猫との暮らしで知っておきたいこと Vol.58

【猫飼いTIPS】「食欲の秋」は猫にも訪れる

[2021/11/01 6:01 am | 編集部]

秋を迎えると、人間は「食欲の秋」が来たと俄然食欲旺盛になります。しかし、それは猫も同じで、食欲が増えることは猫の本能でもあります。では、なぜ秋なのでしょうか? 今回は猫の「食欲の秋」についてのお話です。

秋は体力回復の季節

年々気温が上昇している日本の夏は、猫にとっては厳しい季節です。室内飼育でエアコンが効いた部屋にいたとしても、たびたび暑さを体感することがあるでしょう。そんな夏の暑さは猫の体力を消耗させます。その消耗した体力を回復させるために、秋になると食欲が増していきます。涼しくなれば動きも活発になり、行動範囲も広がります。その分だけエネルギーも消耗しますので、お腹が空いて自然にたくさん食べるようになります。

冬に備えて蓄える

「猫はこたつで丸くなる~♪」というように、猫は寒さが苦手です。季節の変わり目になって日照時間が短くなると、寒さに耐えられるように冬毛に生え変わります。秋に食欲が増すのは「寒さ対策」でもあり、たくさん食べて脂肪を蓄えているのです。脂肪があれば多少の寒さはしのげます。

しかし、その食欲には個体差があります。普段から愛猫の食事量を把握しておくと食べ過ぎなのか、それとも食欲がないのかがよくわかります。「食欲の秋」なのに食べる量が減った場合には、以下のような点に気を配る必要があります。

【体調不良】
気圧や気温の変化が著しい季節の変わり目は、人間同様に猫も体調を崩しがちです。環境の変化や寒暖差により体温調整能力に負担がかかるため、体力を消耗しがちです。子猫や老猫、持病のある猫などは、夏場に消耗した体力をすぐに回復することは難しく、より体調不良になりがちです。

【毛を飲み込み過ぎている】
猫は毛繕いが日課です。特にこの時期は換毛期であるため、いつもよりも毛が抜けます。そのため、多くの毛を飲み込んでいる可能性があります。飲み込んだ毛は消化されることはないので、胃に溜まっていきます。うまく吐き出せる猫はよいのですが、溜まったまま毛球症を患ってしまう猫もいます。そうなると、食欲が落ちる原因になります。

【発情期】
秋は雌猫の発情期です。避妊をしていない場合には発情がきて、その間の1週間程度は、食事の量が極端に減ってしまいます。まったく食べない猫の場合はどんどん痩せてしまいます。去勢をしていない雄猫の場合も、雌猫の発情期に誘発されて食事の量が減る場合もあります。発情の場合は避妊去勢手術によって解決できます。

猫の食欲の周期

猫は「食欲周期」といって3~4カ月で食欲が変化するといわれています。秋に食欲が増えることもそうですが、季節ごとに食欲の周期が見られます。これらの変化の明確な理由は解明されていませんが、日照時間、気温、運動量と必要エネルギー量の連動、体内における消化率の変化などが関係していると考えられています。

 春:普通
 夏:少ない
 秋:普通
 晩秋・冬:多い


猫の体内では、周期的に摂取カロリーの変動が起こり、それに伴って体重・食事の摂取量・甲状腺機能も変化します。こうした体内の変動によっても食欲の変化が見られることがあるのです。

食べ過ぎには要注意

しかし、「食欲の秋」だからといえ食べ過ぎには要注意です。猫の正常な食欲は、標準的な体型を維持するために必要な食欲です。猫の標準的な体型は、5段階方式の「ボディコンディションスコア」で確認することができます。特に避妊去勢手術後の猫は太りやすくなりますので、日ごろから身体を触るなどして注意しておくことが大切です。

まとめ

「食欲の秋」は猫にも訪れます。パクパクと食事をしてくれるのは飼い主として嬉しいことですが、肥満は病気のもとでもあります。食べ過ぎには十分注意が必要です。また、季節の変わり目は猫も人間と同じように体調を崩しやすくなります。食欲は健康の指標でもあるため、愛猫のために普段の食事量を把握しておくことが大切です。

[編集部]