【猫飼いTIPS】猫は泳げるのか?

先日、子猫を浴槽で無理やり泳がせたとして、59歳の男性が動物愛護法違反の疑いで逮捕されました。昨年7月ごろにSNSに投稿された動画で発覚しました。「泳ぎが得意なリカコです」と説明されていましたが、その動画を見る限り、明らかに子猫は必死に鳴きながら助けを求めています。「いかんいかん。助けてあげよう」とも書かれていて、男性は子猫が助けを求めているのをわかりながら動画を撮り続けていたことになります。そもそも、猫は泳げるのでしょうか? 今回は「猫は泳げるのか?」というお話です。

猫は泳ぎを習得していない?

猫は泳ぎが苦手だといわれています。猫の直接の祖先は、北アフリカの砂漠地帯に住んでいたリビア猫という説があります。もともと砂漠に住んでいたため、水に接する機会が多くありませんでした。そのため泳ぐ必要もなく、泳ぎ方を習得する必要もありませんでした。砂漠でも生きていけるように、飲み水が少なくても維持できる体になっています。砂漠では水浴びをすることもなく、身体の汚れは舐めて落とし、寄生虫などは砂浴びで落としていたようです。体が濡れるのを嫌がる猫が多いのは、そのような理由からだと考えられています。

成猫でも泳ぎが苦手なのですから、体力のない子猫の場合は溺れてしまうこともあるでしょう。なかには泳ぎが好きな猫もいるのでしょうが、基本的に猫は泳ぎが苦手ということを知っておきましょう。
※トルコのバン湖周辺原産のターキッシュバンは泳ぎが得意といわれています。環境が影響している説もありますが、最近はこれが「事実ではない」との噂もあるそうです。

猫の耳に水が入る可能性が

泳ぎが苦手な猫の場合は、無理に泳がせると沈んだりして耳に水が入る可能性が大きくなります。通常は猫の耳のなかは渇いています。もし何らかの形で耳に水が入り、濡れた状態のまま放置してしまうと耳の疾患を患うことになります。湿った耳のなかで菌やカビが増殖し、皮膚炎や外耳炎を発症してしまうことが多くあります。

外耳炎は耳の穴に急性あるいは慢性の炎症が起こっている疾患のことです。その炎症は耳の入口から鼓膜まで及ぶこともあり、放っておくと鼓膜の奥にある中耳、さらには内耳にまで波及することも少なくありません。猫の耳に水が入らないようにすることが大切ですが、もし入ってしまった場合には早めに拭き取るようにしましょう。しかし、猫自身も耳に水が入った場合には、ブルブルと頭を振って水を外へ出す動作をするので、大きな心配はいりません。

誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)とは?

誤嚥とは、本来食道や胃に入るはずのものが、誤って気管や肺に入ってしまうことをいいます。泳ぎが苦手な猫を無理に泳がせることは、誤嚥を招く可能性があるのです。誤嚥性肺炎とは食べ物や水分、唾液に混じって口腔内の細菌が気管や肺に入り炎症を起こしたものです。誤飲したときには、咳などで気管に入ろうとしたものを吐き出す防御機能が働きます。

そのため、健康な状態や体力がある場合には誤嚥性肺炎になることはほとんどありませんが、体力のない子猫などはその誤飲が原因となり、徐々に体調が芳しくない状態に陥り、最悪の場合には命を落とすこともあります。成猫はもちろん、子猫を無理に泳がせることは死に至る可能性もあるということを、しっかりと認識しておく必要があるのです。

溺れて命を落とすこともある

留守中に愛猫がお風呂で溺れて亡くなってしまったという話を何度か聞いたことがあります。お湯を張ったまま蓋を閉めずに外出してしまったことが原因です。最近の湯舟は表面がツルツルしているので、猫の爪が引っかからず、落ちてしまうと脱出することができないのです。日常生活でも注意が必要ですが、外出するときにはお風呂場に愛猫が入れないように、ドアを閉めてあるか必ずチェックしましょう。子猫の場合には、溺れる可能性が高くなるので要注意です。

まとめ

猫は基本的に泳ぎが苦手です。無理に泳がせるのにはリスクが伴います。また、溺れて命を落とすことがないように、飼い主は細心の注意を払いましょう。