【猫飼いTIPS】忍者が愛用した「猫の目時計」をご存じですか?

猫は昔から穀物などをネズミの被害から守るために、人と一緒に暮らし、その役目を担ってきました。それ以外にも人間の生活に多くの有益をもたらす貴重な動物として重宝がられてきたのです。今回は「猫の目時計」のお話です。

猫の目で時間を知る

時刻を「丑(うし)の刻」「午(うま)の刻」「四つ」「五つ」などと数えていた戦国時代などは、まだ人々の間では「時間」というものがあまり意識されておらず、かなりアバウトに捉えていたといわれています。現在のような機械時計が日本に入ってきたのは、宣教師であるフランシスコザビエルがヨーロッパからやってきて、周防の大内義隆に献上したのが始まりとされています。その後、ローマ法王訪問使節が豊臣秀吉にも献上したと伝えられています。

しかし、それらの時計は特別な人だけが持てる超高級品で、庶民は時計がどんなものかも知る由もない時代です。まして外出時にも持ち歩ける腕時計などあるはずもない。そんな時代の人々は、おおよその時間を知るために猫の目(瞳孔)を見て役立てていたといいます。

猫の瞳孔は縦に長く、光の量により閉じたり開いたりします。暗い場所では光をたくさん取り込もうとして大きく開くので円形になりますが、明るい場所では光が入り過ぎないように針のように細く狭めて調節しています。日中の太陽の登り具合や明るさによって猫の瞳孔は自然に変わるので、この瞳孔反射を利用したのです。

出典:甲賀流忍者屋敷

忍者が愛用した「猫の目時計」とは?

「猫の目時計」とは、前述したように猫の目(瞳孔)の開き具合によって時刻を知る方法です。滋賀県甲賀市にある「甲賀流忍者屋敷」によると、忍者は時間を知るために砂時計を持ち歩いていましたが、その「猫の目時計」を愛用していたそうです。

猫の目(瞳孔)は夜明けと日暮のころ、いっぱいに開いて丸くなります。昔の時刻でいえば「明け六つ」「暮れ六つ」です。「五つ」「七つ」と言われる午前8時頃と午後4時頃には、卵形くらいに細く。「四つ」「八つ」といわれる午前10時ごろと午後2時ごろには卵形がだんだん細くなって柿の種くらいになります。「九つ」といわれる正午ごろにはいっそう細くなり、針のように一直線に見えます。

忍者はさまざまな武術を身に付けるとともに、火薬や天文、気象に動植物の生態までの知識を駆使して、さまざまな情報を集めていたということです。猫の目の習性を知っていて、「猫の目時計」をつくったとされています。知識とともに、優れた観察力を備えていたのでしょう。

この「猫の目時計」は甲賀流忍者だけでなく、三重県伊賀市の「伊賀流忍者博物館」で紹介されている伊賀流忍者も愛用していたとの記述があります。多くの忍者が猫を頼りにしていたということです。また、庶民も「猫の目時計」のことを知ると、猫の目(瞳孔)を見ることでおおよその時間を確認していたそうです。

まとめ

時計のない時代には、こうして「猫の目時計」が重宝されていたようですが、時間を知りたいときに猫がそばにいるとは限りません。たまたまそばにいたときに時間を確認するという、おおらかな毎日だったのでしょう。

古い時代からの犬と人との関わりは多く知るところですが、猫も昔から人と関わりを持って生活をしていたことを「猫の目時計」が教えてくれました。