【猫飼いTIPS】メス猫よりオス猫のほうが愛情深いってホント?

猫と暮らしていると、オス猫のほうが甘えん坊と感じる飼い主が多いようです。しかし、その仮説を裏付ける科学的な根拠はありません。

その最大の理由が、犬と比較して猫の性格についての研究がほとんどないことです。今回は、数少ない研究から、猫の性格について考えてみます。

オス猫はメス猫よりも愛情深い?

ほとんどの研究者は、猫が愛情深く友好的で社会性のある生き物であることに異論はないようです。そして、オス猫がメス猫より愛情深いことを裏付ける研究はありません。

もし、愛猫が社会的知能テストでどのような結果を示すか気になるのであれば、オレゴン州立大学の研究「Social interaction, food, scent or toys? A formal assessment of domestic pet and shelter cat (Felis silvestris catus) preferences」が参考になるかもしれません。

この研究によると、猫はオス・メスともに、フード(お腹が空いていない限り)やおもちゃなどよりも、人との関わりを選ぶことがわかりました。

猫は女性の飼い主に懐きやすい?

猫の性別は、愛情という点では違いがないようです。猫の性格に関する研究でも、猫の性別は、飼い主との関係のあり方にはほとんど影響しないことが示唆されています。

しかし、それとは対照的に、飼い主の性別は猫と人の絆に影響を与えるようです。一般的に、女性の飼い主は、男性よりも猫に対して積極的に話しかけたり、近づいたりする傾向があるからというのが理由です。

また、猫の性格に関する研究におけるアンケートや聞き取りした対象者をみると、じつに過半数が女性というケースが多く見られます。なかには9割が女性だったという事例もあります。これでは、正確な結果を得ることが難しく、オス猫がより愛情深いかどうかを判断することは不可能です。

これらのことは、男性の飼い主が猫をそれほど愛していないといっているのではありません。人も猫も性別は関係なく、ペットとどう接するかが重要であることを示しているのです。

猫の愛情に影響を与えるもの

メインクーン、ラグドール、サイアミーズなど「あなたとの時間」を大切にする猫種がいることは知られています。

しかし、猫の愛情には生まれつきの気質だけでなく、ほかにも多くの要因があります。ここでは、そのいくつかをご紹介します。

尊重される距離感

もし、あなたのパートナーや親兄弟が過剰なコミュニケーション(例えばハグやキスなど)をしてきたら、あなたはどんな気分ですか? それが嬉しい人もいると思いますが、多くの日本人は、ちょっと引くのではないでしょうか。

猫も一緒で、それぞれ境界線があるのです。ハグ、キス、くすぐり、そして過剰に撫でるなど、物理的(身体的)なコミュニケーションをしない強制しないほうが、猫との関わりはよりよいものになります。

猫のボディランゲージは、あなたの愛情をどれだけ求めているかを知る手がかりとなり、そのサインを見逃さず守ることことによって信頼を築くことができます。

早期の社会化

生後12週間までに、飼い主だけでなくすべての家族、そのほかのいろいろな人に会うと、よりフレンドリーな性格になるといわれています。

健全なブリーダーは、生まれた子猫のいろいろなところを触ることで神経を刺激するトレーニングをするようです。そうすることで、人に対して愛情深く、触られることを拒絶しないと言います。

野良猫や保護猫の場合、多くはつらい生い立ちを持っていて、最初はなかなか打ち解けることができないかもしれません。思いやりと忍耐をもって彼らが安心して暮らせる環境をつくってあげましょう。

絆を深めるための工夫

猫との絆を深めるには、猫の欲求を満たすものや必要なものを考えてあげることが大切です。

▸愛猫が毎日精神と身体をリフレッシュできる遊びやおもちゃで、絆を深めるための時間を確保する。
▸キャットタワーやステップなど、安心できる場所をつくり、必要なときに休憩できるようにする。
▸多頭の場合は、すべての猫が不安や嫉妬を感じないように環境を整え、コミュニケーションする。


まとめ

以前、「共進化」についてお話しました。共進化とは、人と動物が相互作用を通じてお互いに進化しあうことです。相互に有益な関係を築くうえで重要なのが性別でした。

ワシントン州立大学の研究によると、犬と人が絆を築くうえで、男性よりも女性の関係のほうが大きな影響を与えてきたようです。これは、女性には母性があり、積極的に話しかけたり、近づいたりするからかもしれません。

男性にはちょっとショックかもしれませんが、適度な距離感や絆を深かめる工夫をすることで、猫の愛情を獲得できるはずです。愛猫が冷たいと感じる人は、ぜひお試しください。