猫との暮らしで知っておきたいこと Vol.40

【猫飼いTIPS】窓の外を眺めている猫は外に出たいと思っているの?

[2021/05/17 6:01 am | 編集部]

完全室内飼育の愛猫が窓ガラス越しに外を眺めていると、外に出たがっているように思えて心が痛むという飼い主も多いと思います。しかし、これは飼い主側に「狭い家のなかに閉じ込めてごめんね」という思いがあるからなのです。愛猫にしてみれば、単に好奇心で窓の外を眺めている可能性が高いのです。今回は猫が窓の外を眺めている理由のお話です。

猫はどんな気持ちで外を眺めているの?

愛猫が外を眺めていると、「外に出たいの?」「出してあげなくてごめんね」とネガティブなイメージを持ってしまう飼い主が多いと思います。しかし、それは猫にしてみると決してネガティブなことではないのです。

【好奇心や狩猟本能によるもの】  猫は昔から狩猟をしながら生活をしていた動物です。狩りで獲物を捕らえるために、よく寝て体力を温存し、いざというときに最大限の能力を発揮できるように備えています。その本能は現代の猫にも脈々と引き継がれているので、産まれたときから完全室内飼育の猫であっても、いとも簡単に虫などを捕らえることができます。

特に狩猟本能が色濃く残る猫は、庭の木やベランダにやってくる小鳥や虫が気になって仕方がありません。優れた動体視力でその動きを追いかけます。「カカカ」と鳴くクラッキングは、興奮状態になり下顎を細かく震わせているから起こる行動です。また、猫は好奇心が旺盛なので、窓の外の動くものがおもしろくて眺めています。外を眺めているのは、外に出たいと思っているからではないのです。

【自分の縄張りを守るために見張っている】  猫はもともと縄張り意識の強い動物です。ある一定の場所に縄張りをつくって、そのなかで生活し、よそ者が来たときには撃退します。完全室内飼育の猫の場合には、猫が生活をしている室内が縄張りです。ですから、その境界線である窓から外を眺めて、よそ者がきていないかパトロールしているというわけです。ときどき、家のなかを意味もなくウロウロと歩いているのを見かけることがあると思いますが、これもパトロールの一環です。

【紫外線を浴びることでビタミンDを取り入れている】  猫はこのビタミンDを体に取り入れるために、本能的に日光浴をしています。窓の外を眺めながら日光浴を し、健康促進をしているのです。日光浴にはほかにも血行をよくすることや、皮膚や被毛の健康にも効果を発揮します。窓辺での昼寝も同じような理由です。さらに、リラックスすることでさまざまなストレスを解消しているのです。

でも、ときどきは外に連れ出したほうがよいの?

昔の猫は、家と外とを自由に出入りして生活していました。そのような環境で飼ってあげられるのは、理想かもしれません。しかし、現代では完全室内飼育の猫を外に出すことは、逆にストレスになるといわれています。その後も自由に外出できるのであれば別ですが、また室内での生活に戻ることになるので、猫は不自由さを感じるようになります。

本能的に縄張りをつくる猫は、一度外へ出ればそこも自分の縄張りだと思うようになります。好きなようにパトロールができないのは、猫にとっては不満でしかなく、外に出たいという欲求がどんどん増してしまうのです。そうなれば、玄関の扉が開いた瞬間に飛び出してしまったり、網戸を破って外へ出てしまったりする可能性もあります。

いらだちから攻撃的になる、スプレーを頻繁に行うようになるなど、問題行動に繋がる場合もあります。ときどき外に出すというような中途半端な飼い方は、猫のストレスが溜まるだけなのです。

問題はストレスだけではありません。室内でのんびりと過ごしてきた猫にとっては、外の世界は危険がいっぱいです。一番怖いのは交通事故です。特に都会の場合はクルマやバイクの量も多く、はねられて命を落としてしまう猫が後を絶ちません。

産まれたときから外で暮らしてきた野良猫とは違って、猫が本能的に持つ警戒心は格段に劣っています。危険に対する対応力が違うので、縄張り争いに負けて大怪我をして感染症にかかる危険性もあります。

また、避妊・去勢をしていない場合には、野良猫と交配してしまう可能性もあります。よその家の庭で排便や排尿をしてしまえば、苦情を受けるなどトラブルに発展することもあるのです。

愛猫の命を守り、近隣とのトラブルを避けるためにも完全室内飼育で飼うほうが、現代の飼い方として合っているように思います。

まとめ

完全室内飼育の愛猫が窓の外を眺めているのは、外に出たいからではありません。愛猫は窓から動くものを観察し、縄張りを見張り、自分の家のなかをパトロールしながら、室内での生活を十分に満喫しているのです。

また、リラックスしながら日光浴をし、安心しながら眠れるのは、安全な室内だからこそ。「狭い家の中に閉じ込めてごめんね」という心配は不要なのです。

[編集部]