウイルス感染症
・レプトスピラ感染症コペンハーゲニー型(イクテロヘモラジー/黄疸出血型)
・レプトスピラ感染症カニコーラ型
・レプトスピラ感染症へプドマディス型
・レプトスピラ感染症オータムナリス型
・レプトスピラ感染症オーストラリス型

ワクチン接種は年に1回しないといけないの?

子犬のワクチンプログラムが終了後は、年に1回の追加接種が奨励されていますが、最近では3年に1回でよいとの情報もインターネット等では掲載されています。海外でのコアワクチン3種について、接種後3年は抗体価が保たれているというデータも発表されているので、それを裏付けるものとなっています。

しかし、獣医師に聞くとワクチン接種後の免疫反応には個体差があり、すべての犬にその効果が当てはまるとは限らないといいます。抗体価検査をせずに100%大丈夫と考えるのは危険なのです。例えば人間でも予防接種をしているのにインフルエンザになったということをよく聞きます。それは免疫反応に個体差があるということです。そう考えると、病気などでワクチン接種ができない場合は別として、安心のためには年に1回の摂取が望ましいといえるでしょう。

また、ワクチン接種は任意であるものの、犬と一緒に泊まれるホテルやドッグラン、ペットホテル、トリミングサロンなどの施設では1年以内のワクチン接種証明書の提示を求められることが多く、結果的には年に1回の摂取をしているのが現状のようです。ワクチンは効果が出るまでには約2週間かかるといわれています。このような施設を利用する際には、最低でも2週間前までに接種を済ませておきましょう。

まとめ

愛犬を危険な感染症にさらさないためにもワクチン接種は大切なものです。接種は任意ではありますが、飼い主の責任においてしっかりと接種し、愛犬を守ってあげましょう。

[編集部]